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noteの小部屋  作者: 小椋夏己
20260705(日)「毎週ショートショートnote」

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七夕の歩幅

「織姫と彦星って14光年離れてる、行くだけで14年かかるから一年で七夕の日だけ会うなんて無理」


 子どもの頃、いとこのお兄さんに教えられ、私は素直に、


「へえ、そうなんだ」


 と言ってその言葉を受け止めた。


 お兄さんは学校で習ったばかりの「光年」の話をしたかったんだが、あまり反応がなかったのでそこでやめたと後に笑って言っていた。


 実はこの時の私は「行くだけで14年」の意味がよく分かってなかったし、こんなことも考えていた。


「どうやって行くんだろう。歩いたら14年でも自転車か車や電車、そうか空だからロケットか」


 と、織姫と彦星は本当にいると信じた上で、おとぎ話に自分の知ってる交通手段を七夕の歩幅として当てはめ、科学的考察をしているつもりだった。


 今なら光の速さを超えることは不可能だと分かるけど、あの時の私の中では二人はしっかりと逢瀬を楽しんでいた。


 夢や想像は時に光より早く走る、今も私の空想は遠い空を飛び続けている。

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