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諦めの悪い俺が、億を稼ぐまで  作者: 大吉


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17/20

第17話「次は自分の名前でやりな」

ネギを切ると、涙が出る。

これは、くまやで働き始めて最初に覚えた、世界の真実だ。

二つ目の真実は、ネギの匂いは、何をしても落ちないということだ。

石けんで三回洗う。レモン汁をつける。ネットで調べた「ステンレスのスプーンでこする」という方法も試した。スプーンが、ネギくさくなっただけだった。

おかげで最近の俺は、どこに行っても、ほんのりネギの香りがする。

授業中、後ろの席のやつが「なんか、ラーメン食いたくなってきた……」とつぶやいた。俺のせいだ。ごめん。

健太には「お前、うまそうな匂いするな」と言われた。人生で初めて言われたほめ言葉が、それだった。

千夏には「蓮、手」と言われた。

見ると、指先はがさがさで、あかぎれが三つ、絆創膏が二枚。洗い物の洗剤と、熱いお湯と、ネギの汁にやられた手だ。

千夏は何も言わずに、カバンからハンドクリームを出して、俺の手のひらに、むにゅっとしぼった。

「……これ、いくら?」

「あげる」

「メモに書かなくていいの?」

「書いてほしいなら、書くけど」

「いえ、けっこうです」

ハンドクリームは、桃の匂いがした。でも、夜には、またネギの匂いに負けていた。ネギは強い。

◇ ◇ ◇

あの夜から、姉ちゃんとは、ほとんど口をきいていない。

正確に言うと、俺は話しかけている。姉ちゃんが、返事をしないだけだ。

「おはよう」

返事なし。

「醤油、取って」

醤油は、無言ですーっと、テーブルの上をすべってくる。ちゃんと取ってはくれる。それが、余計につらい。

家の中に、透明な壁が一枚ある感じだった。白石さんの見えない壁とは、また違う。こっちの壁は、俺が自分で作ったものだ。姉ちゃんの名前と、姉ちゃんの印鑑と、姉ちゃんの信用で。

廊下の三メートルが、また、長くなった。

あの誕生日の夜のケーキのことを、時々思い出す。ろうそくの火が消えたまま、テーブルの真ん中に残されていたケーキ。火の消えたろうそくが、ずっと、俺のほうを向いていた気がした。

――あんたは、私の信用まで賭けたんだよ。

あの一言は、どんな説教よりも、どんな正座よりも、重かった。

◇ ◇ ◇

バイトは、週に三日。学校が終わってから、夜の九時まで。

土曜日は、昼から閉店まで。

帰り道は、商店街のシャッターがほとんど閉まっていて、自転車のライトだけが、道の上をふらふら進んでいく。

家に着くのは、だいたい九時半。

玄関で「ただいま」と小さく言って、風呂に入って、それから机に向かう。

机の上には、図書館で借りた、会社の情報がびっしり載った分厚い本。店長に「懐かしいもん読んでるな」と言われた、あれだ。それと、中学の時に使っていた、数学のノートの残り。

わからない言葉を、一つずつ書き出す。「営業利益」。本業でもうけたお金。「自己資本比率」。会社のお金のうち、借金じゃない分がどれくらいあるか。高いほど、つぶれにくい。

書いて、調べて、また書く。

正直に言うと、半分くらいはわからない。でも、わからないことを、わからないと書くことにした。前の俺は、わからないことを、わかったふりをして、八十万円をなくした。

そして毎晩、一時間も経たないうちに、ノートの上でよだれをたらして寝ている。

趣味、寝ること。そこだけは、全然変わっていない。

◇ ◇ ◇

最初の給料日から、一週間が経った。

給料袋の中身は、千夏に690円を返して、それから、くたびれた靴下を一足買い直して、あとはそのまま、引き出しにしまってあった。

一晩、考えた。

それから、白い封筒を一枚、用意した。

給料袋の残りを、全部入れた。一万円札が二枚と、千円札が何枚か。くまやの、ネギと豚骨の匂いがしみこんだお札だ。

封筒には、メモを一枚、添えた。

何回も書き直した。最初は「ごめん」から始めたけど、ごめんが十回くらい並んで、ホラーみたいになったので、やめた。二枚目は、かっこつけすぎて、自分で読んで寒気がしたので、やめた。店長のダジャレより寒かった。

