100.
魔王「――刺し違えるつもりか?」
勇者「……。」
魔法使い「そんな……やめ……勇者……」
僧侶「勇者様……」
勇者「……。」
勇者「でも、」
勇者「そうしないと、魔王を殺せない」
魔王「フハハ――」
魔王「滑稽なものだな。非力な勇者というのは」
魔王「殺せ。そして、死ね」
勇者「……。」
魔法使い「ダメよ」
魔法使い「逃げましょう」
魔法使い「まだ、アタシたちはここに来るべきじゃなかったの!」
魔法使い「もう少し強くなってから、来るべきだった……」
勇者「――じゃあ、誰が世界の平和を守るの」
勇者「誰が、その間の魔王を止めるの」
勇者「これは僕にしかできない」
勇者「魔王を殺した人が勇者なんじゃない」
勇者「勇者が、魔王を殺すんだ」
魔王「後ろの二人は――余りにも非力だ」
魔王「少年の勇者よりも、殊更に」
僧侶「っ……」
勇者「それでも、僕は守った」
魔王「庇った、の間違いだろう」
勇者「……。」
勇者「僕は、お前が嫌いだ。魔王」
魔王「我は好きだぞ。お前は馬鹿だからな」
勇者「そっか」
勇者「……。」
勇者「二人とも」
勇者「ごめんね」
魔法使い「……!」
魔法使い「待って――」
魔法使い「待って!」
魔法使い「待ってよ!!」
魔法使い「アタシの、アタシとこの子の命は……っ」
勇者「それも含めて」
勇者「ごめん」
勇者「頼んだ」
魔法使い「――。」
魔法使い「……。嘘つき」
魔王「来い。せめて腕の中で死ね」
勇者「剣の錆になって、死ね」
魔王「我は死に、勇者は死ぬ」
勇者「魔王を殺して、僕は死ぬ」
勇者「――マスターバスター」
僧侶「……。」
僧侶「……。」
僧侶「……。」
僧侶「……。」
僧侶「ああ」
僧侶「終わった」
死まで、あと1日




