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踏切オーディション
踏切の前、たくさんの動物がずらりと並んでおりました。
「私のご主人はとっても優しくて、いつもきれいな毛並みだねって褒めてくれました」
「よろしい通りなさい」
誰かの声がそう言って、猫が一匹、踏切が上がってとことこと向こう側に。
「僕のご主人はいつもフリスビーを投げてくれて、取りに行くの楽しかったなあ」
「よろしい通りなさい」
また犬が一匹、踏切が上がってとことこと。
「僕は」
「私は」
誰かがご主人の話をしたら、その度に誰かが、
「よろしい通りなさい」
次々に通っていきます。
次に並んでいた犬が悲しそうに、
「ボクのご主人様は全然優しくなかったです……ボクは耳を切られて尻尾に火を点けられて、最期は……」
「よろしい通りなさい」
その犬も横断歩道を渡ることができました。
動物は素直で嘘をつくことができません。なので神様は嘘をつく人間ではなく、動物の話で飼い主をオーディションしています。
ご主人が無事に踏切を渡れるかどうかの。




