エッセイ「透明のクリームソーダ」
炭酸のたっぷり入ったグラスに氷がいくつか。その上に真っ白なアイスがぽかっと乗って、上にちょこんと真っ赤なさくらんぼなんかが乗ったなら、それはクリームソーダと呼ばれる飲み物になります。
「クリームソーダ」
この単語を目に耳にしたら、大部分の方の頭に浮かぶグラスはきっと、緑色をしていることでしょう。
今でこそ何色もあるだろうクリームソーダですが、私が子どもの頃には大部分が緑色でした。たまに外で喫茶店に入ってクリームソーダを頼んだ時には、その緑色にわくわくしたものです。
ですが、私の思い出のクリームソーダの色は緑ではありません。透明です。
夏休みの頃になると、父が30本入りのビン入りサイダーを買って、団地の3階の部屋まで持って上がってくれてました。それを冷蔵庫で冷やしておき、冷凍室に入っているアイスで母が作ってくれたクリームソーダ、それが一番の思い出です。
「暑いなあ、クリームソーダ飲もか」
当時はまだ部屋にエアコンなんてなかったので、買い物から帰ってきたら上着を脱ぎ捨ててほぼ下着姿になりながら扇風機を強にして、それから母がそう言ってくれたりしました。
コップに透明のサイダーを注ぎ、氷もいくつか。その上にスプーンですくったバニラアイスを乗せたら出来上がり。上にさくらんぼは乗ってないし、お店のと違ってなぜかたくさん泡立ってるけど、それをスプーンでかき混ぜながら、アイスを食べながら飲むのは楽しみでした。
「もうちょっと飲もか」
時にそうしておかわりもして、汗をたっぷりかいた後の体が冷えてうれしくなったものです。
普段はあまりジュースを飲まなくて、今ではいざという時のノンシュガーコーラを置いてあるだけですが、夏になると透き通ったサイダーを買って、母のクリームソーダを作ることがあります。
自分で作ったクリームソーダも、やっぱりお店のよりはぶくぶく泡立って見た目もよくはありませんが、それでも私には世界で一番おいしいクリームソーダなのです。




