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第2話 黒龍出奔! 破滅の邪竜襲来!

 前回のあらすじ?

 そんなに後悔しません。



 城の遥か南、隣国へと繋がる道の近くに竜が住み着いたという報告があがりそれを退治してこいとのこと

だがそれ自体は大したことではない。



「早くせんか! これだから冒険者というゴロツキはいかんのだ」



 このお貴族様が問題だ。

 ろくに話すらしてくれないので付き従っている兵士の人にこっそり聞いたところ、彼の名前はローレン、由緒正しき家の産まれで王国騎士団の副団長でもあるとのこと、話を聞く限り普段からこんな感じらしく騎士団の人達は苦労が耐えなさそうだと思った。



「何故さっさと転移とやらで移動せぬのだ、俺は暇ではないのだぞ!」

「竜がどこに居るかわからないのにど真ん中に『転移』なんてしたらいきなり襲われるじゃないですか」



 そう言い返すとローレンはフンッと鼻息を立てそっぽを向いてしまう。



「ねぇ、この人に何しに来てるの?」

「副団長として貴様等を監視する責務があるとかなんとか……」

「めんどくさい。」


「しっ、聞かれたらもっと面倒くさくなるぞ」



 竜は森に住み着いたとの情報で入り口までは『転移』したものの、後は地道に探し回らなければならない、ローレンは俺が先頭を行くから勝手な真似はするなよと牽制して来たので大人しく竜の痕跡を探している。



「ローレン様、こちらをご覧ください」

「む、この足跡は間違いなく竜のものだ、この先にいるかも知れぬ、気をつけるのだ!」



 ベルが見つけた馬鹿でかい竜の足跡をこっそりお付の騎士に教えてやると、報告を受けたローレンは得意げにそう言い満足げだ。

 

 こういうタイプは基本たてておけば問題ない、なるべく手柄をまわし期限を悪くしないでおこう。



「魔物の姿が見えませんな、竜のせいでしょうか?」

「その可能系は高い、つまりは情報が確かであるということだ」



 俺達そっちのけで何人かの騎士達と話し合っているが別に良いだろう、不安なところは王様が我が国の軍は根性がない、と言っていたのだ、痕跡を辿りながら凛々しく会議をする彼らは頼りがいのありそうなものだが……



「今のはなんだ!」

「魔獣の断末魔でしょうか、これは大型の魔物がこの先にいると思われます。お気をつけください」



 木が生い茂る森の中、一瞬獣の叫び声が聞こえた。

 押しつぶされたような悲鳴は巨体な何かに襲われた事を示しているのだろうか、騎士達に緊張が走る。



「貴様、見てこい」

「え? 俺が?」


「つべこべ言わず行ってこい! 貴様が引き受けたのだろ!」



 今までオレたちをのけ者にしていたくせにこういうとこは押し付けるのか、根性がないというのもうなずける話だ。

 下手にうろちょろされては巻き添えにしてしまうのである意味部をわきまえていると言えないこともないが情けなさも感じる。



「もし竜がいたら戦闘になるので近づかないでくださいね、巻き込みたくないので」

「俺達を愚弄する気か! 早く行け!」



 だったら自分たちが行けばいいのに……そう思いながら音の方向に歩いていくと、開けた先に黒い竜が口から血を滴らせながら身体を丸め休んでいた。



「おお、マジでいた。やっぱドラゴンはカッケーな」



 黒い鱗に覆われ、巨体に備わった凶悪な爪に牙、全身を覆うほどの翼をもち、その眼は見るものを燃やし尽くしてしまう赫色をしている。

 思わず声をもらしてしまうとその眼が俺を捉えた。

 

