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殺奪  作者: 夏野
学生編

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遠征③

改稿済みです。

俺は狩りから帰って来たのだが…。


うーん、起きてない。


『8時になりました。』


「8時ですけど、起きてきませんね。」


俺がそう言うと、先生は胸から懐中時計を取り出し、時間を確認した。


「仕方ないですし、もう行きましょうか。〈魔法解除(アンチマジック)〉。私は馬車を動かしておくので、カイン君は料理を仕舞い、馬を連れて来てもらってもいいですか?」


「わかりました。」


先生はベット等を〈空間収納〉の魔法に仕舞い、続けて、片手で軽々と馬車を引っ張り、洞窟の外まで運び出した。


俺は馬を停めていた杭を外し、そのまま馬を外まで連れて行く。


「ありがとうございます。今、馬車に付けますね。」


先生はそう言って馬と馬車を繋いだ。


「皆さん起きてきませんし、もう出ちゃいましょう。乗ってください。」


そうして、のんびり旅が再開した。



昼過ぎ


今は小高い丘を走っているため、眼下には海と港が見える。


久しぶりの海だ。


「海は初めてですか?」


「海に行ったことはあるんですけど、随分行ってなかったので、久しぶりです。」


港の方を見ながらそんな話をしていると、視界にあるものが入ってきた。


フェリーじゃん。


まじか。


この世界の魔法技術を、魔法道具(マジックアイテム)を舐めちゃいけないな。


「それにしても、皆さん起きてきませんね。」


「単に寝不足なだけじゃないですか?二日前は楽しみで寝れてないでしょうし、昨日も夜更かししていたでしょうし。」


「確かに。カイン君を除いて、皆さん深夜まで起きていましたからね。」


「あれ?先生も起きてたんですか?」


「いえ、ちゃんと寝ていましたよ。脈動、呼吸数くらい寝ながらでも感じられます。」


「そ、そうなんですか……。なんと言うか、す、凄いですね。」


人間業じゃない。


【並列思考】みたいなスキルがあったら出来るようになるのかな。


「街に大分近づいて来ましたし、今日中には…夕方くらいには着けそうですね。」


それからさらに1時間程走ると、街を通るための関所が見えてきた。


「あそこが関所ですかね。」


「ですね。王族用に匹敵するパスを貰っているので、引っかかることはないでしょう。」


「……それって、合法ですよね?」


「もちろんです。学園長と少しばかりお話ししたり、国王と面会したりしただけです。お宅のクロム君が、事故に巻き込まれたらどうするのか、と。」


「………。」


関所に着くと、行商人や冒険者、観光客と(おぼ)しき人たちが列を作っていた。


「結構待ちそうですね。」


「そうですね。」


先生と雑談をして10分程待っていると、順番がきた。


「ご立派な馬車ですね。貴族様でしょうか?」


「いえ。ただの冒険者です。冒険者カードと、これもお願いします。」


先生が身分証明書として冒険者カードと、パスとやらを出している。


「これは……シューラ陛下の直筆!?」


ザーベストの国王はシューラって言うのか。


「静かにお願いします。」


「し、失礼致しました!ま、まさか、Sランクの冒険者様だったとは…。ドームス……ドームス?【幻影】のドームスさんですか?」


何その二つ名。


「そう呼ばれていたこともありましたね。それで確認は済みましたか?」


「は、はい。お返ししますね。陛下の直筆があるため、他の方々の身分確認は不要です。どうぞ、お入りください。」


「ありがとうございます。」


ーぺチッ、バチンー


先生が手綱を操り、馬をゆっくりと走らせる。


そして門を(くぐ)ると……江戸+ヨーロッパ+現代的な港のような光景が広がっていた。


建築物は和風なのに対し、道や服装、売店で売られている物は洋風だ。


それでもって船は現代の豪華客船のような物で、港も現代と遜色ない。


「ここはシャーベットとザーベストの文化が融合している独自の都市なんですよ。不思議な感じでしょう?」


「そうですね。シャーベットは木製の建物が多いんですか?」


「そうですね。異世界の転生、転移者が言うには日本という国の江戸に似ているとのことですよ。」


よし!


