暴走②
改稿済みです。
イメージの補填かぁ……。
……解呪のイメージって何?
すぐに思い浮かぶのはお坊さんがお経唱えたり、キリスト教の十字架だったりだけど…。
うん、ダメそう。
じゃあ、あの魔剣から放たれてるやばそうなオーラを祓う感じ?
あ、なんか魔法が強化されたような気がする。
『ギードから魔力を吸い尽くしたので溜まりました。魔法名は〈神威解呪〉です。』
「ミレア、魔力は渡せるだけ渡したぞ。」
「私ももう魔力が空…。」
「僕も元から魔力は少ないけど、もう0だよ。」
「眠い…。」
『では、魔法名を唱えて発動してください。』
「二人とも、解呪魔法いきます!」
「真也!」
「あぁ。〈多機仗封縛拘〉!」
虚空から数多の武器が現れ、カインを囲み、拘束する。
「〈麻痺毒〉。」
ミオさんが紫の魔法陣を展開し、そこから黄色の煙が放出され、カインを覆う。
その直後、二人は後ろに跳び、カインと距離を取った。
『前者はスキルの効果ですね。マスターの動きを拘束できています。後者は〈毒魔法〉です。〈暗黒魔法〉から派生した毒にのみ特化した魔法です。一応固有魔法です。それでは、ミレアの出番ですよ。』
「〈神威解呪〉ッ!!」
金色の魔法陣が光を放ち、それがカインを包み込んでいく。
「ぐ……あっ………」
カインが光に晒されて苦しんでいる。
すると、深紅の大剣から禍々しいオーラが溢れ出す。
そのオーラがカインが魔剣を持っていない方の腕の左手に纏わりつく。
そして、そのオーラは縄のように締まっていき…。
「「「え!?」」」
締まり切り、カインの左腕を切り落とした。
無論、斬られた腕から鮮血が飛び散る。
さらに、カインは血の球を周囲に浮かべていく。
「あと5秒で拘束が破られる。」
「うーん、やばそう。」
「自傷をトリガーにしたバフのスキルか?」
『あの魔剣の【血の加護】というスキルですね。操っている血の量に応じてステータスが上昇します。』
ーバギーンー
カインが魔剣を振るい、シンヤさんの拘束が吹き飛ばされた。
「ギード!私と真也で抑えとくから誰か助っ人呼んできて!出来れば〈神聖魔法〉に長けた人!」
「あぁ。みんなもさっさと引くぞ。あの魔剣、多分古から存在するヤバいやつだ。なんでこのSランクダンジョンにあるのかは知らんが、とにかくヤバい。さっさとギルドまで走れ!」
『サータ、もっとカインを弱体化されられないの!?』
『無理です。魔剣の呪いの方が強力です。』
『じゃあ、何か打開策はないの?』
『ドームスを呼ぶ、ミナを呼ぶ、世界樹にアクセスする、です。』
『先生はわかるけど、ミナって誰?世界樹にアクセスって何?』
『ミナは執行者の相手をしたバハムス学園の4年生です。世界樹にアクセスとは、世界樹には事象を罰する仕組みがあります。ですから、それを利用するということです。』
執行者…執行者……あー、学園に凸ってきた変な集団のトップかぁ。
「ミレア、さっさと逃げるぞ!」
私がサータと話してた間に、学友のみんなは逃げたらしい。
「あの、ドームス先生を呼ぶのは?」
「あいつ、学園にいるか?」
「多分…。」
「ここから学園には距離もあるし障害物も多い。それに、あいつじゃあ切り札にはなり得ない。」
「じゃあ、学園にミナ先輩っていう氷魔法の使い手がいるんですけど…。」
「ミナ……あいつか。あいつは今ギルドの依頼で遠くにいるぞ。」
冒険者だったんだ。
「あ、世界樹の機能を使うとか!」
「ここの近くにあるあれか?あれは最近植え替えられたからか、あんまり強い力はないぞ。」
「うーん……。」
「前は封印に長けた〈弓帝〉がいたんだがな……。打開策はギルドに逃げて、他の支部か本部からSランク冒険者を呼ぶことだけだ。早く引くぞ。」