三枚目に、やっと、こう書いた。

――誕生日プレゼントの代わり。全然足りないけど、少しずつ返す。 蓮

夜中の十二時。

廊下の三メートルを、カニ歩きで進んだ。真ん中が鳴るのは、相変わらずだ。

姉ちゃんの部屋の前に、封筒をそっと置いた。

今度は、ノックはしなかった。

渡す勇気が、なかったからだ。

◇ ◇ ◇

次の日の朝。

目を覚まして、机を見て、俺は固まった。

封筒が、あった。

俺の机の上に、置いてあった。ちゃんと、真ん中に、まっすぐ。

中を確かめた。お札は、一枚も減っていない。俺のメモも、そのまま入っていた。何も書き足されていない。

――返された。

姉ちゃんは、俺が寝ている間に、俺の部屋に入って、封筒を置いていったのだ。もちろん、ノックなしで。

いや、寝ている人の部屋に入るのに、ノックはいらないか。

そういう問題じゃない。

俺は、封筒を手に持ったまま、しばらくベッドに座っていた。

受け取ってもらえない謝罪は、どこに置けばいいんだろう。

答えは、わからなかった。わからないまま、封筒を引き出しの奥にしまって、学校に行った。

その日、ネギを切りながら、いつもより多めに泣いた。

ネギのせいだ。たぶん。

◇ ◇ ◇

その数日後の夜だった。

バイトから帰ると、台所で、母さんが一人でお茶を飲んでいた。

母さんは、あの夜からずっと、俺に少しよそよそしい。怒鳴ったりはしない。ただ、時々、ものすごく悲しそうな目で俺を見る。大叔父さんの話をした時と、同じ目だ。

「……おかえり」

「ただいま」

「ご飯、あっためる?」

「まかない食べてきた」

「そう」

それで会話は終わると思った。でも、母さんは、湯のみを両手で包んだまま、ぽつりと言った。

「美咲ね」

「……うん」

「あんたが帰ってくる時間になると、毎晩、自分の部屋の電気を消すのよ」

「え?」

「消して、カーテンのすき間から、外を見てるの。自転車のライトが角を曲がってくるのを見て、それから、また電気をつけるの」

意味が、わからなかった。

「なんで、そんなこと知ってんの」

「この家で、私が知らないことがあると思う?」

あった。三十万円と、証券口座と、姉ちゃんの印鑑。母さんは、知らなかった。

でも、それを今言うほど、俺はバカじゃない。たぶん。

母さんは、少しだけ口の端を上げた。それから、また真顔に戻った。

「本人には、言っちゃダメよ。怒るから」

――本人には、絶対言わないけど。

クローゼットの中で聞いた、姉ちゃんの声を思い出した。

うちの家族は、どうしてみんな、大事なことを本人に言わないんだろう。

……一番言わなかったのは、俺だけど。

◇ ◇ ◇

それから、さらに一週間後。

夜中の十二時過ぎ。喉が渇いて、一階に降りようとした。

階段の途中で、足が止まった。

リビングに、明かりがついていた。そして、声がした。

「――お願い」

姉ちゃんの声だった。

俺は、階段に座りこんだ。真ん中が鳴らないように、端っこに。廊下でも階段でも、この家で俺が一番うまくなったのは、音を立てない歩き方だ。いい特技じゃない。

そっと、のぞいた。

ダイニングのテーブルに、母さんと父さんが並んで座っていた。その向かいで、姉ちゃんが――頭を下げていた。

テーブルに、おでこがつくくらいに。

高橋家の序列二位が、頭を下げている。

俺は、息をするのを忘れた。

「蓮に、もう一回だけ、チャンスをあげて」

「美咲……」

母さんの声は、困っていた。

「あの子、毎晩、ネギくさい手で帰ってきて、ノートに何か書いてるの。夜中まで。壁が薄いから、ページめくる音、全部聞こえるんだよ。で、だいたい一時間で寝る。いびきも聞こえる」

