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異世界ヤドカリ物語  作者: 村吏
109/161

9-1

いつも閲覧ありがとうございます。

お嬢を乗せた私カニ太郎は、

ただいま目的地に向けて順調に飛行中です。


とは言ってもスラ子とフーシェが頑張っているだけで

私は何もしていないんだけどね。


今は宿殻空間の中にいます。


マッキーは相変わらずだが、

レガ君は依代が変わったせいなのだろう、

なんか神話の女神様みたいな格好になっている。


前の全身甲冑よりかは女性っぽくなった印象だ。


今回の件に関してはセレブから話を聞けなかったので

ちゃんと聞き取りをしておかなければ。






「レガ君?聞きたいことがあるんだけど。」



声をかけると私のいるちゃぶ台へ移動してくるレガ君。



「・・・やっぱり気になる?」



お?


さすがに今回の騒動の重大さはレガ君も

わかってくれているらしい。



「教えてくれる?」



コクリとうなずくとおもむろに服を脱ごうとするレガ君。


だが、もちろんすかさず止めます。


この暴走列車は脱線どころか

最初からオフロードを走ろうとするからホント困る。



「ごめん、何を教えようとしてるのかな?」


「・・・この体。乳がでかくなった。」




本来シリアスになるはずだった展開をドピンクで

染めてくるあたり姿かたちは変わってもレガ君のようだ。



「違うよね?私の知りたいことわかるよね?」


「・・・柔らかさ?」



おのれ、変態精霊。


自分の片乳揉みながら平然と聞き返してきやがった。



「違うでしょ!?今回の騒動の発端とか!

マッキーが何なのかとかあるよね!?」


「・・・でもカニ太郎の知ってることぐらいだよ?」



そういうレガ君から聞き出せたのは

セレブから聞いていたことの確認と、

今女王様が地下の奥深くでレガ君に封印されていること。


そのぐらいだった。


そもそも私が召喚された時からなんでこの空間へつながる

宿殻が付いていたのかなどの事については全く分からない。


無論関連しそうな情報は持っているに違いないのだが、

それを聞き出そうにも話のコントロールが難しい。


余裕があればレガ君の頭の中の下ネタに埋もれた奥底から

必要な情報をサルベージしたいのだが

今は私を困らせる要因がもう一つあるのでそれはきつい。




「っぐすん・・・。」



私の抱える不安要素。


もう何度目になるのだろうか。


部屋の隅っこで泣いておられる方いる。




「もう終わりです・・・。汚されたです・・・。」




そう、解放するタイミングを完全に逃し

今もまだここにいらっしゃるセリさん。



「お前まだ泣いてるの?水分大丈夫か?」



手元にあったオレンジジュースをコップに注ぎ

セリに差し出す。


私を睨みつつもコップをひったくり一気に飲み干すセリ。



「お前のせいで次の女王になり損ねたです。

私の体も汚されたです。」



この難癖のつけ方。


完全に酔っ払いのやけ酒モードである。


ちなみに汚されたと言っているのは、

この空間が再びつながる前にセリを置く場所がなかったため

通常の殻の中で私のお腹の下に隠していた際に

セリが意識を取り戻し何か勘違いをしたらしい。


そう、もちろん私は何もしていない。



「私の柔肌を欲情した変態が・・・。

う゛う゛ーーーーー。」



また号泣し始めるセリ。



「・・・ひゅうー。カニ太郎やっるぅ。」



普段ではありえないテンションと口調で

私とセリのやり取りに横からちゃちゃを入れるレガ君。


お前ホントこういう話にだけは積極的に絡んでくるな。


真の変態をいなし、汚名を着せられた私は淡々と。



「あのセリさん?私ホント何もしてないんで。

あと落ち着いたらいいんでお嬢に見つからないうちに

逃げてもらってもいいですか?」



私は胃液過剰分泌な胃をなだめつつ優しくそう声をかける。



「あ、あんなことをしておいて私を捨てるですか?」



いや、あんなこともこんなこともしてないんで。


それにお嬢に見つかったらどうなるか・・・。


ホントどうなるかわからないんで勘弁してください。



「責任を取るです!取らなかったら道連れです!!!」



ふふ。


何この状況。


さっきまで泣きまくってた割には的確に

こちらの弱点を突いてくるセリ。


どうしよう?


なんかとてつもない爆弾抱え込んじゃったんですけど?



そうしてこんな取りをしているうちに私たちは

目的地である遺跡に到着するのであった。

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