第19話「十二月の決意」
十二月三十一日、午後十一時。
俺は、健太の家のこたつで、人生で一番まじめな顔をして、そばをすすっていた。
向かいでは、健太が五杯目のおかわりをしている。斜め前では、千夏が、健太の口のまわりについたネギを、ものすごく嫌そうな顔で見ている。
いつもの大晦日だ。
保育園の年長さんから数えて、たぶん十二回目。三人で年越しそばを食べるのは、もはや高橋家と大山家と中村家の、公式行事になっている。
でも、今年の俺は、去年までの俺とは、ちょっとだけ違う。
どこが違うのか。それを説明するには、半年ほど、時間を巻き戻す必要がある。
◇ ◇ ◇
夏休み。
俺の夏休みは、ネギで始まって、ネギで終わった。
くまやの厨房で、ひたすらネギを切る。切って、切って、切りまくる。最初の一週間は、毎日泣いていた。玉ねぎじゃなくてネギでも、ちゃんと泣ける。俺は、それを身をもって知った。
「蓮、お前、ネギ切るたびに泣いてんな」
「目にしみるんです」
「泣くほどネギが好きなのか。ネギだけに、ネギらいの言葉でもかけてやろうか」
店長のダジャレは、夏の厨房の気温を、確実に二度は下げていた。冷房いらずだ。エコだ。
二週目には、泣かなくなった。三週目には、ネギの太さがそろうようになった。一か月たつ頃には、俺の両手は、どれだけ洗ってもネギの匂いがするようになっていた。
手の匂いをかいだ健太に、「お前、ラーメンになりかけてるぞ」と言われた。
否定は、できなかった。
◇ ◇ ◇
バイトが終わると、家に帰って、取引ノートを開く。
店長の宿題は、「紙の上の売買」だった。
本物のお金は、一円も使わない。気になる会社を一つ選んで、ノートに「買う理由」を一行で書く。「ここまで下がったら売る」という値段も、先に書く。それから、毎日の株価を、ノートに書き写していく。
つまり、エア株だ。エアギターの、株バージョンだ。
「こんなの、意味あるんですか」
最初の日、俺は正直に聞いた。
店長は、どんぶりを拭きながら、こっちも見ずに答えた。
「紙の上で勝てないやつが、本物で勝てるわけねえだろ。逆に言えば、紙の上なら、いくら負けてもタダだ。授業料ゼロの負けは、今のうちに、いくらでもしとけ」
そして、俺は、紙の上でも負けた。
しかも、けっこう派手に負けた。
「ここまで下がったら売る」と書いた値段まで下がったのに、「いや、明日は戻るかも」と思って、ノートに「売り」と書けなかったのだ。紙なのに。ボールペンで一文字書くだけなのに。
次の日、ノートを見た店長は、赤いペンで、その日のページに大きく丸をつけた。
「……ここだ」
「はい」
「お前の病気は、ここだ。紙の上でも出るってことは、筋金入りだな」
店長は、なぜか少しだけうれしそうだった。
「でもな、病気は、どこが悪いかわかれば、治せる」
その日から、店長は、毎日俺のノートをチェックするようになった。バイトの休憩時間に、まかないのラーメンをすすりながら、ページをめくる。字が汚いと怒られる。日付が抜けていると怒られる。「なんとなく」と書くと、一番怒られる。
「『なんとなく』って書くくらいなら、白紙で出せ」
俺のノートの「なんとなく」は、夏休みの終わりまでに、ゼロになった。
◇ ◇ ◇
九月。文化祭。
俺たちのクラスは、お化け屋敷をやった。
俺の役は、井戸から出てくる幽霊だった。白い着物を着て、段ボールの井戸の中にしゃがんで、お客さんが来たら「うらめしや〜」と出ていく係だ。
問題は、俺の手だった。
「……なんか、この幽霊、ネギくさくない?」
井戸から出るたびに、お客さんに言われた。三回目には、小学生に「ラーメン屋の幽霊だ!」と指をさされた。
