30 科捜研ですか?
◆
「科捜研ですか?」
動かないマック警部の打開策として、マック警部以下二名は、科捜研に出向いた。
においの成分を増強して、マック警部にかいでもらうためだ。
においをかいだマック警部は、ウォワーンとうなった。
「既知のにおいだったんでしょうか?」
「なんか、そんな感じだったけどな…。指示を出さずに自由に動いてもらうか…。時間はたっているけど、既知のにおいなら、たどり着けるかもしれない…」
科捜研を出た一匹と二人は、一匹の移動の速度に合わせて、息を切らせていた。
「は、はやいっすね、警部は…」
「う、う、…」
マック警部がスピードを落として、小走りくらいでついていけるようになった時、
幸田刑事が、
「あの、気のせいかもしれないのですが…」
「ん、なんだ?」
「あ、いえ、気のせいというか、まだ、分かんないんで…あれですけど、
でも、その、マック警部はワンダーランドを楽しみましたか?」
「ん、すこぶる楽しんでいたぞ。うん、お前と同じことを俺も考えている。」
「あ、やっぱり、ですよね。この道…
もっと遊びたかったんですよね…初めての有給だったのに、途中で仕事になりましたもんね。」
「ま、犬だからな…」
「どうします?」
「とりあえずは、止まるまでは追跡。」
「了解です。」
楽しい時を共有したからだろうか。
幸田は、なんとなくマック警部と仙田刑事の距離が縮まっている気がした。
それこそ、気のせいだと言われてしまいそうで、口には出せなかったけれど…。
そして、二人の予想どおり、マック警部はワンダーランドにやってきた。
しかし、その後の行動は、二人の予想外だった。
入場門を抜けて、ワンダーゾーンに入る手前で、鼻をひくひくさせて、何かを確認した。
においの筋を発見したマック警部は、もう迷わなかった。
幸田刑事が暇をつぶしていた待合ゾーンの方角へ進んでいく。
予想外の行動に、二人の刑事は顔を見合わせた。
???
マック警部は、お構いなしにずんすん進んでいく。
やがて、待合ゾーンのショーが開催されるホールに至る。
ホールに入ろうとして、途中で係員に呼び止められたが、捜査中なので、どうどうと国家権力をちらつかせて中に入った。
すると、もう、まさに、今始まる寸前の状態であった。
さすがに何の確証もなくショーを中断させてまで、捜査するわけにはいかない。
舞台のそでに近い座席に座って、マック警部に「待て」をした。
マック警部は上司ではあるが、警察犬の訓練が身に染みているので、正式な「待て」がかかれば、お行儀よく待っていられるのだ。
「ショーが終わってから、捜査を開始しよう」
1匹と二人は、刑事の気配を消して、ひとまずは観客の気配をまとった。




