第3話 赤竜救縁! 赤い鱗はハートの形!
前回のあらすじ。
竜も家出する。
「喧嘩して家出?」
「娘の教育方針で喧嘩してしまってな、思わず飛び出してしまったのだ」
ありがち……と言えばありがちだが竜もそんなことで家出なんてするのか。
「ちなみにどんな内容なんだ?」
「それがな! 聞け人間よ! 娘がつがいを欲しいと言い出してな! まだ娘には早いと思うのだ、まだ若いしアイツでは悪い竜にたぶらかされてしまって」
「まてまてまて! 彼氏が欲しいって言うのを反対してるってことか?」
かなりヒートアップしてまくし立ててくるが、つまりは彼氏なんて作らせないぞ! ていう父親のわがままみたいだ。
「娘はまだ若い! 世間を知らぬのだ! ワシのように世界を周り経験を積み、様々な事をなしてからすべきだというのにアイツはパパは遅れているなどと言い寄ってからに!」
かなり鬱憤が溜まっていたのか、止めようにも止まらない竜の近頃の若者はトークはしばらく続いた。
「貴様! まだ終わらんの、何!!」
戦いの音も止み安全だと思ったのか、ローレンがやって来たものの竜にビビり倒している。
世間話してました。なんて言ったら面倒くさくなりそうなので一芝居打つことにしよう。
「竜め! 貴様の力はこんなものか!」
「む? ……ははは! 人間にしてはなかなかやるではないか! しかしここでは暴れるには少々狭い、本気で相手してやる。ついてこい!」
流石高い知能をもつと言われる竜だ、俺の意図を読み、あわせてくれる。
「俺はあの竜を打ち倒す! 先に城に戻っていてくれ!」
「お、おお、まかせたぞ」
俺の迫真の演技に上手く騙されてくれたようだ。
飛び立つ竜に俺もついていく、ローレンはあまりの風圧に押され尻もちをついていたのが視界の端に写った。
「貴様、演技はど下手くそだな、ワシがどうにかしてやったから良いものをあれは酷いぞ」
「うるせー! 完璧だったろ!」
空を飛びながら竜と話をした。
彼の名前はバシュル、自分でも覚えてないくらい長い時を生きているが、身を固めたのは最近になってかららしい。
恥を忍んで話をしたのだからこの際最後まで付き合えとのことで俺は家族の仲裁役を担うことになってしまった。
「ここがワシの寝床ろよ、妻と娘もここにおる。帰ったぞ! 出てこい!」
「お邪魔しまーす!」
かなり離れていたが、あっという間についた住処は竜の渓谷の奥地にあった。
家出をしたくせに偉そうなバシュルの声に反応して2人の女の人が出てくる。
「え? 人間?」
「なによ、勝手に出ていったくせに偉そうに戻ってくるなんてね。」
「そうよそうよ! 私パパにだめって言われても聞かないからねー!」
「ぬぅ! また人化などしよってからに! 誇り高き竜の姿をなぜとらん!」
「パパは古いんだよ! そんな姿じゃ流行りの服とか着れないっしょ! そういうのダサいっていうんだからね!」
娘らしき少女は赤く長い髪をツインテールにし、どこから手に入れたのか可愛らしい服で着飾っている。
奥さんは同じ髪色だが少し短めで落ち着いた服装をしているが、とても勝ち気な顔をしていて、親子揃って竜のりの字も見当たらない普通の人間にしかみえない。
「人間だ! ママ人間がいるよ!」
「あ、お客さんですか? 主人がどうも、迷惑かけていませんか?」
「あ、いえ、はい、どうも」
「ええい! なにをたじろいでおる! シャキッとせぬか!」
美人な2人に囲まれおもわずキョドってしまう俺、バシュルの様な竜が待ち構えていると思っていたので面をくらってしまった。
「それでこの方はどうされたの?」
「もしかして彼氏候補? なーんだ、パパ許してくれるんだ!」
「違うわ! マサルよ、もし娘に手を出してみろ、命に代えてでも貴様を滅ぼしてやるからな!」
「落ち着け! 目が近い! 怖い!」
巨大な眼をこれでもかと見開き顔の前までもってくるバシュルの凄みに気圧される。
というより話が進まんから落ち着けと言うと、先程あったことを話した。
「まあ、うちの主人が全く敵わなかったんですか」
「ええ! ホントに!? 凄いじゃん!」
「ワシは本気ではなかったがな! なかったぞ! な!」
「う、うん、それで仲裁してほしいって言われてきたんですけど」
2人の驚きようからするとバシュルは竜のなかでも屈指の実力を誇るらしい、ジロジロとなめまわす様に見られ少し恥ずかしい。
「ふーん……じゃあ私と戦ってよ、いいでしょ? いくよ!」
なんでそうなったかわからないが、少女がいきなり攻撃を仕掛けてきた!
