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noteの小部屋  作者: 小椋夏己
20260611(木)「水を飲むから始まる作品・シロクマ文芸部」

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18/24

水を飲むには手順を踏まねばならない


まず水を用意する


水はなんでもいい


水道から出る水でも


井戸から汲んでも


ペットボトルから注いでも


なんでもいい


次は入れるものを用意しないと


透き通るグラスでも


汗をかくような金属のコップでも


手にしっくりくる陶器のマグカップでも


なんでもいい


選んだ容器に選んだ水を入れる


持ち上げたそれを


好きな速度角度で持ち上げて飲む


それだけで飲むという行為は完結する


人の身体の半分以上は水でできているそうだ


ならば人が水を求めるのは至極当然のこと


水は人が形を保つために


何よりも必要なものだから


そりゃあ欲しくなるでしょうよ


だけど人は動物とは違い


植物とも違い


そこにある種の儀式や嗜好を必要とする


そのへんの水たまりに


手をつっこみ顔をつっこみ


周囲の目を気にせずに


飲むということはしない


水を飲む


ただそれだけの単純な行為


生きるために必要な行為


なのに人が人であるためには


それだけでは終われない行為


私たちは人であるために


今日もいつもの手順で水を飲む


明日もきっと明後日も


自分が人であるかぎりずっと

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