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鬼多見奇譚 参 戦慄の人造神  作者: 大河原洋
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アークソサエティ本部

 郡山駅西口から南に一キロほど行った処に、アークソサエティの本部がある。今朝から蜂の巣をつついたような大騒ぎだ。


 半年前に大槻大聖堂で遺体が発見された時も、井《いの》上《うえ》義《よし》彦《ひこ》巡査部長はここを訪れた。あの時も全国からマスコミが押し寄せ、野次馬も市内外からやって来たが、今回は前回よりも人数が多い。昨日の信者を殺害された事件から一転、彼らが子供を誘拐し、更にその家族に殺人の濡れ衣を着せようとしているというのだから無理もない。


 本部には教祖の耶蘇未麓《やそみろく》はおらず、誘拐された真藤紫織《しんどうしおり》の姿も無い。だが、現実に門脇明人《かどわきあきと》の証言通り、牧田診療所には争った形跡があり、現在捜索が続けられている。


 井上が部下と共に、マスコミや野次馬が本部の中に侵入しないように監視していると、一人の男が近付いてきた。


「関係者以外立ち入り禁止……」


「至急、パトカーを出してください」


 心地よい低い声で彼は言った。


  何だ、こいつ?


 井上はそう思ったが、


「はい、直ぐに用意します」


 口から出たのは思ってもいない言葉だった。しかし、おかしいという考えはすぐに消え、彼は部下に後を任せ、男をパトカーに乗せ、自らハンドルを握った。


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