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第5話「遥かなり光の星」

本エピソードからお読み頂いた方の場合

少し戸惑われると思います。

このお話は25年前に海に没したヒーローが

人工的に再生され、その後ひとつの魂と巡り

会い自分の居場所を見つけて行くお話です。

出来れば第一話から順にお読みいただけると

より楽しめると思います。よろしくご笑覧

下さい。


第5話はUマンの出自が少しずつ明らかに

なっていくお話しです。お読み頂ければ

望外の幸せです。

「遥かなり光の星」


恒星観測員411号


#短めのプロローグ 流星


 秋も深くなり、木々の葉も色づく季節、丁度時計が深夜をまたぐ時間に北の空から地上に向かって流れる明るい流星が目撃された。


 ラジオニュースにもならない程度の小さい出来事ではあったが、ある一人の16歳の少女にとっては、足下の地面が崩れ去ろうかと思える程の出来事の発端であったのだ。


#神家の朝


「ねえ聞いてお父様、彼ったら酷いの」

銀の小箱をぶんぶん振りながら不満げな表情を浮かべているユキ子。


「ん、どうした」

若干興味の薄そうな神。


「僕が悪いんです博士」


「箱ノ人元気ナイ」

家事アンドロイド タエにまで声を通した変調を指摘される程小箱から聞こえてくるUマンの声には確かに張りがない。


ちょっとしょんぼりとした少女

「わ、わ私強く言い過ぎちゃった?」


「いえ、こちらの都合で彼女ヘの反応が平均で1.5秒ほど遅れていたのは事実ですから」


「ふむ、まるで衛星電話だな⋯」

「だが純粋な並列思考も可能な君程の者が何か事情があるのか?」


「いえ、何でも有りません」


「むう」

 また少女の頬が膨らんだ件は周囲にはスルーされた



#超人と接触


 防衛隊の誇る戦略宇宙兵器F01の

格納ハンガーは現在完全に無人であった。

 搭乗者の少女も衛生班の控室で先輩に捕まり「女子ミーティング」の真っ最中。


 そんな静寂なはずの空間に微かな音が響いていた。超高周波の発振器の様な音の羅列。

 もし操縦者以外出入の出来ないF01のコクピット内を覗けるものであれば、異様な光景に目を丸くした事だろう。


 Uマンの頭脳とダイレクトに接続された計器類が全て、尋常でない速度で明滅していたのだ。そしてメインモニター隅の通信中を示す緑のランプも眩しい輝きを放っていた。


 最近「身近にいるある地球人」の影響で時々独り言を呟く様になったUマンである。

「いかん、また彼女のコールに遅れてしまう 回線を開いておかないと」



#恒星観測員411号


 F01の機内での通信から少しして

 無人のはずのハンガー内にゆらりと唐突に出現した人型の黒い影があった。

 その人影から異音が漏れ聞こえる

「***** ***」


「ああ、せっかくなのでこちらの言語で話しますね

お久しぶりです***先輩、

それともこちら風に観測員342号とお呼びしましょうか?」


F01の機外スピーカーからも聞き慣れた地球の言語が流れる。

「そんな姿だが、****411号、君が来たのか」


黒い人影が

「そうです、先輩お元気でしたか?ご無沙汰しています。

 にしても大分お姿が変わったようですね、妙な機械に接続されている様ですし。

「ところで先輩この施設の次元防衛シールドはスカスカですね

これでは僕のような二次元人の攻撃があったりしたらあっという間ですよ」


F01のスピーカー

「411号、君そんな嫌味を言うためだけにわざわざ地球まで来た訳じゃ無いだろう?****の差し金かい?」


「いえいえ先輩が短期間とはいえ25ヨルクの間先輩からの報告が無かったことを、奴さんも多少は気にしては居た様ですがね。まあ今回の件は僕一人の一存です」


