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殺奪  作者: 夏野
学生編

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30/325

暴走②

改稿済みです。

イメージの補填かぁ……。


……解呪のイメージって何?


すぐに思い浮かぶのはお坊さんがお経唱えたり、キリスト教の十字架だったりだけど…。


うん、ダメそう。


じゃあ、あの魔剣から放たれてるやばそうなオーラを祓う感じ?


あ、なんか魔法が強化されたような気がする。


『ギードから魔力を吸い尽くしたので溜まりました。魔法名は〈神威解呪セイクリッド・ディスペル〉です。』


「ミレア、魔力は渡せるだけ渡したぞ。」


「私ももう魔力が空…。」


「僕も元から魔力は少ないけど、もう0だよ。」


「眠い…。」


『では、魔法名を唱えて発動してください。』


「二人とも、解呪魔法いきます!」


真也(しんや)!」


「あぁ。〈多機仗封縛拘(ウェポン・バインド)〉!」


虚空から数多の武器が現れ、カインを囲み、拘束する。


「〈麻痺毒(パラライズポイズン)〉。」


ミオさんが紫の魔法陣を展開し、そこから黄色の煙が放出され、カインを覆う。


その直後、二人は後ろに跳び、カインと距離を取った。


『前者はスキルの効果ですね。マスターの動きを拘束できています。後者は〈毒魔法〉です。〈暗黒魔法〉から派生した毒にのみ特化した魔法です。一応固有魔法です。それでは、ミレアの出番ですよ。』


「〈神威解呪セイクリッド・ディスペル〉ッ!!」


金色の魔法陣が光を放ち、それがカインを包み込んでいく。


「ぐ……あっ………」


カインが光に晒されて苦しんでいる。


すると、深紅の大剣から禍々しいオーラが溢れ出す。


そのオーラがカインが魔剣を持っていない方の腕の左手に纏わりつく。


そして、そのオーラは縄のように締まっていき…。


「「「え!?」」」


締まり切り、カインの左腕を切り落とした。


無論、斬られた腕から鮮血が飛び散る。


さらに、カインは血の球を周囲に浮かべていく。


「あと5秒で拘束が破られる。」


「うーん、やばそう。」


「自傷をトリガーにしたバフのスキルか?」


『あの魔剣の【血の加護】というスキルですね。操っている血の量に応じてステータスが上昇します。』


ーバギーンー


カインが魔剣を振るい、シンヤさんの拘束が吹き飛ばされた。


「ギード!私と真也で抑えとくから誰か助っ人呼んできて!出来れば〈神聖魔法〉に長けた人!」


「あぁ。みんなもさっさと引くぞ。あの魔剣、多分(いにしえ)から存在するヤバいやつだ。なんでこのSランクダンジョンにあるのかは知らんが、とにかくヤバい。さっさとギルドまで走れ!」


