7 とっとと始めましょう?
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「とっとと始めましょう?危ない話はこれくらいにして。」
どうでもいいよ、そんなことといった雰囲気を出しながら、みんなは配置につく。
僕は…モヤモヤしたけど…でも、切り替えなくちゃ!
「そうね、じゃあ、早速この映画について説明するわ。まず、題名ね、ズバリ、「戦争未亡人」よ。出演者はね、ほとんど、モリスだけなの。あとは、その都度エキストラを使うの。演出的にモリス以外の人物の印象を残さないためよ。」
監督の熱弁にぼうっと引き込まれていたら、いつのまにか、野性的な風貌のクマみたいな男と痩せたネズミみたいな小男が後ろに控えていた。大道具の堂本さんと小道具の戸高さんに違いない。ふっと、その二人に気がそれたが、瞬く間に監督の言葉にひきもどされる。
「モリスが外人ってことで、台詞を日本語でしゃべらせるのか、字幕にするのか、アテレコにするのか、結構悩んだわ。でもね、日本語でしゃべってもらうことにしたの。モリス日本語の特訓するからね!」
モリスが神妙にうなずく。
「肺、モリスやります。」
監督はモリスを見つめながら、続けた。
「モリスは、再現シーンで民族戦争で両親と夫を亡くして、祖母の住む日本に移住してくる日系2世の役をやってもらうわ。」
「肺、全部やります。」
僕はモリスは絶対今の話理解できないと思ったけど、まあそれはおいおい特訓の時にわかるからいいのかな…と思った。
監督は、モリスから僕たち全員を見渡すように視線を移すと、
「最後に重要ポイントを…」
と切り出した。
「この映画のタイムリミットは3か月。かなり、強行スケジュールになることを覚悟して頂戴。それでは、クランク・イン!!」
それからの3カ月は、あっという間に過ぎ去った