 コチラを見つめながらも身体を地に預けたまま構える事はしない、俺など大した脅威ではないとでも思っているのだろうか。



「あー、言葉って通じる? 用があって会いに来たんだけどさ……」

「不敬な」



 近づきフレンドリーに話しかけたのだが、その態度がしゃくにさわったのか太く長い尾で一閃され俺は吹き飛ばされてしまった。



「マサルさん!? 大丈夫ですか!?」

「びっくりしたー、うん大丈夫」



 油断していたので、呆気なく吹き飛ばされてしまったが特に痛みはない、にしても俺は竜にすら不敬なんて言われてしまうのか。



「なんともないならさっさと行け、貴様の仕事だろう?」



 ニヤニヤとコチラを見ながら言うロードに思わず竜の前まで引きずってやろうかと思ったが、なんとかこらえた。

 コイツならあの一撃を食らっては吹き飛ばされる前にバラバラになってしまうだろう、それはちょっと困るな。




「さっきはどうも、話を聞いてほしいんだけど」



 再び竜のもとへ行くと、驚いた表情をしているようで、注意深く俺の様子を伺っている。



「あ、話聞いてくれる? 近くの王様がさ、わっと」



 同じように近づくと、これまた同じように尾を一閃される。

 流石に2度目は同じ手は喰らわぬと軽く跳び避ける。

 通り過ぎていった後に土煙が巻き起こり、相当の速さと重さがあるのをわかるが難なく避けられた竜は少し構えた。



「何者だ、ワシの一撃を食らって人間が何故生きておる。あまつさえ避けるなどと、ありえんぞ」

「別に大したことなかったよ、ビックリしただけ、そんでさ」


「このワシを愚弄する気か! 人間風情が!」

 


 そう言えば竜はプライドが高いって聞いたな、身体を起こし口から火を漏らす黒い竜の姿を見ながらどいつもこいつもメンドくせーと思った。



「よいしょ、」

「何だと!」



 竜のブレスを手で払い飛ばすと驚きの声を上げる。さぞ驚いたのだろう、自分の炎がこうも簡単に消し飛ばされた経験なんてないのだろう。

 俺もこんなことされたらビビって固まるだろうなと眼を見開いているのを見て思った。



「いったい何だというのだ、ワシを殺しに来たのか!」

「いや別に、ここから出てってくれたらいいんだけど」



 下手に殺したら寿命がなくなってしまう、そんな勿体無いことをするくらいなら平和的に解決したいのだがどうも竜はコケにされたと感じたらしい。



「勝ったつもりか! ワシの力を見せてくれる!」

「みたくないなぁ……」



 竜が呪文を唱えるとその身体が黒い炎で包まれ、周囲の草木が枯れはじめる。



「一国を滅ぼした破滅の竜の力、その身で味わえ!」



 大きな爪を振り下ろし俺を切り裂こうとする。

 だが効果はないようだ……


 次に巨大な足で俺を踏み潰そうとする。

 だが効果はないようだ……


 ならばと漆黒の炎を浴びせ焼き尽くそうとする。

 だが効果はないようだ……



「もういい? 服が消滅しちゃったから何か着たいんだけど」

「!? 何故だ! 何故ワシの力が通用せん!?」



 土は抉れ、周囲の草木はすべて灰になり攻撃の苛烈さを物語っているが俺へのダメージは守りきれなかった服くらいだ。

 信じられん、とブツブツ独り言を言っている間に服を作り着込んでおく、こうなるならさっさとしばいておけばよかったかと思ったが竜は憎らしげに頭を垂れ、



「殺すが良い、ワシの敗北を認める」



 敵わぬ事がわかったのかそう言い首を差し出すが、こっちの話を聞いてほしい。



「はやくせい! これ以上辱める気か貴様!」

「いや、話を聞いてほしいんだけど」



 勝手に攻撃してきて散々やった後くっころなんて言われても困るだけだ、とにかく聞けと竜にここに来た経緯を話した。



「そういうことか、しかしワシもやむを得ぬ事情があって元の住処には戻れぬのだ」

「なんだ? どうせならついでに解決してやろうか?」



 人間にそのような事は話せぬ、と言うがこんなに強い竜が居場所を追われるなんてのっぴきならぬ事情があるに違いない。



「負けを認めたんだろ? 死よりも大事だってのかそれは?」

「う、うむ、負けを認めた身が偉そうに言うべきではなかったか、そのだな」



 先程までの威勢の良さはどこへ行ったのやら、途端に言いよどみ中々はなさない、早く言ってくれと急かすとボソリと小さな声で言った。



「妻と喧嘩してしまって家出したのだ……」



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