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異世界ヤドカリ物語  作者: 村吏
121/161

9-13

閲覧ありがとうございます。

頼りになるご主人様がいない中

この混沌とした状況を切り抜けなければならない私。


お嬢の負担を減らすためにも私がやらないといけないのだ。



一先ずなんでこの二人が一緒にいるのか?


その疑問が気になって仕方がないので聞いてみた。



照れくさそうにはにかみながら見つめあう二人。


っくっそ気持ち悪いがここは耐えねばなるまい。



そして二人の口から出てきた要点は『お嬢』だった。


なんでもお嬢が戦乱の中に突っ込んでいったとの

噂を聞いて追いかけてくる途中に出会ったのだとか。



この理由を聞いたとき、お嬢が気絶している事に

全力で感謝した。


もし私のこの質問をお嬢が聞いていたら

その場で自決していてもおかしくない。



「リサちゃんは僕たちの愛のキューピットだよ。」



そう言い放つフリッツお兄様。


お前それ絶対お嬢の前で言うなよ?


ってかホントにあんた正気なのか?


若干目の焦点が合っていない気がするフリッツお兄様。


正直何らかの手段で洗脳されているのではなかろうか?


しかしそういったことに素人の私が首を突っ込むのは、

危険だろう。


そこは保留にして置き本題へと進む。


そもそもなんでこの喫茶にいるのかとイスイさんの行方だ。



「このお店は勝ち取ったゴブ。」



そう答えるゴリ子ちゃん。


なんでもイスイさんと勝負して勝ち取ったとか。


最初はフリッツお兄様が戦ったとか、共闘したとか、

そういうことかと思ったが、どうやら単独で勝ったらしい。


実際にイスイさんがどれほど強いのかは知らないが、

あのゴウゴとのやり取りを見る限りただものではないはず。


そのイスイさんを打ち取った?


改めて目の前の筋肉ゴブリンの恐ろしさを実感する。



「きっと今頃は可愛さを磨く旅に出てるゴブ。」



可愛さはともかく、

少なくともこの付近にいる可能性は低いようだ。


任務報告どうすればいいんだろうか?


冒険者ギルド経由の依頼にはなっているが

報告者は指名依頼を出したイスイさんって事になってるし。


そういった依頼人不在の際の対応方法は私は知らない。



一先ず二人から聞きたいことを聞けた私はお嬢を抱えて

ここを後にすことにする。


二人とも善意で留まるように言ってくれてはいるのだが、

お嬢が目覚めた際にこの二人が視界に入っただけで

何が起こるのか全く予想が付かない。


何とか二人を押しのけて店を脱出することに成功した私は、

一先ず人目に付かない町の近くの渓谷までやってきた。





「おろして。」



行く当てもなくひたすら店から距離を取っていた私に

いつ気が付いたのか、お嬢が声をかける。


私は命令に従ってお嬢を地面におろす。


若干慌てふためいたり錯乱するかと思ったが、

そういったことはなさそうだ。


とぼとぼと歩きながら崖側にある座りやすそうな岩に

腰かけるお嬢。


私はひとまずイスイさん不在の件だけお嬢に伝える。



「そう・・・。」



と、一言だけ返事をするお嬢。


長い、長い沈黙が私の心臓を締め付ける。


突然思いついたように崖に飛び込んだりしないか、

ただひたすらにその点が心配だ。


私がゆっくりお嬢と崖の間に移動しようとすると。



「一人にして。」



おぅ。


しかしお嬢?


こういう辛いときはね?



「おねがい・・・。」



まさかのお嬢からのお願い。


不安で、不安でたまらないが従魔として

主を信じて下がるしかないな。


ゆっくりと。


ゆーっくりと距離を取り。


近くの岩場の陰からお嬢を見守ることにする。



しかしどうしたものか?


あんなにデリケートになってしまったお嬢に

どうやって接すればいいのかわからない。


そう、私が悩んでいると。



「な!!!」



なんでもそつなくこなすスラ子先生が現れる。


まさか!?


スラ子!お前お嬢の心のケアまで出来るのか!?!?



「な!!!」



スラ子!本当にいてくれてありがとう!!!


こんな時まで頼りになるスラ子半端ない!


マジリスペクトっす!スラ子さん!!!



自信満々といった感じでお嬢へ近づいてゆくスラ子。


途中でお嬢もスラ子に気が付いたようだが、

どうやら拒絶されることはなさそうだ。


お嬢の膝に乗っかると何やら甘えているご様子。


これはあれか?


落ち込んだご主人様を元気づける小動物アピールか?


っふ。


やるじゃないかスラ子。


さすがに私じゃスラ子のようなことはできない。


私があんなことをすれば、いくら落ち込んでいるお嬢でも

崖から落とすぐらいのことはやってくる。



お嬢もそんなスラ子を抱きしめてうずくまる。








・・・。



恐らく五分くらいたっただろうか?


あれから一切動きがない。


いや、むしろお嬢の抱擁の隙間から

スラ子の助けを求める視線を感じる気がする。



すまん。


すまんスラ子!


不甲斐ない私を許してくれ!!!



私が次の作戦を考えようとすると。

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