 実はこの時、このやり取りが交わされていたハンガーの様子を遠隔通信機を通じてミーティングを終え、防衛隊内の個人控室で聞いていた一人の人物がいたのだ。


 少女はいつも聞き慣れたその声が自分の知らない内容を話している様子に困惑していた。

 明らかに聞いてはならない話だとは分かっていても彼女の手はどうしても小箱の電源を落とす事が出来なかった。

 彼女の脳裏には、先日のQ星人との戦いの時、彼が唐突に発した


「僕の半身の仇だ」


と言う当時は不可解だった言葉がフラッシュバックされていた。

 そして淡いスピーカーノイズの中、411号と呼ばれた声とUマンの問答は続く⋯


 「先輩、この際M星系に帰りませんか?幾らアクシデントで仮死状態になったとはいえ貴方なら1000ヨルクもあれば自己修復できたでしょう?」

「近くに微弱ですがソルプラズマを放ってる星も有る様ですしね」

「貴方はこの星の科学者を名乗る未熟な技術者達に身体を切り刻まれたも同然なんです。U族の三英傑の一人である貴方が、ただこんなガラクタの機械に繋がれて

これからも生きて行くのですか?」


銀の小箱から聞こえて来る会話の内容に、少女の顔は青ざめ悪寒のような震えさえ起きていた。


「何、この人は何を言っているの?」


少女の両の拳は真っ白になる程握りしめられ、いつしか少女は泣いていた。

涙が止まらなかった。


「Uマンさん、お父さま」


少し静寂があり


黒い影が再び口を開く


「おや先輩気づいていますか、どうやら僕はヘマをしたらしい。次元移動に使ったパスから闖入者がいらっしゃった様です」

「今回持ってきたエネルギーセルでは僕はろくに戦えませんので

ここは先輩と新しい小さなバディ殿のお手並み拝見とさせていただきますね」


直後に防衛隊全館にアラートが

響き渡る


「411号、お前!」


「もう先輩なら気づいていると思うので余計なお世話でしょうが、お客様は恐らく?あの次元怪獣Dガーですよ。

では、オ・ルボワール!」


次の瞬間空間が折れ曲がるように消える黒い人影



#襲来と少女


「レベル4警戒警報発令、レベル4警戒警報発令、帝都上空に未確認飛行怪獣が出現、関係部署は速やかにコード01に従い行動して下さい」


「ユキコさん聞こえているか発進準備だ!」


 降り慣れてるはずのタラップをノロノロ降りてきた少女は、少しふらつきながらF01に機乗する。


「大丈夫か?調子が良くない?」


「ううん、なんでもない、なんでもないの」


ジェットパックを噴射し、上空に舞い上がる赤い機体。


「良いかい、ユキコさん

敵怪獣はどうやら次元を超えて移動する怪獣だ、こいつが厄介なのが地球製のセンサーでは捉えるのが難しいんだ」

「そこで君の直感に頼りたい

左半身側は僕自身の感覚で何とかなるが、後付けの右半身はどうしても穴になるんだ、頼むユキコさん」

 装甲を通じて特殊な振動が伝わってくる。

「さっそく来たかDガー」


「その名前、Dガー?⋯⋯さっきのあれって夢じゃ無かったんだ」


「何を言っている集中してくれユキコさん」


やっとの事でDガーを倒したのだが、帝都庁舎の一部が崩落するなど周辺にかなり被害が及ぶ苦い結果になってしまった。


「ユキコさん、今日の君はどうかしてたぞ?」


「だって、」



「だって、」


「貴方は」


言い淀み言葉が出てこない少女


「か、帰ってしまうのでしょ?」


「自分の場所に」


「⋯私を置いて」


「うえええええ」


感情が一気に溢れ出し泣きだし

てしまうユキ子


「まさか、ユキコさん、先刻の話聞いていたのか?」


 言葉にならず泣きじゃくる

少女、最早呼吸もままならない

「あああ、えぐっええぐっ」



#魂の居る場所


 少女はキャノピーをばんばんと叩き、銀の小箱を振り回しながらひたすら叫んでいた


「貴方は、いじわる、いじわる、いじわるだ」


