67.
戦士「どうした。僧侶が俺の寝床に来るなんて珍しい」
僧侶「……。そうですね。今の私は、少しおかしいのかもしれません」
戦士「別におかしいとは言ってねぇよ。仲間だろ」
僧侶「……。」
戦士「……。」
戦士「で、何があった。聞いてやるよ」
僧侶「……。」
僧侶「以前、戦士様には『聖女』についてお話ししましたね」
戦士「養成学校の時か? 覚えてるぞ」
僧侶「愛を知らぬ者に慈悲は育めない。それは真理です」
僧侶「愛の力は、人を救うのです」
僧侶「……。」
僧侶「ですが、愛に偏重するというのは、やはり良くないのでしょう」
僧侶「……戦士様、傷の手当をいたします」
戦士「それが目当か。薬草で十分っつったろ」
僧侶「……お願いします」
戦士「お、おう。それじゃ……」
僧侶「――はっ」
戦士「痛ッ⁉ な、何だァ⁉」
僧侶「お判りいただけましたか」
戦士「お分かりもなにも、刺されたみてぇに痛みが……」
僧侶「これが、愛という心の痛みです」
戦士「な、何を言ってンだ……?」
僧侶「――私の回復は、人を愛するという私の心を与えるものです」
僧侶「ですから、効果は私の心情に大きく左右されます」
僧侶「もちろん、お役に立てるよう精神安定には努めてきました」
僧侶「……ですが、最近それが大きく揺らいでしまったのです」
戦士「……勇者か」
僧侶「お気づきになっていましたか。流石ですね」
戦士「伊達に年取ってねぇよ。それに、あのガキ何か浮ついてるしな」
僧侶「……。」
僧侶「勇者様に回復を施そうとした時、嫌な予感がしました」
僧侶「ひっそり自分に使ってみると、針で刺されたように痛かった」
僧侶「……これは、どうしたのでしょう」
僧侶「きっと、嫉妬です」
僧侶「刺すという気持ちが、私の力に現れてしまった」
僧侶「……こんなことは言いたくありませんが」
僧侶「魔法使い様に施したら、どうなってしまうのでしょうか」
戦士「……。」
戦士「俺が、言っといてやるよ」
僧侶「えっ」
戦士「……こんな浮ついた状態で倒せる魔王じゃねぇだろ」
戦士「それに、酷い顔だぜ。お前」
僧侶「……。」
戦士「ほら、さっさと寝ろ。明日も早いぞ」
僧侶「……はい」
僧侶「あの!」
僧侶「……ありがとうございます。戦士様に助けられてばっかりです」
戦士「……。」
戦士「俺は、皆を守るのが役割だからな」
死まで、あと34日