それは言わなくていい。

「でもさ、お母さん。三日坊主だったあの子が、もう一か月、続けてるんだよ。ピアノ、三日。空手、二日。日記なんて、一日目のタイトルだけ書いて終わったんだよ。『蓮の日記』って。中身なし」

それも言わなくていい。

でも、姉ちゃんの声は、少しも笑っていなかった。

「それが、一か月。雨の日も、自転車で行ってる。手、見た? ぼろぼろだよ。あの子、本気なんだと思う。今度は」

母さんは、しばらく黙っていた。

それから、湯のみをテーブルに置く、こと、という音がした。

「……私は、反対よ」

母さんの声は、震えていた。

「あの子のやったこと、わかってるでしょう。あなたの名前を、勝手に使ったのよ。おじいちゃんの弟だって、最初は真面目だったの。真面目に、一生懸命、それで家をなくしたの。私は、あの子に、同じ思いをさせたくないの」

「わかってる。私だって、まだ怒ってる。めちゃくちゃ怒ってる。一生、言い続けるつもりだし」

一生か。

「でも、怒ってるのと、あの子の邪魔をするのは、違うと思う」

リビングが、しんと静かになった。

冷蔵庫の、ぶーん、という音だけが聞こえた。

その時だった。

「――俺は」

父さんの声だった。

俺は、階段の上で、本気で耳を疑った。父さんが、家族会議で、自分から口を開いた。誕生日の夜の家族会議でさえ、最後まで一言もしゃべらなかった父さんが。

「俺は、二十二の時、自分で決めたことを、三年でやめた」

母さんが、はっとしたように父さんを見た。

「誰にも、止められなかった。反対もされなかった。やめたのは、自分だ。失敗するのが、怖くなってな」

父さんは、湯のみをゆっくり回した。

「……今でも、たまに、続けてたらどうだったかと思う。負けてもいいから、最後までやってたら、ってな」

それだけ言って、父さんはお茶を一口飲んだ。

何をやめたのかは、言わなかった。母さんも、聞かなかった。たぶん、母さんは知っているんだと思う。

俺は、その時、なぜか新聞の株価のページを思い出していた。一秒でめくられる、あのページ。

「……蓮が、やめるって言うまでは、やらせてやれ」

父さんは、そう言って、立ち上がった。

「寝る」

本当に、寝に行った。

言うだけ言って、さっさと寝に行くところが、すごく父さんだった。

母さんは、父さんの背中を見て、それから、まだ頭を下げたままの姉ちゃんを見て、長い長いため息をついた。

「……美咲。頭、上げなさい」

それが答えなのか、そうじゃないのか、俺にはわからなかった。

俺は、音を立てずに、自分の部屋に戻った。

喉は、まだ渇いていた。

でも、そんなことは、どうでもよかった。

◇ ◇ ◇

布団に入っても、眠れなかった。

天井を見ていた。

姉ちゃんが、頭を下げていた。俺のために。俺が、名前を盗んだ人が。

胸の奥のほうが、ぎゅうっと、ネギを切った時の目みたいに痛かった。

その時だった。

コン、コン。

ドアが鳴った。

俺は、布団の中で、びくっと跳ねた。

――ノック?