手を竜のものに変え、その爪で切り裂いてくるが特にダメージは受けない。
「ちょ、ちょっとやめてくれよ!」
「いいじゃん! パパの力が通じなかったって本当なんでしょ、試させてよ!」
「ごめんなさいね、少し付き合ってあげてください」
「傷をつけたら生きて返さんからな!」
そう言われても困るが俺も見た目少女のこの子にどうもする気は起きない。
見た目に反してかなりの実力を持っているようだが、バシュルと比べては劣っているので別段受けているだけで問題はなかった。
「ホントに強いんだね! ママ!
あれやっていい?」
「程々にしなさいね〜」
わかった! と元気よく返事をし、少女が何やら呪文を唱え始めると巨大な炎が出現し徐々に圧縮されはじめた。
それが手のひらサイズまで小さくなると白く輝きとんでもない代物であることがわかる。
「ゴメン! やりすぎたかも、まあいいか、いっけー!」
「うおおおお!」
投げつけた白い玉が俺に触れると炎の柱になって俺を包んだ。
「あっつ! あっつ! あつぅい!」
その熱は味わったことない熱さで服が一瞬にして消し炭になった。
この熱さはやばい、どれくらいヤバイかというとマジヤバイ。
「『消炎』! あぶねぇ! 火傷するわ!」
「すごーい! ホントに強いんだね!」
「私が教えた技が効かないなんて、貴方すごい人連れてきたわね」
「そうだろう! ワシは本気を出してなかったから負けたわけではないがな!」
スキルで消し飛ばしたが全裸になった上に、危うく火傷してしまうところだった。
感心した3人に囲まれ賞賛を浴びさられる。
そう言えば何しに来たんだっけ?
「お前はまだ弱い、それに世を知らぬ、これに反省したのならワシの言うことを聞いてもうしばらくは「でもアナタもまけたのよね?」
チャンスだと説教をはじめようとしたが奥さんに即座に突っ込まれ言いよどむバシュル。
少女のほうは何やら考え込んでいるふうだったがやがて口を開きバシュルに向かって私が間違っていたと言った。
「わかったよ! 私もうちょっと修行するね! あなたマサルって言うんだよね、私はネルアって言うの、これから宜しくね!」
「おう、よろしく?」
なにがよろしくなのかはわからなかったが目的ははたせたようだ。
彼氏探しに旅立つのはやめにして父親と母親の元で修行を続けるというのでバシュルも分かれば良いと満足げに頷いていた。
「お主には世話になったな、近くによったならば会いに来るがいい、そのときは友として迎えてやろう」
「おう! またなんかあったら相談に乗るからな、じゃあな」
「これあげる! 大事に取っててね! また会いましょ、待ってるから!」
無事、何事もなく終わったのでバシュル達に見送られながら帰ろうとすると、ネルアが赤い鱗を土産にくれたのでありがたく頂戴したが、なぜかとても喜んでいた。
その後鱗をカヤノに見せると アンタは竜すら守備範囲なのかと呆れられてしまった。
最強の男、マサル
残り寿命、15年




