遠征出発
報告12/23
改稿に普通に時間がかかりました。すみません。
改稿済みです。
翌日
荷物、金銭、体調、よし。
完璧だ。
おまけに、【寿司屋 ジャパン】で寿司をテイクアウトして、【ポーチ】に入れてある。
ミレアには内緒で、後でこっそり食べる予定。
仕事に関してだが、俺のレベルもある程度戻ったので再開した。
毎日寿司屋に行けるくらいには稼いでいる。
「じゃあ、行くか。」
「うん。」
「「【転移】。」」
集合場所は学園の校門前だ。
10分前のはずなのに、すでに先生と馬車の姿がある。
馬車はテントのように布を張っただけのやつではなく、キャンピングカーのようなものだった。
「おはようございます。お二人とも、早いですね。」
「「おはようございます。」」
「荷物は…‥ないみたいですね。あったら、客車の奥の方に適当に積んでおいてください。」
『客車って何?』
俺はサータに問う。
『ワゴン、キャビンとも言います。後ろの連結してある、人の乗るやつのことです。』
◇
集合時間
「みなさん乗りましたか?」
「「「はい!」」」
「それでは出発します。」
この馬車は客車に六人は乗れるはずなのだが、全員合わせると荷物が多く、四人乗りになってしまった。
それで、御者台にはぶられたのは……。
「?、カイン君、どうかしました?」
「いえ。差別は良くないな、と。」
「我慢してください。この世にはレディーファーストという闇深き言葉があるんです。それに、王子をここに座らせるわけにもいかないでしょう?」
「それはもちろん分かってるんですけど、やっぱり理不尽だなって。」
「御者を間近で見れる機会なんてそうそうありませんよ?何事もプラス思考ですよ。」
「まぁ、そうですね。」
クロムめ。
ハーレム満喫しやがって。
「御者って意外と簡単そうですね。」
「御者はこう見えて大変ですよ。鞭を入れるタイミングや速度調整などで、〈御者〉の職業持ちでも一人前になるのは大変らしいですよ。」
「そうなんですね。……とりあえず、僕は周りの警戒をしておくので、先生は御者に集中しちゃってください。」
「ありがとうございます。そういえば、呪いとやらはもう平気なのですか?」
「はい。入学試験の頃とまではいきませんが、ある程度は力を取り戻してます。」
「おぉ、頼りにしてますね。」
俺はこんな面白みのない話をしているのに、客車の中からは楽しそうな笑い声が聞こえる。
「カイン君も少なからず子供なんですね。」
寂しそうな表情を作っていたのかもしれない。
「そうかもしれませんね。」
◇
出発は朝なのに、今はもう夕方だ。
それなのに、海を渡るために向かっている港町までの道のりの3分の1程度しか来ていない。
おまけに、馬車の中のみんなは寝てしまった。
ミレアはともかく、他はみんな小学生の歳だ。
遠足…ではないけど、遠出ではしゃいで、疲れてしまうのは仕方ないと思う。
「こんなに時間がかかるのに、魔導車にしなかったんですか?」」
「何ビーケかかると思ってるんですか?」
「ですよねー。」
やはり金銭的問題だった。
ーぐぅぅぅー
「お腹空きましたか?」
「少しばかり。」
「どうします?近くの街に一度寄りますか?」
「いえ、大丈夫です。軽食は持ってるので。それに、みんなを起こすのも、待たせるのも悪いですし。」
「わかりました。そこの街はスルーして、そのまま行きますね。」
【ポーチ】から木製の弁当箱を取り出し、膝の上に置く。
蓋を開けると、漬けマグロや味付けいくらの寿司が入っていた。
醤油などがいらないようにと、味のついているものを、大将がわざわざ入れてくれているのだろう。
ちなみに、この弁当箱はアードのおかげで手に入ったらしい。
大将がそう言っていた。
タクシー会社を営んでるだけあり、人脈が多いからだろう。
「見たことのない料理です。なんて言うんですか?」
「寿司、お寿司って言って、ミオさん、シンヤさんの故郷の料理です。学園の近くに店があるんですけど、知りませんか?」
「存じませんね。一つ頂いても?」
「いいですよ。」
「ありがとうございます。」
……いくらを取られた。
絶対寿司のこと知ってるよね。
