暴走①
ここまで改稿済みです。
ミレア視点
「〈神威回復〉、〈多重化〉!」
上位の〈回復魔法〉を〈無属性魔法〉にて大人数に同時に効果が発動するようにする。
「〈回復魔法〉か!?」
「お嬢ちゃん、助かった!」
「〈全ステータス超大幅強化〉、〈多重化〉!」
「ミレア、助かる!」
「ギードさん!」
ギードさんが私の目の前にいた馬のような魔物を斬り伏せた。
「俺がお前の安全は保証するから、回復と支援に徹してくれ!」
「分かりました。〈神威体力回復〉、〈多重化〉!」
回復、支援に続き、スタミナを回復させる魔法を使う。
それから数分すると…。
「ん?数が減ったな。〈声量拡大〉、何かあるかもしれない。前衛職は前に移動して入り口を囲むように隊列しろ!〈魔法使い〉たちは後方から〈結界魔法〉や障壁魔法、〈支援魔法〉をかけろ!その他は何が起きてもいいように神経をすましとけ!」
ギードさんが声を大きくする魔法を使いそう話す。
『ミレア。』
『あ、サータ。どうしたの?』
『マスターがやばいです。』
『え…。死んじゃった?』
『いえ。まもなく来ます。』
『来ます…?』
「全員速く下がれ!!〈斬心薙身〉ッ!!」
ーキーンー
ギードさんの剣と深紅の不気味な大剣がぶつかり合う。
「カイン!?」
「……。」
「やるじゃないか。」
ギードさんは余裕なのかカインの剣を軽く受け止めた。
「冒険者たちはランク関係なしに引け!ミレアは俺と距離をとりつつ〈回復魔法〉と〈支援魔法〉を。それと後ろの奴らをこれ以上近づけさせるな!」
ギードさんはそう言いながらカインと剣を打ち合っていく。
……後ろの奴ら?
「みんな!?」
後ろに振り返るとリーシヤ、メラス、クロムがいた。
「心配で来ちゃった…。」
「眠いけど頑張ってきた。」
「私たちのレベルは低いけど少しは手伝えるはずと思って…!」
「ありがとう。リーシヤは魔法が使えると思うど、近接戦は危険だから二人は待機で。リーシヤもギードさんに魔法を!」
Sランクの冒険者たちがギードさんの指示に従い交代していく中、私たちはカインの方に向き直った。
「わかったわ。」
「僕たちは応援してる!」
「ふぁいとー。」
少しだけ邪魔だなって思ってしまった私がいる。
非力なヒロインが主人公の助けに向かって、結局足を引っ張られる主人公の気持ちがわかった。
「〈斬心〉!」
「……。」
ギードさんの剣がカインの左腕を斬り裂いた。
外傷はないが、SPは減っているはず。
それなのにカインはピンピンしている。
『あの魔剣に操られています。解呪を試みるので、あと数分耐えてください。』
『なんでそんなことに……。魔物大暴走はどうなったの?』
『そっちは解決しました。ただの魔力過剰でしたので。その際にダンジョンコアを弄っていたら、あの魔剣を見つけ、マスターが呪われてしまいました。ともかく、もう少しだけ辛抱してください。』
「【精神世界】、〈夢幻心惑〉!」
あたりに霧が立ち込めてカインを包み込む。
その途端、カインが虚空に向けて剣を振り始めた。
「やばいぞ。あの魔剣チートだ、チート。俺もいつまで保つかわかんねぇ。さっさとずらかるぞ。」
「え?」
「ミオとシンヤを呼んでくる。」
「ミオさん…あ、試験官をしてくれた?」
「あぁ。シンヤもミオも俺と同じくらいの強さだ。それかドームスか…。」
「先生もそんなに強いんですか?」
リーシヤが疑問をなげかける。
「ん?あぁ。〈幻影魔法〉の使い手だから殺傷能力は皆無だがな。」
「先生とは親しいんですか?」
私は気になり、問いかけた。
「同じパーティーだ。だから言えるが、あの力じゃカインを抑えられない。」
「あの、あれってギードさんの魔法効いてますか?」
カインがあたりに赤い霧を充満させていた。