ラノベでよくある異世界の日本文化だ。


「私は馬車と馬を預けて来ますがここで待っていますか?」


「ここら辺でお店を見てます。合流はそこのベンチのところでいいですか?」


「わかりました。」


「それと、最悪(はぐ)れても僕のスキルで見つけられるので、会えなそうだったらその場で待機していてもらっていいですか?」


「了解です。合流出来なそうなら私も〈精神魔法〉で話しかけますね。それでは、20分後くらいに戻りますね。」


先生はそう言い残し、馬車を走らせた。


周りを見ると、雰囲気が京都に似ており、団子屋、大福屋を始めとした和菓子屋や、お土産屋、模造刀と木刀を売ってる店などがあった。


食堂や料理屋はそこそこあるが、大半が和食で、洋食の料理屋が少ない。


お、寿司屋もある。


つまり、鮮魚店もあるということ!


『サータ、日本みたいな魚売ってるとこ教えて。』


『二時の方向に80m、六時の方向に35mのところにあります。』



よし、これで大将へのお土産はいいな。


次に魔法道具(マジックアイテム)屋に寄り、母さんには貝のネックレス、父さんには貝の腕輪を買った。


ネックレスにはスタミナの回復速度上昇が、腕輪には使用スタミナ軽減と力上昇の効果がかけられている。


ギードとメリーさんにはお揃いの貝殻のペンダントを買った。


アードはいつ会えるかわからないし買っていない。


そんなこんなで買い物をしてるうちにみんなが来た。


メラスを除き、みんなもう目が覚めている。


「何か欲しいものは買えましたか?」


「はい。ギードさんや両親にいくつかお土産を買いました。」


「それはよかったです。それでは、船に行きましょう。」



十分程歩くと船着場に着いた。


「私たちが乗るのはあれです!」


先生が仰々しくそう言う。


言われた方を見ると、前世のに劣らない豪華客船があった。


「「おぉ!!」」


「あれは日本という国に住んでいた異世界人の技術者が設計したらしいです。」


「こっちの方は大丈夫なんですか?」


俺は指で丸を作り、問う。


「二百万もしてませんから大丈夫です。」


大丈夫じゃないと思う。


「魔法客船 YAMATOが20分後に出港します。乗船予約をしている方はお早めにお乗りください。」


アナウンスだ。


というよりヤマト?


絶対あの宇宙の戦艦のアニメを(もと)に作ってるじゃん。


『その可能性もありますが、昭和に実在した戦艦大和の可能性もあります。内部の構造や、仕組みは戦艦に近いため、戦艦大和の製造に携わった昭和時代の知識人が作った可能性が高いです。』


『あ、うん。』


『戦艦大和は日本が誇る無敵の戦艦でした。最終的に、1945年に沖縄の海上で特攻し…『ストップ、ストーップ。豆知識はいらない。俺だってそれくらい知ってるから。』


「早速、乗りましょう。」


みんなで先生についていく。


先生はチケットを係の人に見せる。


すると、係の人は何らかの魔法道具(マジックアイテム)を使いチケットの確認をし、返却した。


それを先生は受け取ると、中に入っていく。


今更だけど、みんな荷物は持っていないので、先生が〈空間収納〉で運んであげているのだろう。


中に入ると、内装は前世にテレビでみたそれと大差ない。


前世の夢の一つ、豪華客船で世界一周の旅。


まさかそれが今世で叶うとは!


「部屋は13階……13-5、13-6、13-7の部屋で、全てスイートルームです。」


先生がチケットを見て確認し、そう言う。


たしか上階の外側の方が高いんだっけ。


『そうです。この船は全15階のうち、13階より上の二階は施設となっているため、13階が客室のある中では最も高層にある階です。また、景色が見えるため、内側よりかも外側の方が……『だから、いいって!それくらいわかるよ。』


