49.
店員「どうですかウチの武器は! ドワーフ謹製ですよ」
戦士「確かに質はいいな」
魔法使い「安いしね」
僧侶「今までの店よりかは遥かにいいです」
店員「そうでしょうとも!」
勇者「じゃ、買うの?」
戦士「いや。俺はいいかな」
魔法使い「アタシもパス」
僧侶「私も遠慮します」
店員「どうしてですか⁉」
勇者「僕たちさ、鍛冶できるんだよね」
店員「へ?」
勇者「レシピと拾った素材さえあれば、武器や防具が作れちゃう」
店員「で、でも質はウチの方が――」
勇者「最近ハンマーが上手くなっちゃって。ほら」
店員「な、何ですかこの剣の輝きは!」
魔法使い「特に戦士はすごいわよ。もう職人ね」
店員「ぜ、ぜひウチにその鍛冶台をください!」
勇者「うーん、そうしたいのはヤマヤマなんだけど……」
店員「武器なら好きなのを持って行ってください!」
勇者「そもそも、あげられないんだよね」
店員「武器が無理なら金貨で……!」
勇者「いや、そういうことじゃなくて」
勇者「『だいじなものには、つかいどころがある』らしいから」
店員「……は?」
勇者「何かね、取り出せないんだよ」
勇者「試しにここで出そうとするでしょ。無理なんだ」
店員「そんな! 意味が分からない」
魔法使い「残念だけど、勇者の言ってることはホントよ」
僧侶「路銀に変えようとしましたが、無理でしたからね」
戦士「だいじなもの、って面倒くさいよな」
店員「さ、さっきから何を仰っているのやら……」
死まで、あと52日




