↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼多見奇譚 参 戦慄の人造神  作者: 大河原洋
PR
7/46

戌亥神社

 二度柏手を打ち、深く礼をした後、軽く一礼し、朱理は戌亥神社にお参りを済ませた。


 クゥ~ンと声がするので振り返ると、梵天丸と政宗が不安げに見つめている。特に政宗は落ち着きがない。二匹の頭に手を乗せる。


「だいじょうぶだよ、おじさんとお母さんが助けに行っているんだから。

 それに、仏様にも神様にもお願いしたしね」


 神社に来る前に戌亥寺の本堂でも妹の無事を祈ってきた。しかし、犬たちと同じように朱理の心から不安は消えていない。


  どうしてお祖父さんがいない時に……


 叔父と母には申し訳ないが、やはり一番頼りになるのは祖父の鬼多見法眼だ。朱理と紫織には甘過ぎだが、悠輝に接する時の厳しさや迫力には圧倒される。祖父がいればもっと安心出来たろう。


 そう思ってハッとした。法眼が不在なのは、偶然ではなく必然なのではないか。


 視線を上げると、二対の犬の像が眼に入った。戌亥神社には狛犬ではなく、狐に似た白犬と黒犬が置かれている。戌亥神社の縁起は次の通りだ。



  遙か昔この地に村々を襲う大きな鬼がいた。


  人々が困っているところに、一人の修験者が訪れ鬼退治をする事となった。


  修験者と鬼は三日三晩戦い続けたが、鬼は恐ろしく強く、修験者は力尽きようとしていた。


  さすがに覚悟を決めたその時、日の出と共に白犬と黒犬が現れ鬼を退治した。


  鬼の亡骸は小山になり、その形が猪に似ている事から猪山と呼ばれるようになった。



 鬼が蘇る事が無いよう修験者が猪山に建てたのが戌亥寺だ。その修験者、戌亥寺の初代住職が鬼多見家の祖とされ、白犬は修験道の開祖役行者、黒犬は出羽三山の開祖蜂子皇子《はちすのみこ》が化身した姿とも伝えられている。


 さすがにこれは眉唾だと思うが、修行を始め、ある程度験力を使えるようになると、猪山自体に何かの力を感じるようになった。同じように梵天丸と政宗にも験力を感じる。叔父は偶然だと言うが、朱理は運命と思えてならない。


 二匹をギュッと抱きしめる。もし、紫織を誘拐した犯人が法眼の留守を狙ったとなると、相手は鬼多見家の事情に精通している。それは一体何者なのか。祖父には明人が連絡すると言っていたが、どうなったのだろう。


 確認のために庫裡へ戻ろうとしたその時、犬たちの様子が変わった。朱理を庇うように立ちはだかり、鳥居を睨み付けて低く唸る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。