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異世界ヤドカリ物語  作者: 村吏
115/161

9-7

いつも閲覧ありがとうございます。

獣人の里への道すがら私は宿殻空間内の菜園に

セレブからもらった種をまいてみる。


同一の種がないので種まきのタイミングがわからないが

ここなら何でも育つ気がする。


正直季節を無視して夏野菜と冬野菜が取れるもの。


こういうとこはファンタジーだなー。


そう思いつつ如雨露で水を撒く。


こういう何気ない土いじりが

私のささくれた心を癒してくれるのだ。


そんな癒しにしみじみしていると。


案の定小屋の中が騒々しくなってくる。



・・・。



いい子に育つんだぞー。


再びまいた種に水をあげ始める私。


ただそんな動作もつかの間で小屋の中から

何かが壊れる音が聞こえてくる。



・・・。



行きたくないな。


しゃがみ込んで現実逃避しようとすると。



「・・・次郎。」



そうレガ君が私に話しかけてくる。



「いや私は太郎だよ?」



顔を横に振りながら私を引っ張り小屋の中へ連れてゆく。





小屋の中はすでに割れた茶碗や焦げたカーテン、

そしてその中央のテーブルに正座させられた精霊さんと

精霊さんを綿棒で叩くセリがいた。



「もう!こんなに散らかして何やってるの!?」



お母さんよろしく、二人を叱る私。



「こいつに上下関係を教えてたです。」



そういうセリさん。


机のメモ用紙にはここの相関図が絵で描かれている。


意外にうまいな、そう思いながら内容を見てみると。



ヒエラルキーの上から



レガ君、マッキー。


スラ子、フーシェ。


セリ。


ピリ、カラ。


おもちゃの剣。


私。


精霊さん。



この順序で書かれている。


おかしい。


これは間違ってるな。


私がピリカラよりした?


ってかなんでおもちゃの剣が入ってるんだよ!


それに。



「おま、どんだけ自分の評価盛ってるんだよ・・・。」


「これだから変態はダメなんです。

これが本来の格なんです。ちゃんと心得るです。」



そういって威張り散らすセリ。


一先ずセリから綿棒を取り上げ精霊さんを助け出す。



「ごめんな?大丈夫?」


「はい・・・。」



また来て一日もたっていないのに若干目が死んできている。


まぁ、それもそうだろう。


私でさえゆっくりと一人一人の個性に慣れてきたのに

飛び入りでこんなぶっ飛んだ連中の中に投げ込まれたら

普通のメンタルでは耐えていけない。



そうか・・・!


この精霊さんは普通!


そうまともな精霊さんなんだ!!!


私の周りは頭のネジがぶっ飛んだ人たちだらけだったが、

ついに私にまともな仲間が・・・!


守らねば!


この精霊さんを守らねば・・・!



「やめろよセリ!精霊さんがかわいそうだろう。」



そうやって私が精霊さんを手で隠す。



「そうやってそいつにも手を出すんですか!?」


「は!?おま、何言ってるんだよ!?」


「次郎!気を付けるです!そいつに気を許すと・・・。」



自分の体を抱えて震えるセリ。


それを見て私の手から逃げ出す精霊さん。


いや、ってかお前が次郎?



「いやいやいや、何度も言うけど何もしてないから。」


「じゃあ、セリに今までしてきたこと言ってみるです。」



あぁ、言ってやるよ!!!


と、口に出かかったところで私の口がこわばる。


よくよく考えてみる。


セリと出会ってからのやり取りを。




確かにやりすぎてしまった取り調べがあったり。


全裸にしてしまったこともあった。


そのうえその状態での放置。



確かにわざとではないがじっくり説明しなければ

確実に誤解を受けるだろう。


慎重に。


慎重に言葉を選んで。






だが、その慎重さが裏目に出た。



「次郎、あれが奴の本性です。」



やられた。


私が言いよどんだのをやり玉に挙げて

次郎に私に対する最悪の印象を植え付けたのだ。

思いのほかやり取りが長引きそう

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