「スキルと奥義だけどな。もちろん効いて……!?全員防御しろ!〈護心守身〉ッ!!」
赤い霧がいくつかの水球となり、宙に浮かぶ。
そこから赤い液体の槍がどんどん放出されていく。
ギードさんがそれを弾いていく。
しかし、槍の手数の方が多く、対応がギリギリになってきた。
「〈神威敏捷向上〉、〈神威回復〉!」
「うおぉぉぉ!」
槍の噴出が止まった。
「……。」
途端、カインの姿が私の目の前に迫っていた。
「ッ!?」
「〈流水〉!」
リーシヤの〈水魔法〉がカインの動きを鈍らせる。
「〈斬心薙身〉!」
ギードさんの斬撃がカインの体を大きく斬り裂く。
外傷はなくともその反動でカインは大きく吹き飛ばされた。
「あらら。私が助けようとしたのに。」
「え?あ、ミオさん…?」
「ミオか。よく気付いたな。」
「まーね。だってこの魔力量よ?いやでも感知しちゃうって。」
「〈刺突〉。」
突如気配が現れた男の人が、カインの心臓に短剣を突き刺していた。
「……。」
カインは苦悶することもなく、無数の赤いトゲを生成し、一斉に男の人に向けて突き出す。
男の人は私じゃ認識できない速さで後ろに後退していた。
「あの武器、ゴットスキルにすら与しなかったぞ。」
今度はミオさんがカインに向けて跳躍し、どこからともなく取り出した大鎌でカインを斬ろうとする。
「……。」
カインは大剣を片手で振るい大鎌を受け止める。
「私の力もあまり効果がなさそう。」
「……。」
今度は、あたり一帯に赤い球が浮かび始めた。
「まずいな。」
「私も魔法には強くないわ。」
「俺も暗殺専門。」
「私も後方支援と双剣が十八番なので。」
『スキルの一部抑制に成功しました。これによりマスターのステータスの一部を使用可能になりました。』
サータの宣告に合わせ、球がどんどん霧散していった。
「……〈火炎地獄〉。」
魔法!?
「私が魔法に対応するから|真也《しんや〉は物理攻撃の対応、ギードはカイン君のSPを減らして!」
「わかった。」
「おぅ。」
ミオさんは不敵に笑いながら大鎌を火炎に向けて振るう。
刃が炎に触れるやいなや魔法がかき消された。
「「「!?」」」
私と学友のみんなが一斉に驚く。
あの力、どこかで…。
「ミレアさんはカイン君の解呪を!」
「は、はい!」
『体の主導権を一部借ります。』
「聖なる神の施しよ、かの者を侵しし穢れを祓い、根源を癒したまえ。天の光よ、ここに顕現せよ。」
私の手から魔力が放出され、金色の魔法陣が描かれる。
『とりあえず、体の主導権を戻しますが、魔法陣は維持しておいてください。で、問題ですが、やはり魔力が足りませんね。ギードとSクラスの皆さんに魔力を譲渡してもらってください。』
「みんな、〈神聖魔法〉を使いたいんだけど、魔力が足りないから分けてほしい。」
「いいけどどうやるの?僕、魔法は何一つ使えないよ。」
「ギードさんもお願いします!」
「〈夢幻心惑〉!わかった、今行く。」
『サータ、どうするの?』
『〈無属性魔法〉に〈魔力吸収〉という魔法があります。魔法陣の構築は私がしますので、ミレアは解呪のイメージの補填をお願いします。また、ギードには〈魔力譲渡〉を使うように言ってください。』
「〈魔力吸収〉。みんなはここに手を当てて魔力がこの魔法陣の中に流れていくのをイメージして。ギードさんは、自分で〈魔力譲渡〉を使って私に魔力を送ってください。」
「「「わかった。」」」
「わかったわ。」
で、イメージの補填かぁ…。
雑談11/2
どちらでも問題ないのですが、私は魔法陣の時の「描く」は「かく」ではなく「えがく」と読んでいます。強制するわけではないですが、ただ著者はこう読んでいるんだなと記憶の片隅に入れておいてもらえれば。