高橋家で、ノックをする人間は、俺だけだ。

母さんはノックしない。父さんは、そもそも俺の部屋に来ない。姉ちゃんは、ノックという文化を持っていない。

じゃあ、今のは、誰だ。

泥棒か。幽霊か。礼儀正しい泥棒か。礼儀正しい幽霊か。

「……ど、どちら様ですか」

自分の部屋で、ドアに向かって「どちら様ですか」と聞いたのは、人生で初めてだった。

ドアの向こうで、ため息が聞こえた。

「私だよ。バカ」

姉ちゃんだった。

「……姉ちゃん、今、ノックした?」

「したよ。悪い?」

「いや、悪くはないけど。初めて聞いたから。姉ちゃんのノック。二十一年で初めてじゃない?」

「あんたが生まれたのは十六年前でしょ」

「そういう問題じゃなくて」

「開けるよ」

ガチャ、とドアが開いた。

結局、返事を待たずに開けた。ノックの意味がない。でも、それが、すごく姉ちゃんだった。

◇ ◇ ◇

姉ちゃんは、パジャマ姿で、腕を組んで立っていた。

その手に、白い封筒を持っていた。

見覚えがあった。口座を解約して、姉ちゃんの銀行口座に戻ってきた、約四万円。姉ちゃんが、一円も手をつけずに封筒に入れて、自分の机に置いていた、あの封筒だ。

姉ちゃんは、それを、俺の布団の上に、ぽんと投げた。

「これ」

「……何」

「あんたのでしょ」

「いや、それは、口座の……姉ちゃんの名前の……」

「名前は私でも、中身は、あんたのお年玉の残りでしょ」

姉ちゃんは、少しだけ目をそらした。

「ばあちゃんの分も、入ってるんでしょ」

息が、止まった。

ばあちゃんのポチ袋。「れんくんへ だいじに つかってね」。あの、ふにゃふにゃの字。

俺は、八十万円が四万円になった夜、あの袋を握りしめて、ばあちゃんのお年玉まで消してしまったと思っていた。

消えていなかった。

四万円のどこかに、ばあちゃんの分が、ちゃんと残っていた。少なくとも、姉ちゃんは、そう思ってくれていた。

「……受け取れないよ」

「受け取りな」

「だって、俺、姉ちゃんの――」

「わかってる。私の名前、勝手に使って、私の免許証見て、私の印鑑押して、電話に変な声で出て」

「……変な声のことも、知ってんの」

「証券会社の人が言ってたよ。『お電話の時と、お声がずいぶん違いますね』って。私、頭下げながら、恥ずかしくて死ぬかと思った」

死ぬほど恥ずかしいのは、俺のほうだ。今。

姉ちゃんは、俺の机の椅子を引いて、どかっと座った。

それから、俺の顔をまっすぐ見た。

あの日、リビングで正座した俺に、「三十秒だけ聞いてあげる」と言った時と、同じ目だった。

「蓮」

「……うん」

「次は、自分の名前でやりな」

◇ ◇ ◇

その言葉を聞いた瞬間、何かが、ぶつんと切れた。

視界が、ぐにゃっとゆがんだ。

ネギは、ここにはない。

なのに、目の前が、全然見えなかった。

「……ご、ごめ……」

声にならなかった。

ごめん、と言いたかった。ありがとう、と言いたかった。あと、「最後までやる」とか、「絶対に今度はちゃんとやる」とか、かっこいいことも言いたかった。

でも、口から出てきたのは、「ぶえっ」という、ものすごく情けない音だけだった。

鼻水が出た。

十六歳の男が、布団の上で、四万円の封筒を握りしめて、ぼろぼろ泣いていた。

姉ちゃんは、しばらく黙って、それを見ていた。

それから、椅子から立ち上がって、俺の頭に、手をのせた。

小さい頃、俺が転んで泣いた時、姉ちゃんはいつも、こうやって頭をぐしゃぐしゃにしてから、「泣くな、男でしょ」と言った。

今日も、そう言うんだと思った。

姉ちゃんは、俺の頭をぐしゃっとつかんだ。

そして、ぴたりと止まった。

鼻を、くん、と動かした。

「……泣くな」

「う、うん……」

「ネギくさい」

「…………」

「あんた、頭までネギくさいよ。どうなってんの」

