エッセイ・お水が一番
水を飲むという行為は日本ではかなり安易であり、そしてかなり安価でできる行為だと思う。
日本中どこに行っても水道があり、ほとんどの蛇口から飲める水が出る。さすがに便器に流れ出る水を飲もうとは思わないが、トイレの手洗い場の水だって飲むことはできる。
そもそも水道には上水、中水、下水の三種類があり、大部分の水道から出てくるのは上水、浄水場できれいにして飲水として使えるようにしてある水だ。各家庭に供給されるのはこの上水。
中水ははっきりとここでというのはよく分からないが、定義としては飲むことはできないが人体に悪影響のない水だそうだ。トイレを流すのに使われるとの説明もあるが、各家庭のトイレではこれではなく上水が使われていると思うので、特定の公共トイレとかそういう場所では使われているのかも知れない。
うちのお墓のある墓苑の水道には「飲料ではありません」と書いてあるので、おそらくこの中水じゃないかと思っているが、確信はない。
下水は言うまでもなく家庭で使った後に汚れた水、トイレを流した水などのこと。これをまたきれいにして使うのが中水なのかも。
昔読んだエッセイか何かで、ある国に行った日本人が、日本ではトイレに流す水まで全部飲むことができる水、つまり上水であると言ったところ、
「なんでそんなもったいないことを」
と言われて意外だったらしい。その人はてっきり日本はすごいとか褒めてもらえると思ったので、なるほどもったいないのかと思ったそうだ。私も同じくなるほどと思ったけど、各家庭にわざわざトイレ用とかの中水道を通す手間や場所を考えると、やっぱり全部上水になるんだろうなと思ったのを覚えている。
それほどどこでも水が飲める日本ではあるが、私には時々困ったなと思うことがある。
それは外食の時の、
「ドリンクはどうされますか?」
という場面でのこと。大抵の人はジュースやアルコール飲料をと注文するけど、私は食事の時にはできたら水を飲みたい。普段からご飯の時以外でもほとんど甘いドリンクは飲まないし、お酒は飲めないので。
なので「水を」と言う時に、時々なんだか後ろめたい気持ちになる時があるのだ。
なぜなら日本では、大部分の飲食店では水が無料だから。一人だけドリンクを注文しないとなると、お金がないとかケチだとか思われるんじゃないかと思ってしまい、本当は水だけでいいのにどうしてもドリンクを注文することになる。
その時に多く頼むのは烏龍茶だけど、本当は水がいい。家ではルイボスティーを沸かして麦茶のようにして飲んでいるが、あまり濃くはないので水に近い飲みものだと思ってもらえばいいかと思う。でも外でこういうお茶を頼むと濃くて味がかなり主張してくる。甘いドリンクよりはましなので頼むが本心は水が飲みたい。
海外旅行に行った時にはこれがかなり気楽になる。どうしてかというと水も有料だから。他の人が甘いジュースやアルコールを頼んでいる時に、同じ大きさの声で「水を」と堂々と言える。
いや、別に日本でも言ってもいいんだが、よく知ってくれてる人は私が水を飲みたいのだ、水が好きだと分かってくれているものの、それほど親しくない人、初対面の人との食事の席では遣わなくていい気を遣ってしまうこともある。
ただ、そんな私が最近嬉々として注文するドリンクバーがある。某イタリアンファミレスのドリンクバー、税込み200円。このお店は数名で行っても全員がドリンクバーを注文しなくてもいいのだが、今は行くと必ず私も注文している。
お目当ては、
「アイスカプチーノ」
前にお付き合いでドリンクバーを頼んだ時、こんなのがあるのを見つけて飲んでみたらなんともおいしくてはまってしまった。
普段、コーヒーもあまり飲まないのだが、ここに来ると最後はアイスカプチーノと決めてドリンクバーを頼むので、そのついでに料理が来る前にちょこっとだけ甘いジュースの味も見たりするようになった。
もちろん料理が来た時に飲むのは水だけど、最後の〆はアイスカプチーノ。この一杯のために200円出せばいいだけって、かなりかなりお得だと思う。
こうして水を飲む以外に、ちょっと他のものを飲む楽しみもできたけど、本当はやっぱり水が一番と思っている私です。




