↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生産性至上主義はアイを知らない。  作者: のどちん
社会貢献プロジェクト:ハヅウィン編
PR
38/50

Log 38:禍福の境界線

◆◆◆




ただ、禍福は絡み合う。


誠はまだ知らない。


店の前に並ぶ客。


初めて掴みかけた成功。


その全てに目を奪われていた。


だから気づかなかった。


遠くに止まった黒い車に。




◆◆◆




ーあぁ?このガキが。お前も大概だぞ!俺が、一体どれだけの苦しみを抱えてるか!わかってんのか!


ーお前は違うと思ってたんだけどな…。


ーお前は天才だろ。


なのになぜできない?


ー聞いてんのかよ、おい!!!


はっと、目を開けた。


昼休憩。

僕はぼーっとしていた。

片手にスマホ、もう片手に昼ごはんのパン。


午前中は…どうだったっけ。

忘れちまったけど、大繁盛だった気がする。

あ、カウント計で数えてた。

2時間で…、うん。324人。悪くない。


ってか324って18^2だな。


いやそんなのどうでもいい。


…。はぁ。変な夢見た。

精算しとくか。


「父さん…。僕はちゃんとやってる。安心して。もう、あなたのようになることはない。僕はやり遂げます。だから、どうか許してください。」


独り言は誰にも聞かれてないはず。


っさ、戻ろう!




店舗内に戻った僕は、その光景に唖然とする。

ごったがいする人混みが、あまりに多かったから。


「すげ、大繁盛してるよ。これなら在庫全部売り切れるかもしれないぜ?」


逸脱した期待というのは、まさに儚いもの。

だから僕は、期待を消しているつもりだった。


「ひひっ!」


でも、こいつらのガキみたいな笑顔を見てるとさ、

せざるを得ない。

僕の意思じゃなく、こいつらのせいで、ね。


「だな。僕の戦略がハマったかな?」

「くっそ、認めざるを得ねぇ。」

「不満なのかよ!」


そんな会話を繰り広げていると、

後ろから雫の声がかかった。


「まこっち、学割の件なんだけど…。」


そうだったな。

午後からは学割プランを取り入れて、学生の客足を確保する。


近くの高校がテスト期間で、学校が半日らしいからな。


しかし、店内のフードコート的なところはそんなに広いわけじゃない。午後はもっと人が多くなる。


「あぁ、忘れてた。…でも、そのどこに人入れるかだな。」


すると、雫が妙案を出した。


「それ、それなんだけどさ、隣のお店の店長さんがね?

うちと共同にしないかって。

隣のお店は庭が広いから、そこにフードコートを作る。

私たちはそこでも宣伝する。」


そんなに急に言われても、無理に決まってるだろ。


共同となると、もちろん段取りがいる。

それが急となると、かなり難しいな。


まぁその人が言いたいのは

僕たちがそっちに行って宣伝してくれたら、

うちの庭を使わせてやるよと。


僕たちのハヅウィンをダシのように扱うとは、

なかなか度胸がある。


「んだよそれは。今日の営業は何時までだったっけか?それにもよるよな。」

「うん、さっき沙羅ママに確認したら、限界で5時って言ってたかな。」


ただいまの時刻、13:56。

なら、シフトを作ってやるしかないな。


「わかった。それを飲もう。」


正直上から目線でムカついてた。

だからこっちも条件を突きつけてやる。


「ただし、宣伝に行く人は1時間づつ順番に回す。14:00からが篤と雄志、15:00からが沙羅と雫。16:00から僕が行ってくる。」


こんなもんしか、この状況下での段取りはない。

実際スペースが足りてないのは事実だし、

隣の店なら客も流しやすい。


「最後ぐらいお前らで回せるだろ。」


その言葉を最後に、

僕はそのお隣さんとやらに会いに行くことにした。


「雫、その人と直接交渉する。」

「わかった、なら裏口の方にいる!…まこっち、びっくりは…しないでね。」


返事はせず、ただ手を振って裏口に走る。

言葉の意味も特に考えず。


この時の僕は、かなりみなぎっていた。

それもこれも全部、あの悪夢のせいかもしれない。




「あ、初めまして!」


…どうやら、そうじゃないらしい。


そこにいたのは、男だった。

ただし、2人いた。


一人は年老いた老人。

もう一人は見覚えしかない。


この前、僕たちを追い払った男だ。

サングラスの方じゃなくて、

その囲いのような人。


…ああ、その率直に言えば借金取りの一味だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。