ネギの幽霊。全然怖くない。むしろ、ちょっとおいしそうだ。
ちなみに、健太はフランケンシュタインの役で、立っているだけでお客さんが泣いて逃げた。百八十二センチは、それだけで才能だ。
千夏は、生徒会の文化祭係として、二日間、校内を走り回っていた。トランシーバーを片手に、「三年二組、音量下げてください」「ゴミの分別、二回言いました」と、校内中の男子を正座させそうな勢いだった。
文化祭の終わり、片付けの時。図書室に本を返しに行くと、カウンターに白石さんがいた。
俺が差し出したのは、図書館で借りた、分厚くて古い会社の本と、投資の入門書が二冊。
白石さんは、いつものように、一冊ずつ本の状態を確かめた。それから、ほんの少しだけ、鼻をひくっとさせた。
「……高橋くん、今日、井戸の幽霊だったでしょ」
「なんで知ってんの」
「クラスの子が、ネギの幽霊がいたって」
有名になっていた。悪い意味で。
白石さんは、貸し出しカードにスタンプを押しながら、小さく言った。
「……幽霊なのに、生活感ありすぎ」
それが、白石さんなりの冗談なのかどうか、俺にはわからなかった。でも、口のはしっこが、ほんの一ミリだけ、上がっていた気がした。
◇ ◇ ◇
十月、十一月は、あっという間に過ぎた。
学校。バイト。ノート。本。
学校。バイト。ノート。本。
地味だ。我ながら、びっくりするくらい地味だ。春の俺が見たら、「なんだこいつ、つまんねえ」と言うと思う。毎日トイレの個室で株価を見て、ニヤニヤしていた、あの頃の俺なら。
でも、地味な毎日の中にも、小さな変化はあった。
中間テストの点数が、平均点から、ちょっとだけ上になった。現代社会だけは、学年で十番以内に入った。田村先生は、答案を返す時に、何も言わずに、俺の肩を一回だけぽんと叩いた。足音はしなかったけど、手はあったかかった。
取引ノートは、三冊目に入った。
紙の上の売買は、相変わらず、勝ったり負けたりだった。でも、「売る」と決めた値段で、ちゃんと「売り」と書けるようになった。たったそれだけのことができるまでに、四か月かかった。
店長は、三冊目の表紙を見て、「ノートだけは一人前だな」と言った。
ほめられたのかどうかは、わからない。たぶん、半分くらいはほめられた。
◇ ◇ ◇
そして、お金の話。
くまやの時給は、千五十円。学校がある日は、週に三日、夕方から三時間。夏休みは、もう少し多め。テスト前は、店長に「勉強しろ」と追い返される。
それで、一か月の給料は、多い月で四万円ちょっと。テストがある月は、三万円くらいになる。
毎月、給料日になると、店長が茶色い給料袋を手渡ししてくれる。中には、お札と小銭と、手書きの明細が一枚。俺は、その袋を開ける前に、毎回、店長に頭を下げる。
「ありがとうございます」
「おう。ネギ代は引いといたからな」
「えっ」
「冗談だ」
冗談の時だけ、店長の顔はちょっとこわい。
給料袋を家に持って帰ると、俺はまず、千円札を三枚抜く。それを、白い封筒に入れて、表に「誕生日分」と書く。
そして、姉ちゃんの部屋のドアを、ノックする。
「……入れば」
姉ちゃんは、封筒を受け取ると、中を見もしないで、机の上のガラスびんに、ぽいっと入れる。「留学ちょきん」のびんだ。
「毎月、律儀だよね、あんた」
「約束したから」
「ふーん」
それだけだ。ありがとうも、もういいよも、言わない。でも、封筒が、俺の机の上に戻ってくることは、もうなかった。
びんの横のカレンダーは、いつの間にか、二冊目になっていた。一番上には、相変わらず、姉ちゃんの丸っこい字。
――ロンドンまで、あと百五日!
