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noteの小部屋  作者: 小椋夏己
20260614(日)「毎週ショートショートnote」

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19/24

半導体大仏

「お父さん怖い」


 外出から帰った4歳の娘が、泣きそうな顔で私に抱きついてきた。どうやらまた叱られたらしい。


「車がたくさんの交差点でお父さんの手を放してはいけませんとあれだけ言ってるだろう!」


 それは叱られても仕方がない、叱らないといけない。そんな状況になった時、夫はしばしば本気で娘を叱りつける。


「お父さん、いつもはあんなに優しいのに」


 そう、夫は本当に優しい。仏様のようだとしばしば言われる。声を荒げることなどほとんどない。


 その仏様、いや体が大きいから大仏様がいきなり仁王様に変身する。デジタルの0から1、オフからオン、まるで半導体がスイッチを切り替えるように様変わり。それは娘も恐ろしかろう


 だけどそれは娘を本気で愛して心配しているから。


 私が言い聞かせると娘も納得して、すぐにお父さん大好きに戻るけど、当の大仏様は愛する娘に嫌われていないかと、しゅんとしているのがいつもかわいくて、そしてちょっとかわいそう。

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