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第13話 筋肉開門! ようこそ漢の世界へ!

 前回のあらすじ。

 ヴァンパイアさん達は喜んでいます。



 

「マサル、相談がある」



 カヤノ達のヘソクリで豪遊してると前の席の男が深刻そうな面持ちで相談を持ちかけてきた。



「おう、そんなに思い詰めてどうしたんだ?」

「ミサに振られたんだ……」



 彼の名前はポピン。

 可愛らしい名前に反して筋肉隆々としていて顔も厳つく、刻まれた傷が歴戦の勇士であることを表している。

 そんな男が両手を顔の前に組み、弱々しく嘆いた。



「結構いい感じだったと思うんだけどなにがだめだったんだ?」

「ゴリマッチョは受け付けないそうだ……」


「……あ〜」



 彼はとても優しく、頼りがいがある。

 その為人としては人気が高いが異性としては人気がない、何故なら。



「マサル! 何がいけないというのだ! 細マッチョか!? 細マッチョでなければ駄目なのか!」

「ちょっと飲み過ぎだよ、落ち着いて落ち着いて」



 この世界でも細マッチョ、つまりは細身の体で爽やかなイケメンが人気で、ポピンのように雄々しく逞しいムキムキマッチョは嫌煙されやすいらしい。



「この鍛えた体が悪いというのか! 何故だ!」

「大丈夫だよ! 落ち着けって!」



 彼と出会ってそんなに経ってないが失恋話を聞くのはこれで何度目だろうか。

 決して浮気性な訳ではないが、女性に免疫のない彼は惚れっぽく年頃なだけだ。



「マサル、俺とお前はそんなに歳が変わらんというのに何がそんなに違うというのだ……」



 数々の修羅場をくぐった男の顔をしているが俺とは1歳しか違わない。

 


「お前も細マッチョとやらだからか!」

「わー! 落ち着いてくれー!」





「すまん、取り乱した」

「あはは、そんなときもあるよ」


「で、本題なんだが」



「マッチョが住みやすい世界にしたいんだ」



*********************



「って言われたんだけどさ、どうすりゃいいんだろうな」

「う〜ん、私はどっちでもいいんだけどね〜」



 相談されたものの俺にはどうしていいかわからず取り敢えず保留にし、その晩カヤノ達に話をしていた。



「わかりますよ!!!」

「おおぅ! どうした」



 その話を聞いていたユリヤが突然叫んだ。



「マッチョが、マッチョの何が悪いんです! マッチョだからって迫害されるなんて間違ってますよ!!」



 彼女は過去、とある理由で激烈的なマッチョになってしまいエルフの里を追放された経験がある。



「いや、お前はまた別だろ」

「別じゃないです! そもそも筋肉質なのが嫌煙される世の中だから私も迫害されたんですから!」


「…………?」

「ああ、アンタは知らなかったわね、ユリヤはこの指輪を取ると」



 BOM‼


「!!!!!!!」

「マッチョに戻るのよ」



 カヤノがユリヤの弱体化の指輪を外すと服を裂き、山のようなマッチョに変貌した。

 


「せめてやるなら事前に言ってからにしてくださいよ!」

「この方がインパクトがあると思って」


「!?!?!?!?」

「そう言えばベルは見たことなかったな、大丈夫だよ、怖くないから」か



 突然の変貌にベルが目を見開き髪を逆立てて固まっている。

 見るのが初めてなら無理はない、俺とカヤノもこんな感じだった。

 俺はこうなる事がわかってたので後ろを向いておいた。

 マッチョとはいえ乙女の裸だ、男に見られるのは嫌だろう。



「と、とにかく私からもお願いします! 努力を重ねた筋肉が馬鹿にされ、ポッとでの力を得て調子に乗っている細い体の男が幅を利かせている世の中を変えたいのです!」


「それ俺のことか? 俺のことだよな?」






「う〜〜〜〜〜ん」



 俺は1人悩んでいた。

 何かと世話になっているポピンとユリヤの頼みとあれば何とかしてやりたい気持ちがあるものの、どうすればいいのだろう。


 俺の力を悪用すればゴリマッチョこそ魅力的な性として世の中の風潮を作り変えることはできるが、そうなれば今度は細マッチョを蔑ろにしてしまうことになる。

 なにより俺がモテたいので困るのだ。


「ゴリマッチョ、細マッチョ、ゴリマッチョ、細マッチョ、モテマッチョ、非モテマッチョ…………」

 


 一晩中解決策を考えていたが、いい方法が見つからず、気がつくと俺は眠りについていた。

 


「ここは、夢か?」



 一面に広がる花畑の中に俺はいた。

 心地よく頬を撫でる優しい風が、夢の世界にしてはヤケにリアルに感じさせる。

 フワリと香る花の匂いに混じって何やら汗のようなものが混じっている気がした。



「なんだこの臭いは?」



 その匂いを辿りながら花畑を進んでいると、そこには巨大な門が構えられていて逞しい二人の男が門番としてそこにいた。



「我が名はスーガ!」

「我が名はエンガ!」


「「ようこそ、! (おとこ)の門へ!!」」


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