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3部開幕です。
幸せになれると、そう思っていた。
誰かの言うことを聞いて、完遂すればいい。
そうすれば勝手に幸せになってるんだって、そう思ってた。
僕は僕の意思で動くことはない。
誰かの意思で幸せを形作れるんだ。
だから、僕はただそれをこなす機械になればいい。
そう、思っていた。
父さんも母さんもダメダメだ。
僕は完璧でなければならない。
僕は必ず僕でいなければならない。
僕は逆らってはならない。
僕は反抗し切ることなどできない。
感情など、不要なのだ。
合理こそ、生産性こそ僕の全てなのだ。
敷かれたレールを、踏み潰していくだけなのだ。
そう、思っていた。
なぜ完備されたレールをみんな踏まないのか。
…不思議だなぁ。
いやそっか…。みんな、僕みたいに天才じゃないから…ね。
◆◆◆
11/30
朝起きて、夢のことが頭から離れない。
そのまま学校の通学路を歩く。そりゃ…。
…気分が、悪い。
昨日の夜、変なことを考えていたせいだろうか。
あの夜、車でスマホを見て、やめた。
見るのが怖かったんだ。
なにをそんなに心配しちゃってさ。
どうせ三件ぐらい低評価が来ただけだろう。
そのほかの大量の高評価を見ようぜ、な。
あれからサイトは見てないけど、まぁ…心配はない。
「よっ誠。」
おっ、なんだ篤か。
「な、なんだよ。」
「昨日、まっじで楽しかったぞ!こんなゆるく遊んだの初めてじゃないか?ほら、夏休みに海には行ったけど、こういうthe高校生っぽいことってあんましてこなかった気がするぜ!」
「まぁ確かにそれはそうだな。僕もまあまあ楽しかった。」
いつもと同じ通学路のはずなのに、
入り浸る思い出があるとこうも違うのか。
「やっばぁ、今の授業拷問級だよ…。」
「まぁちゃんと聞いた僕だけが得をする的な?」
「あー!誠くんずる!あとで教えてね!」
7限終わり、特になにも変わらない惰性の日常。
しかしそれは、突然訪れる。
「ねぇまこっち…これ。」
雫の言葉から始まった。
最近席替えして、遠くなった席からわざわざここまで小走りできて、重そうに顔を沈めている。
一緒にいた雄志は腕を組み、
校庭に舞い散る最後の銀杏を眺めている。
僕の目は、見ないようにして。
「な、なんだよ。」
内心、わかってんだわ。
僕察しがいいし、頭いいからさ。
昨日の夜から。
「…これは…!?」
見たく、なかった。
多分、僕はわかってて見ていなかったんだ。
行動では抑えきれないくせに、
気持ちは徒花のクソみたいな言い訳で心を満たしただけ。
向き合うべきなんだ。
「…これは一体…どういうことだよ。」
「…わからない。」
店のサイトだった。
その評価が、2.9になっていた。
下までスクロールすれば、ほとんどが1とか2の山積みで、コメントも心がない。
呼吸が荒くなって、僕の指が震え始めた。
他のみんなの顔色も若干悪く、目が揺れる。
ただ一点を見つめることしか考えたくない、
そんな感情に追い込まれた。
唇を噛むのをやめられなくて、少し血が出た。
血の気の引いた背中が、僕を押し潰そうとしている。
…まぁ…悪い値じゃないのは確かだ。
「昨日の昼まで…4.6だったのに…。」
沙羅がそう呟くと、
僕の中で押されていた何かが必死に押し返そうとする。
でも、我慢した。
「おいおい…なんでこんな大量のアンチがいんだよ。」
もともとレビューは500件近くきていて、4.6。⭐︎5の確率は極めて高かった。
一言で言えば…。荒らされている。




