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生産性至上主義はアイを知らない。  作者: のどちん
社会貢献プロジェクト:暗転編
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48/52

Log 48:2.9

3部開幕です。

幸せになれると、そう思っていた。


誰かの言うことを聞いて、完遂すればいい。

そうすれば勝手に幸せになってるんだって、そう思ってた。

僕は僕の意思で動くことはない。


誰かの意思で幸せを形作れるんだ。

だから、僕はただそれをこなす機械になればいい。


そう、思っていた。


父さんも母さんもダメダメだ。


僕は完璧でなければならない。

僕は必ず僕でいなければならない。

僕は逆らってはならない。

僕は反抗し切ることなどできない。

感情など、不要なのだ。

合理こそ、生産性こそ僕の全てなのだ。

敷かれたレールを、踏み潰していくだけなのだ。


そう、思っていた。


なぜ完備されたレールをみんな踏まないのか。


…不思議だなぁ。

いやそっか…。みんな、僕みたいに天才じゃないから…ね。




◆◆◆




11/30

朝起きて、夢のことが頭から離れない。

そのまま学校の通学路を歩く。そりゃ…。

…気分が、悪い。


昨日の夜、変なことを考えていたせいだろうか。

あの夜、車でスマホを見て、やめた。

見るのが怖かったんだ。


なにをそんなに心配しちゃってさ。

どうせ三件ぐらい低評価が来ただけだろう。

そのほかの大量の高評価を見ようぜ、な。


あれからサイトは見てないけど、まぁ…心配はない。


「よっ誠。」


おっ、なんだ篤か。


「な、なんだよ。」

「昨日、まっじで楽しかったぞ!こんなゆるく遊んだの初めてじゃないか?ほら、夏休みに海には行ったけど、こういうthe高校生っぽいことってあんましてこなかった気がするぜ!」

「まぁ確かにそれはそうだな。僕もまあまあ楽しかった。」


いつもと同じ通学路のはずなのに、

入り浸る思い出があるとこうも違うのか。




「やっばぁ、今の授業拷問級だよ…。」

「まぁちゃんと聞いた僕だけが得をする的な?」

「あー!誠くんずる!あとで教えてね!」


7限終わり、特になにも変わらない惰性の日常。

しかしそれは、突然訪れる。


「ねぇまこっち…これ。」


雫の言葉から始まった。

最近席替えして、遠くなった席からわざわざここまで小走りできて、重そうに顔を沈めている。


一緒にいた雄志は腕を組み、

校庭に舞い散る最後の銀杏を眺めている。

僕の目は、見ないようにして。


「な、なんだよ。」


内心、わかってんだわ。

僕察しがいいし、頭いいからさ。

昨日の夜から。


「…これは…!?」


見たく、なかった。

多分、僕はわかってて見ていなかったんだ。


行動では抑えきれないくせに、

気持ちは徒花のクソみたいな言い訳で心を満たしただけ。


向き合うべきなんだ。


「…これは一体…どういうことだよ。」

「…わからない。」


店のサイトだった。

その評価が、2.9になっていた。


下までスクロールすれば、ほとんどが1とか2の山積みで、コメントも心がない。


呼吸が荒くなって、僕の指が震え始めた。

他のみんなの顔色も若干悪く、目が揺れる。

ただ一点を見つめることしか考えたくない、

そんな感情に追い込まれた。


唇を噛むのをやめられなくて、少し血が出た。


血の気の引いた背中が、僕を押し潰そうとしている。


…まぁ…悪い値じゃないのは確かだ。


「昨日の昼まで…4.6だったのに…。」


沙羅がそう呟くと、

僕の中で押されていた何かが必死に押し返そうとする。


でも、我慢した。


「おいおい…なんでこんな大量のアンチがいんだよ。」


もともとレビューは500件近くきていて、4.6。⭐︎5の確率は極めて高かった。


一言で言えば…。荒らされている。

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