「ユキコさん、いやユキコ、聞くんだ」


一息付いて口調が変わる少女、ただひたすら涙が頬を伝う


「彼は、」

「彼は、父があなたの体を切り刻んだって」


「博士がいなければ今 僕はここにいない」


「彼は、貴方がただ機械に繋がれてるだけだって」


「僕を誰だと思ってるんだ。僕は超人だよこんなちゃちな軛を外すことぐらい造作もないさ」


「そして、よく聞くんだ小さいお姫様

その身が鉄になってしまった

僕にだって 魂はまだあるんだ

そしてその魂の居場所はユキコ、君と共にある」


「ずっと君の側にいる事を許してくれるかい」


 感情が更に決壊する少女

「うう、うわあああん もう、マンのバカバカバカ馬鹿」


 その時突然前方の空間が歪み黒い影を結ぶ


「ええと、実にいい感じの所水を差すようで申し訳ない。ずっと、

そうずっと見ていたい所ではありますが、見ているこちらが恥ずかしくなってしまいますよ」


「***先輩、いや今はUマンさん?

地球の観測業務は実に順調ですねえ、今回分かった事は先輩の無事と定時連絡用のテレパス能力の不調っと。これで私も安心して今回の件の詳細を****に報告できますよ。


ではアデューお二人さん、おしあ⋯」


次の瞬間プツっと音をたて一瞬で線状になって消える影


ユキ子、ちょっと呆然としながらも、涙を拭い半泣き声で

鼻を啜りつつ

「ううう、で、何だったの彼?見ていたって⋯」


「前からあんなやつさ、そして僕の昔のベストバディだよ」


相好はくずれているものの

やっと涙をぬぐう少女

「良い人ね⋯」



「さて、もう怪獣はいないし

我々も基地に帰ろうか、ユキコ」


「はい」

いつの間にか笑顔になっている少女


 ジェットパックに火が入り飛行を開始するF01


秋の真っ赤な夕暮れを背景に飛ぶ真っ赤な鉄の身体はまるで一幅の絵画の様であった。


#エピローグ


紅葉が深い秋の空、薄暮の時間帯に、地上から上空に昇るように流れる流星が一つ目撃された。

 それはどのメディアも伝えないほどの小さなニュースでしかなかった。無論その背景に存在した2つの魂の交感を知るものも誰一人としていなかった。


FIN


冊子版特典用SS


楽屋話


於 とあるミーティングルーム


登場人物

葵衛生班長(花も恥じらう26歳)

CV戸*恵子 マチルダ姐さん


神ユキ子 本シリーズの主人公

CV早*沙織 もうこの人


葵「で、で、どうなのユキちゃんって誰かいちゃったりするの?」

ユ「え?誰かって⋯」

葵「決まってるじゃない、いちゃいちゃする相手よ?あ・い・て」

ユ「い、」

葵「い?」

ユ「い?いるような

いないような⋯」

葵「ふんふん」

ユ「向こうはずっと年上で

私なんか子供扱いじゃあ

ないんですかね⋯」

葵「まあああ、お姉さん今のだけでお胸がキュンキュンしちゃう」

 もっと頂戴ん!ってまさか小竹の事じゃ無いわよね」

ユ「いえいえいえ、小竹さんは凄く良い人ですが」

葵「おーい言われてんぞ小竹ぇ」


※突然のアラーム音


葵「この音はコード3以上ね

さて、ここからは仕事の時間よ

急ぎましょう」

ユ「はい」

敬礼をした少女に対し

葵「じゃあ続きは、出動の後でね〜ユキちゃん、またね〜」

と言い残しながら去っていく葵

ユ「ふう」

FIN


後の展開はご存知の通り





第5話以降は銀の小箱は標準のコミュニケーション手段となり、互いの呼び方からさん付けが無くなり、マン、ユキコに変化していきます。

ユキ子の機嫌次第でもありますがw


第6話は 第4話でもご印象に残っておられる

かもしれませんが、防衛隊小隊長の小竹進が

活躍?する話になります。


では次話「遥かなり光の星」をお楽しみ頂ければ


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