「……ば、バイトだから……」

「シャンプー、変えな。私の、貸してあげるから」

姉ちゃんは、俺の頭から手を離して、パジャマの袖で、自分の手のひらを、ごしごし拭いた。

ひどい。

ひどいけど、俺は泣きながら、笑っていた。泣いているのか笑っているのか、自分でも、もうわからなかった。たぶん、両方だった。鼻水が、ちょうちんみたいにふくらんだ。

「汚い」

姉ちゃんは、ティッシュの箱を、俺の顔に押しつけた。

そのティッシュを押しつける手が、少しだけ、震えていたことを。

俺は、たぶん、一生忘れない。

◇ ◇ ◇

姉ちゃんは、ドアのところまで歩いていって、振り返った。

「あと、あれ。この前、私の部屋の前に置いた封筒」

「……うん」

「あれは、いらない」

胸が、ずきっとした。

「誕生日プレゼントの『代わり』なんて、いらない。私がほしいのは、代わりじゃなくて、プレゼント」

姉ちゃんは、腕を組んだまま、あごをくいっと上げた。序列二位の顔だった。

「プレゼント、まだもらってないからね」

「……うん」

「来年は、自分で稼いだお金で、ちょうだい。すげえやつ、用意しとくんでしょ?」

覚えていた。

あの夜、八百万円の夢を見ながら、俺が軽く言った言葉を。

「……おう」

「期待しないで、待っとく」

あの時と同じ台詞だった。

でも、あの時とは、全然違う声だった。

バタン、とドアが閉まった。

◇ ◇ ◇

俺は、しばらく、封筒を握ったまま、ぼーっとしていた。

それから、封筒の中身を確かめた。

四万円と、少し。

そして、お札の間に、一枚の小さな付せんがはさまっていた。

姉ちゃんの、丸っこい字だった。

――利息は、プリン一個。高いほうのやつ。

俺は、また泣いた。

それから、笑った。

利息まで、ちゃんと取るところが、すごく姉ちゃんだった。千夏といい、姉ちゃんといい、俺の周りの女の人は、どうしてみんな、こんなに取り立てがきっちりしているんだろう。

ベッドの上で、ばあちゃんのポチ袋をはさんだ通帳を、引き出しから出した。

封筒を、その隣に並べた。

ポチ袋の、ふにゃふにゃの字。付せんの、丸っこい字。

――だいじに、つかってね。

うん。

今度こそ。

自分の名前で。

その夜、俺は数学のノートを開かなかった。開いたけど、字がにじんで、一行も読めなかった。

かわりに、スマホのメモに、一行だけ書いた。

――次は、自分の名前で。今度は、最後まで。

明日の俺が、ちゃんとそれを守れるかどうか。

少なくとも今夜の俺は、三日坊主の俺じゃないと、信じたかった。

――後になって、わかったことがある。

あの夜、姉ちゃんの部屋の「ロンドンまで、あと何日」のカレンダーの横に、一枚、新しい付せんが貼られていたらしい。

それに何が書いてあったのか、俺が知るのは、ずっとずっと、先の話だ。

(第17話 終わり)



第17話を読んでいただき、ありがとうございます!

高橋家で二十一年間(本人の主張)一度も鳴らなかった、姉ちゃんのノック。そして「次は、自分の名前でやりな」。作者は書きながら、蓮と一緒に「ぶえっ」となりました。

無口な父さんの、たった三行の昔話。母さんが知っていた、消える部屋の電気。高橋家は、大事なことほど本人に言いません。

ちなみに、感動の場面のはずが「泣くな、ネギくさい」で台無しになるのも、高橋家らしさです。利息のプリン(高いほう)も、忘れずに。

次回、第18話「取引ノート、1ページ目」。店長の授業が始まります。そして雨の夜、くまやに意外なお客さんが――。

蓮と一緒に泣いてくださった方も、笑ってくださった方も、ブックマークや評価で応援していただけると、蓮の手のあかぎれが少し治る気がします。


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