「本当にお金は大丈夫なんですよね?」


三部屋スイートって本当に大丈夫かな。


「………勿論です。」


今、間があった気がする……いや、絶対あった。


「買ってしまったものは買ってしまったわけですし、とりあえず部屋に行きましょう。そこの魔法陣に乗ると階を移動出来るらしいですよ。」


エントランスを抜け、ほんの少し少し通路を歩くと階段があった。


その階段の隣にはエレベーターのような何かがある。


それの地面には白の魔法陣が描かれている。


全員そこに乗ると、先生がタッチパネルのようなものを触る。


それに合わせ、魔法陣が光り輝く。


光が収まると、目の前の景色が変わっていた。


先程のエントランスから一変し、客室が並ぶ通路になった。


『〈刻印魔法〉にて刻印された〈空間魔法〉ですね。パネルを押すと回路が組み替わり、転移する階層が変わるようです。』


「これも異世界の技術の応用で、エレベーターと言うらしいです。」


「凄いですね!」


リーシヤが複雑な術式に目を輝かせて、そう答える。


そこから少し歩くと、自分たちの部屋に着いた。


「で、部屋分けはどうしますか?」


「先生、部屋ってどれも完全に同じなんですか?」


ミレアが問う。


「いいえ、少し違います。6号室と7号室は全く同じですが、5号室だけ少し高く、、キングベットが1つだけです。他はシングルが2つずつあります。」


「となると5号室はクロムかリーシヤだね。」


珍しく眠そうにしていないメラスがそう言う。


「「え!?」」


二人は驚き声を上げる。


「え?何で?」


俺はわけが分からず、問い返す。


「知らないのですか?二人は許嫁(いいなずけ)ですよ。」


「え……初耳なんですけど。」


「あれ?カイン、知らなかったの?」


嘘だろ……あのミレアですら知ってるとか。


「二人から聞いていなかったのですか?」


「はい…。」


「クロム君は王位を引き継がない第二王子ですし、リーシヤさんは公爵家の令嬢ですからね。公に知らされてますし、有名な話ですよ。」


「そうだったんですね……。」


「あの、先生。私たちの意見は通らないんですか?」


「そ、そうです!抗議、抗議したいです!」


「通りません。他の人を同衾(どうきん)させる方が問題です。我慢してください。どうせ、将来そういう関係になるんですから。」


「「うぅ……。」」


「あと残ってるのはカイン君、ミレアさん、メラスさん、私ですけど、私が女性お二人と寝るのは問題ですし、ミレアさんとメラスさんで一つの部屋でいいですか?」


「ちょっと待ってください。」


「どうかしましたか?」


「問題大有りですよ。いい加減差別はやめてください。平等権に違反してるって教育委員会に訴えますよ。」


「平等権は分かりますが、教育委員会とは何ですか?文部科学政治実行法人ではないのですか?」


何だその名前の長いやつは。


『日本でいう文部科学省のようなもので、国王と議会から選ばれた侯爵家当主の文部科学大臣が率いる…『ストーップ!今日解説多すぎ。もっと自重して。』


「あー、そう、それです。それに訴えますよ?」


「訴えたら裁判で名誉毀損で慰謝料請求しますよ?私が行っているのは差別ではなく区別です。カイン君だってそう言いながら、私がお二人と同じ部屋で寝たらいけないことくらい分かっているでしょう?」


「そ、そですけど…。」


「ミレアさん、メラスさん。お二人は同じ部屋で平気ですね?」


「大丈夫です。」


「へーき。」


「ありがとうございます。改めまして、クロム君とリーシヤさんは5号室。ミレアさんとメラスさんは6号室、カイン君と私が7号室ということでいいですか?」


「平気です。」


と、リーシヤが。


「「大丈夫です。」」


と、クロムとミレアが。


「おーけー。」


と、メラスが。


「よくないです。」


と、俺が言った。


「では、決定ですね。各自、部屋で身支度をし、しおりを見返しておいてください。船内でのルールや、設備、食事の時間等について確認してください。夕食まで自由時間です。時間になったら扉をノックしますので、そうしたら出てください。それでは、解散!」

雑談1/4(2024)

「近代的な」と言うと、現代のようなという意味に感じるのは私だけですかね?(正しくは明治時代のことを指します)癖で「現代的」と書くべきところを「近代的」と書いてしまいます。

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