48.
ストレイ「グァアア! 次期魔王候補の俺様がぁあああ‼」
戦士「観念しろ、蛮魔皇ストレイ!」
ストレイ「研鑽を続けてきたのも無駄だったのか……ッ」
勇者「研鑽って、具体的になにしたの?」
僧侶「どうして死に際の敵に話し掛けるのですか?」
魔法使い「そりゃ、勇者は好奇心の塊だからね」
僧侶「そういうものですか……?」
ストレイ「クハハ。並の努力では魔王になれんのだ――」
ストレイ「まずは魔王様より魔王学を受講する必要がある」
魔法使い「魔王学……?」
ストレイ「魔王入門、魔王心理学、配下教育法Ⅰ~Ⅳなど……」
勇者「何だかフクザツだね」
ストレイ「特定の単位を取り終えたら……」
戦士「単位?」
ストレイ「次は介護実習に向かう必要がある」
僧侶「へぇ……」
ストレイ「魔王軍及び七魔皇の環境改善、その体験版だな」
僧侶「そんなこともするんですね」
ストレイ「実質タダ働きみたいなモンだ!」
戦士「うおっ、急にうるさい」
ストレイ「俺の実習先はハズレだったんだ! クソが‼」
勇者「魔法使い、力を吸い取って」
魔法使い「ほいっと」
ストレイ「ふにゅぅ……」
ストレイ「――ともかく。それが終わればまた講義だ」
戦士「意外と勉強するんだな」
ストレイ「そして次は、魔王職実習だ」
勇者「魔王みたいなことするの?」
ストレイ「それはたまにだ。基本は魔王様の補佐をする」
僧侶「実務経験を積むのは、悪くありませんね!」
ストレイ「実態が理想とかけ離れているという理由で、辞退者が増える」
ストレイ「この段階で、魔王を志す魔物は当初の二割ほどまで減少する」
戦士「なんだ、根性なしどもだな!」
魔法使い「アンタが言うな」
戦士「アァ?」
ストレイ「――それから必須なのは、魔王採用試験の突破だ」
魔法使い「自動的に魔王になれるんじゃないの?」
ストレイ「甘い! 魔王軍が定める試験を攻略する必要があるのだ」
戦士「やっぱり破壊力テスト? とかか?」
ストレイ「いや、筆記試験と五段階の面接……」
魔法使い「めんどッ」
ストレイ「本当にめんどいのはそこではない!!!」
僧侶「キャッ」
ストレイ「なぜか今年の魔王様は、試験より後に実習を組みやがったのだ!」
ストレイ「普通、現状を知ってから試験に臨みたいであろう?」
ストレイ「早期後継確保へ躍起になる余り、本質を見落としておられる!」
ストレイ「ウガァアアアアアア――」
勇者「魔法使い、すいとる」
魔法使い「指示の出し方がペットへのそれじゃないの。ほいっと」
ストレイ「ふにゅぅ……」
勇者「まあ大変そうだなとは思うよ」
ストレイ「フン」
勇者「……でもそれは、殺さない理由にはならないから」
ストレイ「俺様とて悪あがきをするつもりはない。殺れ」
勇者「うん、ありがとう。マスターバスター――」
死まで、あと53日