「は、はい……。」
カインを他人任せにはしたくない……。
ここは素直に逃げないと迷惑になってしまう。
でも、絶対にここで助けなければいけない気がする。
「〈天光快癒〉。」
カインの上に金色の魔法陣が描かれ、光が降り注ぐ。
「誰だ?」
『ミレア、後ろにいます。』
「あれ?おかしいな。結構魔力を込めたつもりなんだけど全く解呪できてないね。」
カインは光なんてないかのように、構わずミオさんとシンヤさんの相手をしている。
「俺の問いに答えろ。」
「うーん?【精帝】にして【ギルドマスター】のギードだっけ。僕はシャーイン。北の【魔王】にして、終焉を齎者、シャーインだ。」
ミオさんとシンヤさんはこちらに気付いているようだけど、カイン相手に気を抜けないらしく、視線は向けずに会話を聞いている。
「……堕落したお前が何のようだ?」
「僕に関するお伽話は完全に潰えたと思ってたんだけどね。まぁ、君なら知っててもおかしくはないか。」
「この騒動はお前が仕組んだのか?」
「冤罪はやめてほしいね。魔物大暴走もミミックについても何も知らないさ。」
「じゃあなんでここにいるんだよ。」
「それはそこのお嬢さんの方がよく知っているんじゃないかな?」
「はえ!?わ、私ですか?」
急に私に話を振られ、狼狽えてしまう。
「うん?違うのかい?」
先程までと口調は変わっていないが、明らかに雰囲気が変わった。
「知りません!本当に知りません!」
「じゃあさ、君の別人格?いや、スキルに囚われた存在…はたまた、未来の君、誰でもいいから思い当たる節は?」
「え?」
「おかしいな。君の声だったと思うんだけど。」
「……。」
「〈天壁〉。」
ーギーンー
突如、カインが私たちに襲いかかってきた。
そシャーインさんが金色の魔法陣を描き、金色の障壁が現れ、カインの剣とぶつかる。
「【精神世界】、〈夢幻心惑〉!」
あたりに霧が立ち込める。
すると、カインは再びミオさんとシンヤさんの方に走り出した。
「早く行かないと後戻り出来ないよ。」
「え?」
「友達なんでしょ?」
「は、はい。」
「助けたいんだろう?」
「はい!」
「ギルドマスター。一人であの子供をどれくらい抑えられる?」
「〈神聖魔法〉が発動するまでの間なら。」
「頼んだよ。そこの鎌使いと双剣使い、ギルドマスターと代わってくれ。」
「〈麻痺毒〉。」
ミオさんは〈毒魔法〉を使い、シンヤさんはそのままこちらに走ってきた。
「【妄想の世界】。」
それに代わりギードさんがなんらかのスキルを発動させる。
すると、あたりに霧がかかる。
否、それは雲だった。
私たちは雲の上にいた。
「カイン。お前に本当の強さを教えてやる。お前ごときが俺に敵うわけないだろう?」
「ほぅ。興味深いスキルだね。」
「……。」
カインはそんな語りを無視してギードさんに襲いかかる。
それをギードさんは余裕そうに片手で防いでいく。
「さて、僕たちはお嬢さんに魔力を送らなくちゃ。お嬢さんは〈神聖魔法〉を使って。あ、あの魔剣の呪いは純粋な呪いじゃないから解呪魔法じゃなくて〈神威状態回復〉の方がいいよ。」
「あ、そうなんですね。」
『ミレア。体の主導権を借ります。』
『わかった。』
「皆さん、〈魔力譲渡〉で私に魔力をお願いします。」
ミオさんとシンヤさんは返事をし、白色の魔法陣を通して私に魔力を送ってくれる。
しかし、シャーインさんは何もせずに傍観している。
「神よ、かの者を苦しめし穢れをなくし、肉体の活力を癒したまえ。ギードさん、いきます!」
「おう。【精神世界】、〈夢幻心惑〉!」
雲が解除され、代わりに霧が立ち込める。
カインは敵を見失い右往左往している。
「〈神威状態回復〉ッ!!」




