3.
魔法使い「こんな密林で野宿なんてイヤ!」
戦士「二日連続となると、まあ気持ちは分からんでもない」
僧侶「勇者様が寄り道ばかりしますから……」
勇者「だって宝箱とか気になるんだもん!」
魔法使い「雨に降られて髪もベタベタだし、早く町に行きたいわ……」
戦士「ま、無いものねだりしてもしょうがねぇ。さっさと寝るぞ」
僧侶「魔法使い様、ベールの展開をお願いできますか?」
魔法使い「すっかり虫除け感覚ね。ほいっとな」
戦士「蛇も魔物も寄り付かなくなるからな。あながち間違ってない」
魔法使い「勇者ぁ、焚き火消してくれない?」
勇者「うん分かった!」
魔法使い「……。」
勇者「なに、そんな目で見て」
魔法使い「いや。アンタ生意気言わなきゃかわいいのにって思ってね」
勇者「む、僕がいつ生意気言ったのさ!」
魔法使い「はあ⁉ 今日駄々こねた挙句底なし沼に嵌ったの忘れたワケ⁉」
戦士「だああ、喧嘩はやめろガキ共! ゆっくり寝られやしねぇ」
僧侶「み、皆さん落ち着いてください……」
戦士「ったく。ガキのお守りは大変だぜ」
魔法使い「ふんっ。こっちこそオッサンの介護は大変だっつーの」
戦士「何だとこのクソガキ! 俺はまだオッサンなんて年齢じゃねぇ!」
魔法使い「何言ってんの、アンタ精神年齢の方が若そうじゃないのよ!」
勇者「あ、でも確か、戦士ってお酒好きだよね?」
戦士「……それがどうした」
勇者「いや。僕から見れば、お酒飲める人は全員オジサンオバサンだなって」
戦士「グハッ」
魔法使い「グフッ」
戦士「……いいかガキ、世の中には言っちゃいけねぇことがあるんだ」
魔法使い「そうよ。世の中の怖さ、教えてあげましょうか」
勇者「僧侶! 助けて、二人の目が怖い」
僧侶「はいはい、そこまで。あまり騒ぎすぎると、魔物が来ますよ」
戦士「はぁー。しゃあねえ、寝るか……おっ!」
魔法使い「? どうしたのよ、寝っ転がったまま変な顔して」
戦士「まあまあ。お前らも寝そべってみろよ」
魔法使い「変なの。よいしょっと――あら!」
僧侶「……まあ」
勇者「どうしたのさ皆して。じゃあ僕も……」
勇者「――あ、星が……」
戦士「綺麗だろ」
僧侶「本当です。今まで見た中で、いちばん……」
勇者「うん。僕も、初めてゆっくり星空見たかも……」
魔法使い「……。」
戦士「どうした、珍しいじゃねぇかお淑やかでよ」
魔法使い「うるさいわね。ちょっと考え事よ」
勇者「ねね、なに考えてたの?」
魔法使い「内緒」
僧侶「いいではありませんか、教えてくださっても」
魔法使い「……アンタが食い下がるのも珍しいわね」
魔法使い「――……ただ」
魔法使い「魔王がいなければ、もっと素直な気持ちで眺められたのになって」
死まで、あと98日




