戌亥寺
「ぐわッ」
悲鳴を上げ、前のめりに倒れてきた男の手からスタンガンをもぎ取る。
郵便局員の服を着た男は、それを明人に押しつけようとしたが、すんでの所で相手の腕を取り、捻って逆に押しつけてやった。
男の背後に隠れていた白装束の男二人が、庫裡の中に雪崩れ込もうとする。
明人は偽局員を白装束たちに叩き付けた。
この服には見覚えがある。
アークソサエティ……
偽局員を押しのけ白装束の一人が拳銃を構え、いきなり発砲した。
背後にある障子に穴が開く。
サイレンサーを装着しているので、大きな音はしない。
本気で殺すつもりだ。
しかし腕は良くない、殺られる前に何とかしなければ。明人は間合いを詰めてスタンガンを押し当てようとした。
相手は彼の動きに素早く反応し、銃のグリップでスタンガンを叩き落とした。射撃は下手だが格闘技は得意らしい。
手の痛みを無視し、明人は信者に体当たりした。そのまま銃を奪おうとするが、向こうもそう簡単に放してくれない。
揉み合っていると、三人目の男が背後に回り込む。
銃を奪うのはあきらめ、明人は相手を体落としの要領で投げ飛ばし、背後の男にぶつけた。
二人とも床に倒れる。
「がッ」
と、拳銃を持った男が悲鳴を上げた。見ると床に血だまりが広がっていく。三人目の信者はコンバットナイフを手にしており、投げられた勢いでそれが背中に突き刺さったのだ。
傷は深い、刃先が腹から突き出ている。
その様子に記憶がフラッシュバックし、明人は思わず自分の傷跡を服の上から押さえた。
彼の動揺を察知したのか、ナイフの男は仲間の身体を押しのけ、拳銃を奪い取る。
明人も我を取り戻し、残った信者に掴みかかった。




