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第14話 一切筋肉! 森羅万象筋肉に有り!

筋肉まみれです

 前回のあらすじ。

 夢の中にマッチョが出てきた。



「漢の門?」



綺麗な花畑には似つかわしくない無骨で巨大な建物。

 その前に立つ2人の男が言った漢の門とは何なのだろう。

 これは果たして夢なのだろうか、ビキニパンツ1丁の男達が余すことなく魅せる筋肉の凹凸がやけに目に入る。



「そうだ、汝筋肉に導かれしものよ」

「お前はこの門を開け、筋肉神様に会うのだ」


「筋肉神? 筋肉に導かれた? すまん、全然わからん」



 左右対称にマッスルポーズを取りながら息のあった喋りを見せるうり二つな男が言うことは全くわからない。



「中に入ればわかる」

「筋肉は多くを語らぬ」


「「漢は度胸!」」


「わかった、開ければいいんだな?」



 鉄でできているのだろうか、人が出入りするには不要なほど大きな門を俺は思いっきり力を込め開いた。



「なんだこれは!?」



 門を抜けた先、そこには多くの男達、謎の鍛錬器具、必要性がわからない岩山に滝、まるで昔見たカンフー映画の修行シーンをすべて詰め込んだような光景が広がっている。



「マサル! 何事だこれは!」

「マサルさん! ここはなんなんてすか!?」



 暑苦しい景色に呆けていると後ろからポピンとユリヤの2人が来た。



「おお、筋肉に導かれし者が3人も筋肉塾に! 昨今の細マッチョ信仰時代にしては珍しき事態である! さあこちらへ」

 


 またも現れた筋肉質な男が俺達を神に会いなさいと案内してくれた。



「マサル、俺はまるで意味がわからんのだが」

「ワタシ寝たと思ったらここに居たんですけど夢じゃないですよね?」


「すまん、俺も何も知らないんだ」



 道場のような所を筋肉質な男に案内されているが、外にはマッチョ、中にもマッチョ、飾られた銅像もマッチョ、細マッチョ好きの女の子が来たら発狂しそうなほどマッチョで埋め尽くされていて何1つ理解できない。



「筋肉神はここにおられる。くれぐれも失礼な筋肉のないようにな」


「失礼な筋肉ってなんですか……」



 神々しさすら感じられるマッチョ達の絵が刻まれた両開きの扉の先に筋肉の神様がいるという。

 思わず自分の頬をつねってみたが目を覚ますことはない、思い切って開けることにした。



「ようこそ! 筋肉に迷いを持つ者たち! ワシが筋肉の神、筋肉塾の塾長マスキュリフォンである!」



 雄々しさを持ったポピン、化物のような筋肉をもったユリヤ、ここに来るまでに見た筋肉の男たち、その筋肉達が霞んで消えてしまうほどにその筋肉はそんざいしている。


 誰よりも膨らませたその筋肉は決して無駄か見当たらず均整の取れたもので見ているだけでその一本の筋繊維になってしまいそうだ。



「あれ、涙が」

「何故か体の震えが止まらん!」

「ワタシ……どうしたんだろう」


 

 目からは涙が止めどなく溢れ、体が震えて止まらない。

 寒いのか、恐怖を感じているのか、違うのだ、自分の筋肉が歓びに溢れ暴れ回っているのだ!



「静まるがいい!」

 


 マスキュリフォンが一喝すると、途端に涙は止まり震えも治まった。



「お主達はそれぞれ悩みを抱えておる、その悩みが筋肉を通じてこの世界、マッスルワールドに導かれたのだ!」



 ここに来るまでまるで意味がわからなかったが、その言葉を聞いて頭ではなく全身の筋肉で感じ取った。

 

 俺達はマッチョについて悩み苦しんでいた。

 それ故に筋肉の悩みを解決するための世界に、筋繊維が見る夢を通じてマッスルワールドに来たのだ。



「俺の、俺の悩みがここで解決するんですか!?」

「ワタシの悩みも解消されるのですか!?」


「この世界は1つの筋繊維から始まった。森羅万象筋肉に通じる!」


「「つまりは筋肉ということですね!」」

「待て! 冷静になれ!」


 

 2人は納得しているようだが俺には今の説明ではサッパリわからなかった。

 暴走するのを抑え、どうにか自分でもわかる言葉にしてもらわないと置いてきぼりになってしまう。



「ふむ……言いだろう、お主達の悩みはわかったぞ。ポピン、貴様は己の筋肉がオナゴとの間がらに支障をきたしているというのだな?」


「はい! 世は細マッチョ、細マッチョと軟弱な筋肉をもてはやし、俺のようなゴリマッチョは受け付けないと言うのです!」



 なぜわかったのか、そんな事は疑問にすら思わないポピンが憎らしげに言うとマスキュリフォンは太い眉毛を吊り上げ叫んだ。



「細マッチョも立派筋肉である!! 貴様は心の中で細マッチョを見下しておる! そんな邪な筋肉ではオナゴが振り向かないのも当然だ馬鹿者め!」



 とんでもない声量の衝撃はに晒されたポピンは紙くずのように部屋の外に吹き飛ばされてしまった!



「お主はユリヤと言うのだな。なるほど、肉体強化の魔法が影響して体が常にムキムキになってしまいエルフの里から追放され苦しい思いをしたと」


「そうなんです! そのせいで弱体化の魔法に頼り、ワタシはその後封印されるまで苦しめやれたんです! 筋肉が受け入れられなかったから!!」



 それを聞いたマスキュリフォンの体が隆起し服を弾け飛ばした。



「愚か者! 世が筋肉を受け入れなかったのではなく、貴様が筋肉を受け入れられなかったのだ!! 自らを否定するあまり周囲すべてが敵にみえ己自身が自分を迫害した結果だ!!!」



 先程よりも炸裂するような声に晒されたユリヤは目に見えないスピードで外に吹き飛ばされてしまった。



「お主は……」

「俺はそんな2人がマッチョでも生きやすい世にしてほしいと頼まれまして」



 俺がそう言うと、今までと違いマスキュリフォンは目をつぶり静かに言った



「お主が導かれた原因はそれではない、自分自身の心の弱さが原因で大事なものを失いかけた、それが貴様の筋肉が抱えた悩みである」



 厳かに言い放つ男の声が先程の一喝よりも重く俺の心に突き刺さった。


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