じゃなきゃ、初見でいくらは持ってかないでしょ。
「ふむ…生魚を白米に乗せているだけかと思っていましたが、何とも味わい深い。」
「もう少し入りますか?」
「いいんですか?」
「えぇ。」
「では、遠慮なく。」
先生が一つ、二つと寿司を取っては口に入れていく。
「これを売っている店って何処にありますか?」
「〈描絵〉。ここが学園で、あそこの赤点が寿司屋です。」
〈無属性魔法〉で簡単な地図を描き、先生に店の場所を教える。
「ふむふむ。ありがとうございます、覚えられました。」
「今の短時間で覚えられるんですか?」
「えぇ。知力が高いほど覚える力にも補正がかかりますよ。」
「そうなんですね。」
「今度行ってみますね。……む?誰か来ますね。」
「本当ですか?〈探査〉……あ、ホントだ。」
生命反応が数十個、そこそこの距離にある。
「あ、走ってきました。カイン君の魔法でこちらの正確な位置を特定出来たみたいです。」
先生がそう言うと、右斜め前の方向に砂埃が舞い上がっているのが見えた。
「〈千里眼〉……あれは、人ですか?」
「いえ、亜人の一種、竜人だと思われます。」
『先頭の個体は竜魔人でしょう。他の個体よりかも遥かに多い魔力を保有しています。』
「先生、先頭のやつはただの竜人ではなく、竜魔人じゃないですか?」
先頭の個体は他のよりかも大きく、禍々しい黒いドラゴンのような一対の翼を持ち、両手には片手剣と杖のようなものを握っている。
「ふむ、言われてみれば通常個体ではないですね。〈千里眼〉、〈事象解析〉……あれは竜魔人のようです、間違えてしまい、すみません。」
そんなことを話している間に、そいつらは俺たちと結構な距離にまで迫っていた。
「ミミック、久しいな。」
その先頭の男は俺を一瞥し、そう言ってきた。
『カイン、俺を【ポーチ】から出してくれ。』
『わかった。』
ミミックを取り出すと、ミミックは〈念話〉の〈無属性魔法〉を使った。
『久しぶりだな、アペタイト。』
「あぁ。ところで、武器の姿でいるということは、その者をお前持ち主にしたのか?」
『まーな。俺と同じ【殺奪】の天罪持ちだ。』
「ご紹介に預かりました。ミミックの所有者をしているカインです。よろしくお願いします。」
「これはご丁寧に。余は天罪武具の一人、アペタイトと申します。」
「それで、こんな大所帯で何していたんですか?」
「ロンギヌスって知っていますか?」
「はい。最近、襲われました。」
「それなら話が早いです。実は、ロンギヌスに余の里が滅ぼされまして……」
◇
話を要約すると、俺の両親が封印を解いてしまった魔神ことロンギヌスが俺たちとの戦闘の後アペタイトの所を襲ったらしく、金も土地も食料もなくなり、裸一貫で唯一の知り合いのミミックを頼ろうと放浪していたらしい。
後ろの人たちは里の住人だった人たちで、ミミックに彼らも養ってもらうおうとアペタイトは考えていたらしい。
で、ミミックに俺の屋敷に住まわせてほしいと頼まれた。
アペタイト達には冒険者になってもらい稼いできてもらうから、と。
空いている部屋を提供するだけで金が入ってくるのは、いいこと以外の何物でもないので、住んでもらうことにした。
俺とミレアは遠征が終わるまで帰れないので、住所を伝え、先に屋敷に向けて行っておいてもらった。
そのため、今はもうアペタイト達はいない。
「先程の人たちはカイン君の知り合いですか?」
「そんなところですね。」
「全員結構な魔力を持っていましたが、アペタイトさんだけは飛び抜けていました。久々にあんな馬鹿げた魔力を見ましたよ。」
「先生ならアペタイトに勝てますか?」
「どうでしょう。私は魔人ですので、彼とは相性が悪そうです。」
「魔人?」
「はい。人族が進化した種族の一つです。魔法に長けているなら魔人、武術に優れているなら超人、神や精霊といった存在に愛されているものは聖人、全てを得意としている者が星人に進化します。 進化すると、魔人はより、魔法に適性を持ち、超人なら身体能力や技術の向上、聖人は加護や職業の効果が強まり、星人は全体的に強くなります。カイン君は進化したいですか?」
「うーん、機会があったらやってみます。」




