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【第二章】第十一部分

洞穴内は暗い筈なのに、視界が開けていた。エロザと智流美が火花を発していたからである。

「さて、これからどうすべきか。このまま、ここに留まるか、洞穴の奥に進んで出口を探すのか。」

「テント、テント、テント張ッテ、カップル♪」

エロザは楽しい歌とは違う厳粛な目つきで、テントを要求している。すでに設置作業に入ろうとしている。心なしか手が震えている。

「寝袋、寝袋、寝袋でカップル♪」

智流美は明るい歌声とはかけ離れた荘厳な視線で、寝袋を主張している。こちらも寝袋を地面に広げつつあるが、動作は緩慢である。

「まだ寝るには早いだろう。」

「ハイッ!」「はいっ!」

玲駆のツルのひと声で横になることは回避。

ふたりはブツブツと文句を言いながらもテントと寝袋を片付けていたが、少しホッとしたような表情である。さすがにいきなり、というのはコワいのがオトメ心である。

そんなふたりを見て玲駆は神妙な顔付きをしていたが、洞穴の壁に何かあるのを見つけた。

『こっちに進むと恋も深まります。但し命を賭してもらいます。』

そんな標識。伝説というにはあまりに人為的であるが、恋するオトメは結果のみを重視する。

「ドレイク、コノママ奥ニ、イレテクダサイ。」

「そうよ。突っ込んでいくわよ。」

「そ、そうだな。解決するには、それがいちばん手っ取り早い気がするな。」

 標識による注意喚起は続いている。

『この道は、男女一組しか通れません。一度進んだら後戻りはできません。』

「ひとりを連れて行って、もう一度やるとかはできないようだな。魔法でも使わないとダメみたいだな。」

「じゃあアタシがやるわ。」

「美散、いつから魔法使いになったんだ?」

「あ。ごめん。魔法少女のアニメを見過ぎちゃって、そんな気になっちゃった。あははは。」「なんだ、そうか。あははは。」

「と言う彫り物背中の隙を突いて。移動魔法!」

智流美はエロザを道の先へ投げようとした。

「重い。全然動かないわ。まるで大仏様だわ。」

「美散、なにやってるんだ?」

「な、なんでもないわ。この女に、ゴキブリがついていたから、取ってやったのよ。」

「ゴキブリ⁉ギャアア!」

みるみるうちに真っ青になったエロザが大きくなって、玲駆と智流美を抱えて走っていった。からだがデカくなって、洞穴の壁を壊しながらであったが、走りのスピードは凄まじく、玲駆には何が起こったのか、わからず、すぐに酸素不足になり気絶した。

巨大化エロザは急停止した。そこには池と橋が見えた。その時、エロザは元の大きさに戻っていた。

「エロザ、あんた、まさか、半巨人のピッチャー?」

「ソウデス。今頃気ヅキマシタカ、美散サン。イヤ、魔法人格サン。」

「どうしてアタシのこと、知ってるのよ?って、半巨人なら聞くまでもないわね。でもどうして野球しか能のない半巨人が、人間界に来てるのよ。」

「能ナシハ巨人軍モ同ジデス。」

「それはそうかもしれないけど。いや、全然違うわ。だいたい、アタシたちはもともと人間で、病気で巨大化してるだけだし。あんたたち、半巨人は巨人と人間のハーブでしょ。」

「ハーブノヨウニ、イイ香リデスガ、正確ニハ、ハーフヤ、クオーターナドデス。」


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