85.
魔法使い「驚いたわ、まさかこんな雪山に魔物のコロニーがあるなんて」
勇者「家とかすごいよ、あったかそう」
僧侶「ああ……山小屋が懐かしいです……」
勇者「ずっと歩き通しだからね、僕も疲れちゃった」
魔法使い「じゃ、殺して奪いましょ」
勇者「ダメだよそんな」
僧侶「ええ」
魔法使い「そう? 名案だと思ったのに……」
僧侶「何しろ、魔物の数が多すぎます」
勇者「ちょっと骨が折れるかも。最悪返り討ちに遭ったらと思うと」
魔法使い「確かに……」
僧侶「戦士様がいたら、話は違うんですが……」
勇者「……。」
魔法使い「……。」
僧侶「……。」
僧侶「……、すみません」
勇者「――どうする? 僕、休みたいな」
僧侶「ベッドだけ盗むとか!」
魔法使い「バカ、外で寝たら凍え死ぬわよ」
僧侶「うぅ……」
勇者「リュックの中に何かないかな」
魔法使い「……交渉材料ってこと? 無いと思うけど」
勇者「――あ!」
僧侶「わっ」
勇者「これとか使えそうじゃない?」
魔法使い「……ねえ、本当に大丈夫なの、これ……」
僧侶「……勇者様と我々は、一蓮托生です……」
魔法使い「ちょっと! どういう意味よそれ!」
勇者「だいじょーぶだいじょーぶ。――あの、一泊したいんだけど」
ゆきおとこ「お、見ない顔だな。わざわざご苦労さん」
勇者「3に――3匹で」
ゆきおとこ「はいよ。二階の一番奥を使ってくれ」
勇者「どーも」
勇者「ベッドだー!」
僧侶「すごい、本当にいけてしまいました……」
魔法使い「ね――まさか、魔物の皮を被るだなんて」
勇者「作戦勝ちだね」
僧侶「はい……」
魔法使い「? どうしたの」
僧侶「いえ、その……」
僧侶「どうしてお二人が、あばれおおぐまの皮なのかと……」
魔法使い「……何が言いたいのよ」
僧侶「た、ただ! 私の皮は窮屈でして……」
魔法使い「はぁ……。ま、アタシもそれ着てみたんだけどね……」
魔法使い「……のよ」
僧侶「はい?」
魔法使い「――お腹がつかえて、入らなかったのよ」
僧侶「あ……」
死まで、あと16日




