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第4話 蘇生探偵! そんなのことしちゃいけない!

 前回のあらすじ。

 竜の女の子に惚れられたよ、まただよ。




「よくぞ戻って参った! お主ならできると踏んでおったぞ。ヘタロイヌ国が王、エルモンド・シーフ・ダルロスの名において貴殿に褒美を授けよう! と言いたいところなんだがなぁ……」



 城に戻り件の竜退治を報告すると、王は大層喜び賛辞を送ってくれたのだが……



「我が優秀な臣下が不審死を遂げたと聞いてな、なんぞパパっと解決してくれるものはおらぬものかのう……はよ解決せぬと民に知れ渡ってしまう」



 チラチラどころか前傾姿勢を取り食い付くように俺の事をみている。

 せっかく使えるやつが来たのなら使いまくれとでも思っているのか露骨過ぎて失笑してしまう。



「露骨過ぎて笑ってしまいますね。王様って強かでないと駄目なんでしょうねぇ」

「昔を思い出すわね。ああいう無茶振りをこなせたら出世しやすいわよ、頑張りましょうか」


「がんばるー。」



 どうも3人はやる気のようだ。

 不審死を遂げたというのはこの国随一の賢者と言われる男で、今日未明締め切った部屋の中で発見されたという。


 普段から研究で閉じこもることが多く何日も部屋から出ないこともママあるそうだが、心配した使用人の1人が声をかけたところ返事がなく、何かが腐った臭がしたため開けるとそこには遺体が転がっていたという。




「こちらがザルク様の部屋でございます。王の命令で部屋を冷やす以外何も手を付けずそのままの状態でございますのでお気をつけください」



「寒いです!」

「ほら、これ着とけよ」



 扉を開けると鳥肌が立つほど冷気が流れてきた。

 これ以上遺体を腐敗させない為と臭いを抑えるためだろうか、冷気と共に肉の腐った臭気が漂って来るので全員が鼻を摘んで中に入った。


 中は狭くはないのだろうが本棚から溢れた物が乱雑に積まれており、部屋の中心にはかすれた魔法陣と怪しげな物体で息が詰まるような空間だ。



「こりゃだいぶ酷いな」

「ベルちゃん見ちゃだめですよ」

「うーみえない。」

「魔王何だから平気でしょ」



 一際目を引くのは勿論魔法陣の中心に崩れた人間の腐乱死体だ。

 異常なほど密閉された部屋は虫の侵入を許さなかったらしく食い荒らされた形跡はないが酷いものでとても手を付ける気にはならない。



「これはちょっと目に毒だよな。よし、スキル『修復士の神業』これでマシになるだろう」



 腐敗した肉体にスキルを元の姿に戻すと、そこには豊かな髭を蓄えた厳格そうな老人がいた。



「ひげ! ふさふさ!」

「見るからに賢者! て感じの人ね」

「こんなおじいさんを誰が……あ、ワタシ300歳超えてるから若者ですかね?」


「もうちょっと、キャー! とか言わないのかお前ら……ないか」

 


 女の子とはいえ魔王に神に300超のエルフともなれば遺体の1つや2つではまったく動揺しないようで、非常に緊張感の無い捜査がはじまった。



「これ何の魔法陣だ? 所々消されてて分からないな」


「魔導書……ですかね? まったく読めません!」


「人魚の声帯、妖狐の頭蓋骨、魔女の魔鏡、こんなの集めて何の研究してたのかしら?」


「はだかのえ? これなあに?」



 老人の周囲にちらばる目ぼしい物を漁ると奇妙な物ばかり見つかりどうも要領を得ない。

 

 何者かに殺害されたのかと思いこんでいたが探せば探すほどその線は薄れていき、とうとう行き詰まってしまった。



「うーん、聞き込みすれば何かわかるかな」

「そうね、聞き込みは探偵の基本よね」



 


「ザルク様のことですか、あの方はあまり多くを語りませんからね」


「そうですね……過去に私の研究は幼少の頃から夢見ていた果てしない楽園を求めるもの、とかなんとか仰ってましたね。それ以外は特に知りません」


「我が師は人間を超越する術を求めていたそうです。残念ながらこの僕にも話してはくれませんでしたが……惜しい人をなくしました」




「結局わかんねーな!」

「何か凄いことをしようとしてたみたいですね。何なのかわかれば謎が解けるんですけどね」


「恨んでる人も恨まれているウ噂もなかったわね。そもそも人と余り接点を持たないタイプだし偏屈な研究者だったよね」



 聞き込みをした結果。功績から尊敬はされているものの、人と交流を持たない性格のせいでどんな人物か知っている人すらいない始末だ。


 謎が謎を呼ぶと言うよりは情報がなさ過ぎてどうしようもない。

 もう一度あの部屋を詳しく調べてみよう。どうにかあそこから原因を探るしかない、俺達が部屋に戻った時閃いたことがあった。




「これさ、生き返らせたら速いんじゃないか?」


「え? ん? え?」

「そんなのだめに決まってるで……駄目なのかしら」

「それは、いいの?」



 前代未聞と言えば聞こえが言いだろうか。

 なくなった人を生き返らす探偵がいれば秒で解決してしまうだろうが、それはどうなのだと疑問が上がった。



「……………………よし、やっちゃえ。スキル『黄泉帰り』」



 ものは試しに老人に復活の呪文をかけると。体が淡い光に包まれ閉じられた瞼を開け辺りを見回した。



「ここは、私は、君達は……」


「本当にいいのかしら、ザルクさん、貴方は亡くなっていたのです。王様から原因の究明を頼まれていたのですが何か覚えていませんか?」


「私は、たしか……」



 蘇生は成功したがザルクは状況がわからず額をおさえ考え込んでしまった。

 


「おじいさん、この絵はなあに?」



 部屋の中で唯一研究には関係なさそうな裸婦画をベルが見せると。



「あ、おお、うおおおおお、あああああ!」

「どうされたんですか! やめてください!」



 その絵を見たかと思うと突然立ち上がり周囲のものを薙ぎ倒し暴れ始めた。



「ちょっと! 錯乱してるわ! アンタ失敗したんじゃないの!」

「落ち着いてください! ザルクさん!」


「うわああ! ああ!!」



 物静かな研究者とはおもえぬ暴れっぷりでとても手がつけられない!

 顔を真っ赤にしながら破壊を巻き起こす彼は何かを隠そうとしているような……



「落ち着いてください! おち、ん? これは」

「それはああ! 見るなぁ!」



 魔導書を引き裂きばら撒くと1枚の紙が手元に舞い降りた。



「えーと、女体化の秘術?」



 書いてある文字をそのまま読み上げるとザルクの時が止まり。

 


 彼は窓から身を投げた。


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