【第二章】第十二部分
「いったい何を企んでいるのよ。」
「今朝宣言シタ通リデスガ。」
「ところで、制服がパーフェクト消滅しているんだけど。」
「キャアアア!」
大慌てでジャージに着替えたエロザ。いちおう、裸になる場所を弁えているらしい。
「ううう。俺は気を失っていたのか。」
倒れていた玲駆が目を覚ました。
「変なふたりがくっついている。美散は変わったな。しゃべり方だけじゃなく、フンイキが。
エロザはあまり話したことがないのに、スキンシップを求めてきているようだが、留学生とはこんなものなのか?」
「そ、そんなことはないわ。アタシはウエストから下までいつもの美散よ。」
「上半身が変わらないのは一目瞭然だがな。」
「うるさいわね!そこは成長したとか、伸びたとか、株価大暴投したとか、言いなさいよ!」「その暴投はマズいだろ?」
「ワタクシは留学生デスカラ、開放的ナダケデス。外人トハ、ソウイウモノデスカラ、安心シテ、使用シテクダサイ。」
「そうなのか、まあいいけど。」
橋の手前に立て札があった。
『この橋を渡ること。今度はふたりで一緒に気持ちを合わせる、つまりからだを密着させて渡らないといけない。さっきの走りは、たしかにひとりは男女の概念を超えていたので、アウトではないが、同じ手は使えない。例えば、お姫様抱っこで通行可能であるが、その直後に橋は壊れてしまい、残りひとりは、男女カップルレースから脱落となるから注意すること。なお、池には濃硫酸が張ってあり、転落したら熱湯コマーシャルでは済まされないので気を付けること。リア充は遠いんだからな。』
「ずいぶん細かいお品書きだなあ。丁寧語でもなくなって、すごく高圧的だし、筆者はムカついてるのかな。とにかくこの立て札の指示に従わないと先に行けないわけだ。残されたらどうなるのか不安もあるな。池にかかる橋はふたりしか渡れず、渡ったら壊れる。さて、どうするか。」
玲駆は顎に手を当ててしばし熟考した。
「ひとりをお姫様抱っこ。一回しか渡れない、しかもふたり分の重量のみ。そこで、橋の上を渡るのではなく、下を雲梯に見たてて渡るのはどうかな。定滑車の原理で、ふたりが俺のからだに密着して、雲梯のように腕を互い違いに進めていく。こうすれば、二本の腕に体重がかかり、二分の一の重量で済む。女子ふたりなら体重は軽いだろ。」
「それはグッドな発想ね。ア、アタシは軽いわよ。」
「ワ、ワタクシハ、ダイエットシテルカラ軽いデス。」
ふたりはそう言いながら汗が滝のように吹き出していた。外見上はデブってはいないが、半端ない重量であることは互いに自覚している。




