第1話 期待記憶! ワッフル!ワッフル!
前回のあらすじ。
僕達は赤マムシなんて販売していません。
不本意ながらも10年の寿命を手に入れた俺達は思い思いの生活をしていた。
「それじゃ、ちゃんと善い子にしてなさいよ、私が居なくても寂しがらないでね! オホホホホホ!」
ウィルバレーにある飲食店でとうとう正社員になったカヤノは社員社員旅行に行ってしまった。
女神ってなんだ?
「ワタシも奥様達と自然豊かなワルファの郷に遊びに行ってきます! お土産楽しみにしていてくださいね!」
ユリヤもまた仲良くなった奥様方と用心棒兼旅行仲間として連れて行かれた。
用心棒扱いされてるの知ったら落ち込むだろうと思ったのでわかってはいたが内緒にしておく。
「あいつらが居ないと静かだな」
街の中では信用がある俺達は、いつも利用している宿屋のオヤジに管理も兼ねて格安で空き家を貸してもらえることになった。
そこそこ広く、少し古めだが綺麗にされており十分なほどだろう。
以前の宿ならともかくひとつ屋根の下に暮らしている者が2人もいなくなれば不思議と寂しくも感じる。
「…………寝るか」
今日は何も用事がない、つまり何でもできるということだ。
しかし何でもできるなら何もしなくてもいいばずだと、結論にいたり俺は二度寝をした。
夢を見てい
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン
「うるせー!」
回想に入る前に扉を強く叩く音に叩き起こされた。
なんだか既視感があるが関係ない!
「今日は休みだ! うるせーぞコラ!」
「あら、随分な物言いじゃない、ブチ切れるわよ?」
ピッ、寿命が5日削られました。
「転……」
「逃げれると思って?」
グッ! なんで『転移』しようとしたのがわかったんだよ!
扉を開けると王国の姫、アリシアがそこにいた。
せっかくの休みを潰されたくない俺はすかさず『転位』しようとしたが、腕を捕まれ簡単に阻止される。
足元を見ると扉の間に足を挟んで閉めることすらさせない完璧な布陣だ。
「何しにきやが、いらしたのですか?」
「……まあ、良しとしましょう」
どうにかお許しを得たものの気が付けば家の中に入られ、勝手に椅子に座る様は殆ど居直強盗の所業だ。
ただタメ口を使うだけで寿命を減らされてはかなわない、正直使いたくないがスキルに頼ろう。
『ミリオネア』起こすべき行動を4択で表示してくれる。
『攻略ルート』1番良しとされる選択肢を選ぶことができる。
これさえ使えば人間関係で困ることはない、基本的には使わないが失敗できない今には最適のものだ。
「どうぞお飲みください」
「気が利くわね、頂くわ」
来客があったとなれば飲み物や菓子を出すのが定石だろう。
俺はユリヤが隠していたエルフの紅茶とお菓子を勝手に使いアリシアに出した。
「それでご要件はなんでしょうか?」
「ふふ、そんなにかしこまらなくていいわよ、お父様が貴方に頼みたい事があって来たの」
ふぅ、よかった。
ただ出てくる選択師を読み上げるだけでも慣れない敬語などストレスでしかない、それにしても父といえばこの国の王様だ、それが俺なんかになんのようなのだろう?
「最近お父様が公妾をとられてね、ただ日頃の疲れと年のせいで困っているらしいの」
「ん? 公妾?」
聞きなれない言葉だ、それに濁すような言い方をしていて今いち話がつかめない。
○、公妾てなんですか?
△、お盛んですね〜!
□、OK! 赤マムシいっとく?
✕、俺も一夫多妻制したいぜ!
「ブフッ!」
公妾て愛人のことかよ!
童貞の俺には少々刺激が強すぎる! しかもこれって俺が夜の支配人とか言う噂を聞きつけての事か!
「ちょっと貴方、顔が赤いわよ、それでも夜の支配人て言われてる男なの?」
「なんで一国の姫がこんな要件で来るんだよ! 支配人違うわ!」
思わず選択肢を選ばず叫んでしまう。
というか最適解どれだよ!?
「貴方、一国の王がちょっと萎びてるからって公に遣いを出せるわけないじゃない、お父様は偉大な国の頂点なのよ? それに私は次女だからある程度の自由を許される代わりにこういう内緒の頼みごと受け持ったりするのよ」
「いや、その、何というかさ……萎びたとかそういう事言わないほうがいいのでは?」
ちょっと生々しい言葉に思わず耳まで赤くなってしまう。
ネットではとんでもない下ネタでゲラゲラ笑う俺でも女の子に面と向かってそう言われてしまうとなんとも気恥かしい。
「それに、夜の支配人とか言う噂はただのデマですから、そういう事やってないんだよ」
「まあ……やばいわね」
なんとか弁明すると先程までからかう様な小悪魔の顔をしていたアリシアが非常に真剣な顔になってしまった。
「お父様は極力弱みを見せない方よ、今回は私を魔物から助けてくれた貴方だからと、信頼してのことだったけどそうなってしまうと……」
あ、スキルを使わずともわかる。
これヤバイやつだ。
「いや、できるできる! つまり男として若返ればいいんだろ! どうにかするから待っていてくれ!」
「ほっ、よかったわ。よろしくお願いするわ」
あぶねぇ! 危うくこの国を追われるとこだった! 何されても返り討ちにする自信はあるが国をあげて狙われるとなったら一瞬で寿命なんて消し飛んでしまうだろう!
まあ、つまりは夜が元気になるアイテムを作ればいい訳だ、スキル『万物創造』のある俺なら大したことはない、ミミズをマンモスに変えるくらいのものを作ってやろうじゃないか。
「俺は天才だ!」
いくらチートスキルがあるとは言えここまでの物はできる者が限られるだろう、そう自画自賛してしまう程とんでもないやつが出来てしまった!
「ふーん、何だか毒みたいな色してるわね」
「あ、馬鹿! 開けたら駄目だ!」
自室で作っていたのだがいつの間にか部屋に入ってきてたアリシアが、ハッスル薬の蓋を勝手に開けてしまった。
「…………………。」
「あ、あの、大丈夫ですか?」
トロンとした目で俺を見つめるアリシア。
いやー、ちょっとこれはまずいんじゃないか? そう思ったとき。
「うわっ!」
細身とは思えない力で俺は床に押さえつけられてしまった。
「貴方って不思議よね、口の悪い愚民かと思えば私の気持ちを知っているかのように何でもしてくれる……」
「い、いやー! お姫様に無礼なんて働けないですからね!」
押し倒した俺に跨りながら囁くように話すアリシア。
「じゃぁ今から何するか、わかるでしょ?」
「わかりませーん! わかりませーん、」
完全に目が座っとる!
嗅ぐだけでこんなんになるとは我ながらトンデモないものをつくってしまったものだ!
このままじゃ俺の守り抜いてきたものが!
アリシアが服のボタンに手を掛け肌を露わにし始めたとき。
ドンドンドン、と家の戸を叩く音がした。
「すまん!『爆睡魔』!」
戸を叩く音でなんとか正気にもどれた俺はスキルで眠りにつかせ、なんとか男の危機を乗り越えることができた。
ちょっともったいなかったかもしれない、そう思いながらもアリシアをベットに寝かせ、来客の元に向かった。
「どうも、マサルさん、お久ぶりですね」
そこには見たことない大男と薄汚れた少女がいた、