『サータ、もっとカインを弱体化されられないの!?』


『無理です。魔剣の呪いの方が強力です。』


『じゃあ、何か打開策はないの?』


『ドームスを呼ぶ、ミナを呼ぶ、世界樹にアクセスする、です。』


『先生はわかるけど、ミナって誰?世界樹にアクセスって何?』


『ミナは執行者の相手をしたバハムス学園の4年生です。世界樹にアクセスとは、世界樹には事象を罰する仕組みがあります。ですから、それを利用するということです。』


執行者…執行者……あー、学園に凸ってきた変な集団のトップかぁ。


「ミレア、さっさと逃げるぞ!」


私がサータと話してた間に、学友のみんなは逃げたらしい。


「あの、ドームス先生を呼ぶのは?」


「あいつ、学園にいるか?」


「多分…。」


「ここから学園には距離もあるし障害物も多い。それに、あいつじゃあ切り札にはなり得ない。」


「じゃあ、学園にミナ先輩っていう氷魔法の使い手がいるんですけど…。」


「ミナ……あいつか。あいつは今ギルドの依頼で遠くにいるぞ。」


冒険者だったんだ。


「あ、世界樹の機能を使うとか!」


「ここの近くにあるあれか?あれは最近植え替えられたからか、あんまり強い力はないぞ。」


「うーん……。」


「前は封印に長けた〈弓帝(きゅうてい)〉がいたんだがな……。打開策はギルドに逃げて、他の支部か本部からSランク冒険者を呼ぶことだけだ。早く引くぞ。」


「は、はい……。」


カインを他人任せにはしたくない……。


ここは素直に逃げないと迷惑になってしまう。


でも、絶対にここで助けなければいけない気がする。


「〈天光快癒(キュリバー)〉。」


カインの上に金色の魔法陣が描かれ、光が降り注ぐ。


「誰だ?」


『ミレア、後ろにいます。』


「あれ?おかしいな。結構魔力を込めたつもりなんだけど全く解呪できてないね。」


カインは光なんてないかのように、構わずミオさんとシンヤさんの相手をしている。


「俺の問いに答えろ。」


「うーん?【精帝(せいてい)】にして【ギルドマスター】のギードだっけ。僕はシャーイン。北の【魔王】にして、終焉を(もたらす)者、シャーインだ。」


ミオさんとシンヤさんはこちらに気付いているようだけど、カイン相手に気を抜けないらしく、視線は向けずに会話を聞いている。


「……堕落したお前が何のようだ?」


「僕に関するお伽話は完全に(つい)えたと思ってたんだけどね。まぁ、君なら知っててもおかしくはないか。」


「この騒動はお前が仕組んだのか?」


「冤罪はやめてほしいね。魔物大暴走(スタンピード)もミミックについても何も知らないさ。」


「じゃあなんでここにいるんだよ。」


「それはそこのお嬢さんの方がよく知っているんじゃないかな?」


「はえ!?わ、私ですか?」


急に私に話を振られ、狼狽えてしまう。


「うん?違うのかい?」


先程までと口調は変わっていないが、明らかに雰囲気が変わった。


「知りません!本当に知りません!」


「じゃあさ、君の別人格?いや、スキルに囚われた存在…はたまた、未来の君、誰でもいいから思い当たる節は?」


「え?」


「おかしいな。君の声だったと思うんだけど。」


「……。」


「〈天壁(ラスター)〉。」


ーギーンー


突如、カインが私たちに襲いかかってきた。


そシャーインさんが金色の魔法陣を描き、金色の障壁が現れ、カインの剣とぶつかる。


「【精神世界】、〈夢幻心惑〉!」


あたりに霧が立ち込める。


すると、カインは再びミオさんとシンヤさんの方に走り出した。


「早く行かないと後戻り出来ないよ。」


「え?」


「友達なんでしょ?」


「は、はい。」


「助けたいんだろう?」


「はい!」


「ギルドマスター。一人であの子供をどれくらい抑えられる?」


「〈神聖魔法〉が発動するまでの間なら。」


「頼んだよ。そこの鎌使いと双剣使い、ギルドマスターと代わってくれ。」


「〈麻痺毒(パラライズミスト)〉。」


ミオさんは〈毒魔法〉を使い、シンヤさんはそのままこちらに走ってきた。


「【妄想の世界】。」


それに代わりギードさんがなんらかのスキルを発動させる。


すると、あたりに霧がかかる。


否、それは雲だった。


私たちは雲の上にいた。


「カイン。お前に本当の強さを教えてやる。お前ごときが俺に敵うわけないだろう?」


「ほぅ。興味深いスキルだね。」


「……。」


カインはそんな語りを無視してギードさんに襲いかかる。


それをギードさんは余裕そうに片手で防いでいく。


「さて、僕たちはお嬢さんに魔力を送らなくちゃ。お嬢さんは〈神聖魔法〉を使って。あ、あの魔剣の呪いは純粋な呪いじゃないから解呪魔法じゃなくて〈神威状態回復(セイクリッド・キュア)〉の方がいいよ。」


「あ、そうなんですね。」


『ミレア。体の主導権を借ります。』


『わかった。』


「皆さん、〈魔力譲渡(スペルトランスファー)〉で私に魔力をお願いします。」


ミオさんとシンヤさんは返事をし、白色の魔法陣を通して私に魔力を送ってくれる。


しかし、シャーインさんは何もせずに傍観している。


「神よ、かの者を苦しめし穢れをなくし、肉体の活力を癒したまえ。ギードさん、いきます!」


「おう。【精神世界】、〈夢幻心惑〉!」


雲が解除され、代わりに霧が立ち込める。


カインは敵を見失い右往左往している。


「〈神威状態回復(セイクリッド・キュア)〉ッ!!」

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