残りの給料は、全部、俺の名前の銀行口座に入れた。そこに、姉ちゃんが返してくれた、あの四万円も入っている。
十二月の給料日、通帳に記帳したら、こう印字されていた。
――251,240円
二十五万千二百四十円。
三十万円には、届かない。春に、トイレの個室で一日に十万円増えて大喜びしていた男としては、地味すぎる数字だ。
でも、通帳のその数字を見た時、俺は、銀行のATMの前で、しばらく動けなかった。
この二十五万円のうち、二十一万円ちょっとは、全部、俺のネギと、俺の皿洗いと、俺のどんぶり(三個割った)でできている。
誰の名前も借りていない。
誰の印鑑も、押していない。
通帳の表紙には、ちゃんと、俺の名前が書いてある。
通帳には、今も、ばあちゃんのポチ袋がはさまっている。閉じる時、色のあせた袋のはしっこが、ちらっと見えた。
後ろの人が咳払いをしたので、俺は慌てて通帳を閉じた。本屋の店員さんの咳払いを思い出して、ちょっとだけ笑った。
◇ ◇ ◇
――そして、話は、大晦日のこたつに戻る。
「でさあ! あそこで俺が二塁に投げてたら、刺せてたんだって!」
健太は、そばの六杯目を待ちながら、夏の大会の話をしていた。
健太たちの野球部は、夏の地区大会の二回戦で負けた。健太は、新しいキャッチャーミットで、一試合フル出場した。あの時、俺が「やめとけ」と止めた五千円に、お小遣いを足して買った、あのミットだ。
「健太、その話、今日だけで四回目」
千夏が、みかんをむきながら言った。
「何回でも言う! 来年の夏は、絶対に刺す! 最後の夏だからな!」
最後の夏。
その言葉に、こたつの中が、一瞬だけ静かになった。
来年、俺たちは高三だ。健太は、最後の夏の大会。千夏は、生徒会を引退して、受験勉強。俺は――。
「……蓮は、大学、どうするの?」
千夏が、むいたみかんを一房、健太の皿にぽいっと入れながら聞いた。健太は、気づかずにそれを食べた。
「経済学部。たぶん」
「たぶん、なんだ」
「いや、行く。経済学部」
「ふーん」
千夏は、ちょっとだけ意外そうな顔をした。春の俺だったら、「株やるのに大学とかいらなくね?」と言っていたと思う。言っていた。確実に言っていた。
「千夏は?」
「私は、国立の法学部」
「さすが」
「健太は?」
「俺は、野球が強い大学! それか、焼肉屋!」
「焼肉屋は、大学じゃない」
千夏が、二回言いそうな顔をしたので、健太はすぐに「冗談です」と言った。賢い。この半年で、健太も少しだけ学習している。
千夏は、むいたみかんの最後の一房を、また健太の皿に入れた。健太は、また気づかずに食べた。
……千夏って、そんなに健太にみかんあげるやつだったっけ?
