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生産性至上主義はアイを知らない。  作者: のどちん
社会貢献プロジェクト:ハヅウィン編
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43/50

Log 43:二度と訪れないもの

11/29

「うわおっし!94.965か…」


前のテスト前にこいつらと行ったが、やっぱり上手いなこいつ。


「おっこの曲いいじゃん誰?」

「私で〜すっ!」


雫のやかましい声が響き渡った。

若干暗めの少し広い部屋、だけどこの人数なら狭く感じた。


初めてだったからだろうか知らないが、

僕はどう立ち回ればいいのかわからない。


なんでこんなことになったんだよ…。


11/9

…ついに11月になった。

食欲の秋だとか、運動の秋だとか。

世間がそんなことで賑わっている間、

僕たちはハヅウィンの余韻に浸っていた。


もう1週間ちょいが経ってもまだ消えるわけない。


「誠、もう俺ら勝ったんじゃねぇかな?」


気が早すぎるだろこいつは。


「なわけねぇだろ、何が根拠だよ。」


でも事実、毎日投稿される動画は基本的に20万を回しているため、かなり有名になってきたところではある。


「SNSの起爆力は確かにやばい、でもこのままありきたりな動画ばっか作り続けてると絶対廃れてくる。奇抜で、飽きさせないようなそんな投稿をしなきゃ。」


一度伸びれば、あとの動画もねずみ算的に増えていく。

それは事実であるし、睦月隼の助けもあって店の売り上げも鰻登りらしい。


「そんな固いことばっか考えんなって言いたいの!」


いや考えろよ。

しかし2限は、眠い眠い国語の時間だったせいか。

僕も良く頭が回っていない。


「じゃあ何を考えろって?」


篤はにやっと笑うと、


「おーい、雫と沙羅、それと雄志もこっちきてー。」


全員が僕の机に集まると、みんな眠そうにしている。


「ってことでよ、みんなで遊びに行こ!」


は?なんの因果もないだろ。

ハヅウィンの成功を祝った打ち上げとでも言いたいわけか。


しかしあまりそういうコミュニティに参加したことがないし、僕に正解はわからなかった。


「あらあり!どこいく?」


眠そうな目が開き、クラスの雑音に瞬きは消えていく。


「日程も決めとこ!」


誰かが椅子を引き摺る音、階段の音、笑い声。


その全部を引き裂いて、僕にはみんなのことしか見えていなかった。


「俺…29とか空いてるけど。」

「私もいけるのはそこだけかな〜。」

「そこなら私行ける!」

「俺は…なんとか調整しとくぜ!」


この流れで、僕もそういうべきだったのだろう。


しかしこの日、僕には外せない予定がある。

『ウェブデザイナー検定一級』の学科試験。


夏に取った2級から、またワンステップ上がれるチャンス。これを逃す手など、あるわけもない。


一年に一回。それか、こいつらとの一日か。

こんなもの天秤で比べる必要もない。


誰もが頷く結果がそこにはあるはずだろ?


「それ、いくメリットは?」

「メリットしかねぇよ!最高だぜ?絶対このメンツでカラオケとか楽しいやん!そのあとファミレスとか行っちゃお!」


どんどん話が進んでいく。

キッパリ断れなかっただけで、一瞬の油断で。

こうも話は進んでいくものなのだろうか。


「いいやんいいやん!急な楽しみなってきたw」

「ちょっとだからってうちの経営忘れないでよね〜?」


釘を刺すように沙羅が言うので、

思わず笑ってしまった。


ここでもう、僕は心を決めてしまったのかもしれない。


一生に二度とないかもしれない。二度と訪れない機会かもしれない。


でとそれは、

こいつらとの一瞬にも言えてしまうことなのだ。


クソダサいけど、僕はそれを悟ってしまった。


「いいよ、行く。」

「しゃぁぁぁぁぁ!」

「なら決まりだな!」


その日から、僕たちの生活は顔を変えた。

面白いぐらいに伸びていく動画と、

頑張って作ったサイトに描かれる多彩な褒め言葉。

並べられて、列挙されているだけで幸せさ。


週末の日曜は、決まってみんなで集まってバカみたいに営業して。


学校でもそのことばっかり考えて。

定期試験のことなんて何一つ考えずに。


バカだったな。ほんとに。

それでも僕の中の僕は、僕を正当化する。


いや、きっとこれは正しい行為だったと。

ああ、実際、正しいんだろう。


だって僕が言うんだからな。

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