2.
勇者「蒸し暑い……」
僧侶「密林ですからね。魔物も多く出そうです」
戦士「うわっ!」
魔法使い「ちょっ、いきなり大きな声出さないでよ!」
戦士「悪い悪い。ヘビがいたもんでな、ほら」
魔法使い「ギャーッ! 何アンタ掴んでるの気持ち悪い‼」
戦士「お? 何だお前、ヘビ苦手なのか?」
勇者「魔法使いっていうと、そういうの大釜に入れてそうだけど」
魔法使い「アタシをババア世代と一緒にしないでもらえる⁉」
僧侶「そういえば魔道具店でも、素材コーナーには興味がなさそうでしたね」
魔法使い「クモの目玉とか烏の嘴とか、想像するだけでも気色悪いわ……」
戦士「ふぅん。お前はどうだ、こういうの大丈夫か?」
勇者「僕? ……苦手ってほどじゃないけど、触るのは無理かも」
戦士「なら経験だ、この機会に触ってみろ、ほれ」
魔法使い「――ちょっと待って、そいつを無暗に触ったらっ!」
勇者「う、うわーっ! し、しびれるぅ……」
僧侶「勇者様⁉」
魔法使い「言わんこっちゃない。そいつに噛まれると、身体が痺れちゃうのよ」
僧侶「そんな! それでは勇者様はここでお別れなのですか⁉」
魔法使い「なわけ。大事には至らないけど、早めに対処するのが吉よ」
戦士「痺れにはマヒナグサという植物が効く。この前の街で買わなかったか?」
僧侶「確か買った気がします! ちょっと鞄を探しますね」
魔法使い「全く、ホント勇者のくせに頼りないんだから……」
勇者「ご、ごめん……」
僧侶「あ、これじゃないですか?」
魔法使い「違うわ。それはスピヤソウ、眠気に効くやつよ」
僧侶「えぇっ⁉ ……じゃ、じゃあこれだと思います!」
戦士「違うな。それはグルグラス、混乱に効く草だ」
僧侶「これも違うんですか⁉ なら、えぇと、こちらはいかがでしょう!?」
勇者「……それもう見た目が、草じゃないじゃん……」
魔法使い「あーもう何グズグズしてんのよ、代わりなさい!」
僧侶「うぅ、お役に立てず面目ないです……」
戦士「今度、草の見分け方を教えてやるよ」
魔法使い「何よコレ! 中身がしっちゃかめっちゃかじゃない!」
僧侶「あ、取り出す時にちょっと崩れちゃいまして……」
戦士「あーこりゃひでぇ。ただでさえ似てる草なのに、完全にごっちゃごちゃだ」
魔法使い「んもー! 一度ひっくり返すしかないわね。アンタも手伝いなさい!」
僧侶「ひーん、すみませんー!」
勇者「あの……僕のことは……?」
魔法使い「そんなんほっといても死にゃあしないわよ、根性で耐えなさい!」
勇者「そんなあ……しびび……」
死まで、あと99日