まあ、健太はよく食うからな。きっと、エサやりみたいなもんだろう。
――この時の俺は、本当に、何一つ気づいていなかった。千夏の名誉のために、これ以上は言わないでおく。
◇ ◇ ◇
「――蓮」
健太が、トイレに立った時だった。
千夏が、こたつの上のみかんの皮を、きれいに四角くたたみながら、俺を呼んだ。
「なに」
「バイト、続いてるね」
「おう」
「ノートも、毎日書いてるって。健太から聞いた」
「健太、誰にも言わないって言ってたのに」
「三十秒ももたなかったよ」
知ってた。
千夏は、たたんだみかんの皮を、テーブルの真ん中にそっと置いた。それから、顔を上げずに言った。
「蓮。来年、また株、やるんでしょ」
ドキッとした。
千夏には、まだ言っていなかった。家族にも、まだ言っていない。それなのに、千夏は、まるで俺の頭の中のノートを読んだみたいに言った。
「……なんでわかるの」
「わかるよ。何年、蓮の顔見てると思ってるの」
千夏は、やっと顔を上げた。
その目は、あの日の公園で、俺と健太を正座させた時の目に、ちょっとだけ似ていた。でも、あの時より、ずっと静かだった。
「止めないよ。蓮がちゃんと考えて決めたことなら」
「……うん」
「でも」
千夏は、こたつの中で、俺の足を、軽く蹴った。
「今度バカやったら、正座じゃ済まないからね」
「わかってる」
「本当に?」
「わかってるって」
千夏は、じーっと俺を見た。それから、ふっと息をはいて、笑った。
「ならいい」
――たぶん、わかってない。
今の俺から、この時の俺に言ってやりたい。お前は、たぶん、まだ全然わかってない。正座じゃ済まないって、じゃあ何なんだ。それを、お前はまだ聞いてもいない。
「何の話してたんだ?」
トイレから戻ってきた健太が、こたつに足をつっこみながら聞いた。千夏と俺は、同時に答えた。
「「なんでもない」」
「……お前ら、怪しいな」
健太は、それ以上は聞かずに、七杯目のそばを頼んだ。健太のおばさんが、台所から「もう麺がない!」と叫んだ。
◇ ◇ ◇
十二時少し前、健太の家を出た。
千夏の家は、健太の家の二軒となり。俺の家だけが、少し離れている。千夏を家の前まで送って、「よいお年を」「もう、あと五分で新年だけどね」と言い合って、手を振った。
一人になった帰り道。
空気が、ぴんと冷たかった。吐いた息が、白くなって、すぐに消える。
遠くから、ごーん、と鐘の音が聞こえてきた。
除夜の鐘。
人間には、百八つの煩悩があって、鐘を一回つくたびに、一つずつ消えていくらしい。小学校の時に、ばあちゃんから聞いた話だ。
ごーん。
俺は、歩きながら、今年一年のことを思い出していた。
ポップコーン。床に這いつくばって観た映画。
姉ちゃんの免許証と、ピンクのケースの印鑑。魔法少女の裏声。
ミライ製菓。初めての「約定しました」。
八十万円。百十七万円。アキラ。
ごーん。
そして、四万円。
ろうそくが消えたままの、姉ちゃんのケーキ。
公園の、三時間の正座。鳩。
ネギ。給料袋。千夏のメモの「完済」の文字。
ごーん。
今年一年で、俺は、三十万円をなくした。
……いや、正確には、二十六万円ちょっとだ。細かいところは、千夏に計算してもらえばいい。とにかく、十六年分のお年玉を、ほとんど全部なくした。ばあちゃんのポチ袋の分も、大叔父さんの五百円玉の分も。
そのかわりに、俺は、何を手に入れたんだろう。
ごーん。
三冊の取引ノート。
ネギくさい手。
「なんとなく」を書かなくなった、ボールペン。
ノックしてから入ってくるようになった、姉ちゃん。……いや、あれは三回に一回くらいだけど。
まだ一回も、本当のお金でやっていない、俺の「売り」の練習。
それから――。
ばあちゃんのポチ袋のことを思い出した。今も、俺の通帳にはさまっている、あの小さな袋。
――れんくんへ だいじに つかってね
ごめん、ばあちゃん。
大事に使えなかった。
でも、ばあちゃん。俺、今年、一個だけわかったことがあるんだ。
お金って、なくなると、本当に、なくなるんだな。
画面の中の数字が減るのとは、違う。三十万円がなくなったら、その三十万円に入っていた、十六回のお正月の思い出まで、一緒にどこかに行ってしまう。
