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鬼多見奇譚 参 戦慄の人造神  作者: 大河原洋
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戌亥寺

 門脇明人はペーバータオルで水分を取り去った素麺をラップで包み、次々と冷蔵庫へ詰め込んだ。自分も朱理もほとんど手を着けなかったため、三人分は残っている。悠輝たちが戻ってきたら、これでお好み焼きを作ろう、みんなお腹をすかせているはずだ。これだけで足りないなら、檀家から頂いたカステラがある。


  でも、夕食前になるなら、少ないくらいが丁度良いかも……


 不安を打ち消そうと、明人は紫織が戻った時の事を考え続けていた。朱理はさっきまで本堂にいたが、今度は社《やしろ》に行くと言って梵天丸と政宗を連れて出ていった。恐らく妹の無事を祈っているのだろう。


 悠輝たちが出て行ってから、叔父で師匠でもある法眼に電話をしたが、圏外になっており繋がらなかった。法眼は今朝から所用で高野山へ出かけている。不安が拡がる。紫織の救出には悠輝だけではなく遙香も向かっている。この二人がいれば陸上自衛隊でも蹴散らせるはずだ。


  だから、何も心配する必要は無い、はずなのに……


 脳裏に蘇るのは今年の二月、自分が関わったアークソサエティの事件だ。明人は脇腹を押さえた。あの時、誘拐された市長の娘を取り戻すため潜入し、脇腹を刺されたのだ。紫織が誘拐されたと知ってから、傷が疼き続けている。


 キンコーンとチャイムが鳴り、明人は現実に引き戻された。


「は~い」


 玄関へと急ぐ。


「書留で~す、ハンコをお願いしま~す」


 下駄箱の上に隠してあるシャチハタを手にして、引き戸を開けた。帽子を目深に被った男が、手に持った長方形の機械を明人に向けて突き出した。


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