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noteの小部屋  作者: 小椋夏己
20260607(日)「毎週ショートショートnote」

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14/24

踏切オーディション

  踏切の前、たくさんの動物がずらりと並んでおりました。


「私のご主人はとっても優しくて、いつもきれいな毛並みだねって褒めてくれました」

「よろしい通りなさい」


 誰かの声がそう言って、猫が一匹、踏切が上がってとことこと向こう側に。


「僕のご主人はいつもフリスビーを投げてくれて、取りに行くの楽しかったなあ」

「よろしい通りなさい」


 また犬が一匹、踏切が上がってとことこと。


「僕は」

「私は」


 誰かがご主人の話をしたら、その度に誰かが、


「よろしい通りなさい」


 次々に通っていきます。


 次に並んでいた犬が悲しそうに、


「ボクのご主人様は全然優しくなかったです……ボクは耳を切られて尻尾に火を点けられて、最期は……」

「よろしい通りなさい」


 その犬も横断歩道を渡ることができました。


 動物は素直で嘘をつくことができません。なので神様は嘘をつく人間ではなく、動物の話で飼い主をオーディションしています。


 ご主人が無事に踏切を渡れるかどうかの。

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