だから、次は、なくさないように、ちゃんとやる。
なくなっても、ちゃんと、自分の名前で、自分で責任をとれるようにやる。
ごーん。
たぶん、百八回目の鐘だった。
煩悩は全部消えたはずなのに、俺の頭の中には、まだ一つだけ、消えないものが残っていた。
株が、好きだ。
やっぱり、どうしても、好きだ。
◇ ◇ ◇
一月一日。元日。
家族四人で、お雑煮を食べた。
母さんは、相変わらず家の絶対王者で、お餅の数まで決めていた。俺は二個。姉ちゃんも二個。父さんは、なぜか一個。高橋家の序列は、お雑煮の中でも健在だった。
昼過ぎ。毎年恒例で、大叔父さんがあいさつに来た。
相変わらずのニコニコ顔で、「蓮くん、大きくなったねえ」と言って、ポチ袋を一つくれた。
中には、五百円玉が一枚。
去年までは、「五百円かよ」と、心の中で思っていた。
でも、今年は、その五百円玉が、ずっしり重かった。
この人は、全部なくしたんだ。家を一軒。そして、それから何十年も、毎年毎年、ニコニコしながら、五百円玉を一枚ずつ、親戚の子どもたちに配り続けてきたんだ。
「……ありがとうございます」
いつもより深く頭を下げたら、大叔父さんは、ちょっとびっくりした顔をして、それから、また、ニコニコ笑った。
◇ ◇ ◇
その夜。
自分の部屋の机で、俺は、まっさらなルーズリーフを一枚、取り出した。
一番上に、ボールペンで、ゆっくり書いた。
――約束書 高橋蓮
それから、その下に、一行ずつ書いていく。
一、使うお金は、自分のバイト代だけ。
二、毎月の結果(もうけも、損も)を、家族に見せる。
三、一つの会社に、全部のお金を入れない。
四、借金は、絶対にしない。
五、学校の成績を、落とさない。
書いては消して、消しては書いて。気がつくと、ルーズリーフは三枚目になっていた。字が汚いと、店長に怒られる気がして、三回清書した。
六月の誕生日が来れば、俺は十八歳になる。
十八歳になれば、親の同意なんて、いらなくなる。誰にも言わずに、一人で、こっそり口座を作れる。
あと、五か月。
待てば、いいのかもしれない。たった五か月だ。七百三十日に比べたら、ほとんど一瞬だ。
でも、俺は、待たないことにした。
こっそり作れる日を待つんじゃなくて、こっそりじゃないやり方で、始めたかった。
今度こそ、家族の目の前で。
父さんと、母さんと、姉ちゃんの、目の前で。
俺は、約束書の一番下に、自分の名前を書いた。
――高橋蓮
それから、椅子から立ち上がって、部屋の真ん中で、深呼吸を一つした。
「……十八歳まで、待ちません」
鏡に向かって、小さな声で言ってみる。
「親の同意をもらって、自分の名前の口座で、ちゃんとやりたいです。ルールは、守ります」
そして、頭を下げた。
九十度。いや、もっと深く。
……深すぎて、机の角に、おでこをぶつけた。
「いっ……!」
ゴン、という音がした。
隣の部屋から、姉ちゃんの声が飛んできた。
「蓮、うるさい! 新年早々、何してんの!」
ノックは、なかった。今日は、三回に一回じゃないほうの日だったらしい。
俺は、赤くなったおでこをさすりながら、もう一度、頭を下げる練習をした。今度は、机から一歩離れて。
本番は、一週間後。
高橋家の、家族会議だ。
この前の家族会議は、俺の嘘が、全部バレた夜だった。ろうそくの消えたケーキの前で、俺は何も言えなかった。
今度は――俺が、自分の口で、全部話す番だ。
(第19話 終わり)
第19話を読んでいただき、ありがとうございます!
ネギで始まりネギで終わった夏、ネギの幽霊、そして通帳の「251,240円」。春の80万円に比べたら地味すぎる数字ですが、蓮にとっては、初めて誰の名前も借りずに作ったお金です。
大晦日のこたつでは、千夏がずっと健太の皿にみかんを入れていました。蓮は「エサやり」だと思っています。……蓮、そういうところだぞ。
そして新年早々、頭を下げる練習で机の角におでこをぶつけた男。本番は大丈夫なのでしょうか。
次回、第20話「俺の名前の口座」。第1部、最終回です。
「蓮、今度こそがんばれ!」と思っていただけたら、ブックマークや評価で背中を押してあげてください。蓮のおでこのたんこぶが、少しだけ早く治ります。




