86.
勇者「ここ、なんか不気味だね」
魔法使い「看板があるわよ、読めないけど」
僧侶「『古代の氷穴』らしいです」
魔法使い「洞窟? かまくらの方が近くない?」
勇者「何もないし」
僧侶「かつては生活拠点だったのでしょうか、ベッドが……」
魔法使い「でも一晩くらいなら過ごせそうよ」
勇者「ここに泊まればよかったね」
魔法使い「それは結果論でしょ、昨夜は久しぶりにできたからいいじゃない」
勇者「!」
魔法使い「あ……」
勇者「……。」
魔法使い「……。」
僧侶「……。」
勇者「……。」
勇者「な、何もなさそうだからさ。早く出よう」
魔法使い「そうね……」
僧侶「……。」
僧侶「……あら? ここの絨毯、めくれあがって……わっ」
魔法使い「――ナニコレ?」
勇者「隠し通路だ!」
僧侶「……下に続いてますね」
勇者「行ってきまーす」
魔法使い「はやっ!」
僧侶「追いかけましょうか……」
勇者「おー、やっぱり隠し部屋だった!」
僧侶「地下室……私はこちらの方が不気味です」
魔法使い「薄暗くてよく見えないわね……ほいっと」
勇者「わ」
僧侶「あら」
魔法使い「……アンデッド?」
僧侶「隣にいるのは、人間でしょうか」
勇者「見てこれ、ポーションじゃない?」
魔法使い「ホントだ。……振りかけろってこと?」
僧侶「……そういえば、聞いたことがあります」
僧侶「アンデッドは元は人間だったと」
勇者「もしかしたら、復活の方法なのかも」
勇者「――やってみよう」
魔法使い「……もうこいつは魔物よ。情けは無用」
僧侶「可能性があるなら、やってみるべきです」
勇者「そうだよ」
魔法使い「……魔物は殺さなきゃ」
勇者「うーん……」
勇者「あ」
勇者「治したら、お金とかくれるんじゃない?」
魔法使い「振りかけたわよ。早く治らないかしら」
僧侶「えぇ……」
アンデッド「ウガァアアアアア」
勇者「わ、すごい声!」
僧侶「耳がちぎれそうですー!」
魔法使い「いやしのふえよりマシ!」
アンデッド「ロシ……!」
魔法使い「――静かに! なんか言ってるわ」
アンデッド「コロシテ……」
アンデッド「コロシテクレ――!」
アンデッド「イタイイタイイタイイタイ」
勇者「――マスターバスター」
魔法使い「ちょっと! なにしてんの‼」
勇者「だって、苦しそうだったから……」
僧侶「……余計なお世話、でしたかね」
魔法使い「路銀ゲットのチャンスがぁ……」
死まで、あと15日




