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そして閲覧注意。ここから先は大変。
お嬢の恐れおののく何か。
ダメだ。まったく想像がつかない。
未知の恐怖とはこれほどまでに怖いものなのか?
突き付けられた自分の心理状態に
改めて驚かされる。
だってファンタジーなこの世界で
魔法やらスキルやらの超常現象を目にしても
ここまでの衝撃は受けなかった。
なのにただお嬢が恐れおののいた。
ただその単純な事実にここまでショックを受けたのだ。
驚きに驚きという。
もうわけわかんない。
でもわかってほしい。
あのお嬢である。
わからない方向けに一つエピソードをお話しよう。
『リサ・ベルクヴァイン武勇伝記』によると。
ある街に立ち寄ったお嬢が協会に寄付をした話がある。
お嬢の素性を知っている聖職者がお嬢の寄付金に対して。
「冒険者よ、惜しむ心があなたを地獄に落としますよ?」
そうもっとよこせアピールをした結果。
切れたお嬢が。
「地獄へようこそ!聖職者!!!」
そう言い放ち。
聖職者を縛り上げ眼前で教会を焼き払い、
焼け残った中から見つけ出した隠し財産を
一つ一つゴミへ変えていくというお話が載っていた。
そう、いわば『地獄クリエイター』であるお嬢にとって、
私たちの感じる恐怖なんて料理における薬味程度のものだ。
自制がきかなくなるような激辛香辛料にはなり得ない。
改めて言おう。
そのお嬢がそれほどまでに恐れおののく何か。
それが私たちの死角。
扉の向こう側から姿を現した。
「やっぱり大先生ゴブーーー。」
特徴的な語尾、そして何よりお嬢を『大先生』と呼ぶ
緑色の生物など奴しかいない。
そう、ゴリ子ちゃんだ。
でもおかしい。
確かに夜道でゴリ子ちゃんが突然現れたら
私はショック死する自信がある。
だが、その程度の衝撃でお嬢があのような醜態を
さらすようなことは万が一にもありえない。
では一体何に驚いたんだ?
私の疑問が解決しないが、幾分安心できたのか
動くようになった体でお嬢の傍へ行く。
未だ立ち上がれないお嬢に対し、
久しぶりに会えたのがうれしいのか、
ゴリ子ちゃんがお嬢にハグをする。
そしてお嬢の目線はいまだに店の奥を見据えている。
一体店の奥に何が?
私がお嬢の目線を追って店の中を覗くと、
そこにはもう一人知っている人物がいた。
「や、やあリサちゃん。心配したよ?」
そう、お嬢の最愛の人物であるフリッツお兄様だ。
フリッツお兄様が店の中からこちらにやってくるにつれ
お嬢はゴリ子ちゃんのハグを振りほどき
私にしがみついてくる。
まさか、こんな状態のお嬢を見ることになるとは。
ちょっとしみじみしながら改めて立ち並ぶ二人を見る。
「ん゛ーーー!ん゛ーーー!」
もはや言葉を失ったのかお嬢が二人を指さしながら
私に何かを必死に訴えかけてくる。
どうしたのお嬢?
しっかり!
しっかり気を持ってください!お嬢!!!
そんな慌てふためくお嬢を見てフリッツお兄様が。
「恥ずかしいところを見られちゃったね?」
何やら照れくさそうに頭をかく。
え?
何言ってるの?
というかとなりでもじもじしているゴリ子ちゃんが
異様に気持ち悪いんだが。
え?
え???
そして予想は出来たが聞きたくない一言が発せられる。
「僕たち付き合ってるんだ。」
あからさまにフリッツお兄様より体格が大きな
ゴリ子ちゃんを抱き寄せるフリッツお兄様。
それを聞くと同時に気を失うお嬢。
おじょーーー!
うわぁ、おじょーーー!!!
何て残酷な。
だが、すべて合点がいった。
そりゃ予想外の場所で最愛の人が緑の怪物と
くんずほぐれつしていたらあんな反応をするは。
そしてあまりの事態に現実を受け止めきれて
いなかったお嬢に対しての本人からの通告。
えぐすぎる。
実にえぐすぎる。
そして私はどうしたらいいのだろうか?
この異常事態のるつぼと化したこの現場に
ただ一人残されてしまった私というピュア要素。
私の運命やいかに!?
ついに現れた章切り替えごとの風物詩。
異常性を非常識で丁寧に包み込んでゆく作業に
果たして私のメンタルは耐えきれるのでしょうか?
応援お待ちしております。




