Log 36:ハヅウィン
僕たちはね、それから動画の更新を中心に行なったよ。
ハイパーリンクを挿入して、すぐに動画にも飛べるようにした。
できることは全部してる。
その感覚が取り巻いて、伸びなくて落胆し、
少しの伸びで歓喜する。
母さんとは…まあ、今まで通りさ。
そして数週間がたったある日のことだ。
この時は知らない。
出来事は、鎖のように繋がっている。
禍福は糾える縄の如し、だ。
10/27
「き、きた!!!誠ぉぉぉ!」
やかましいな、一限終わりぐらい休ませろ…。
「こ、こここここここれ!!!」
そう言って見せて来たのは、篤自身のスマホの画面。
とあるSNSアカウント。
お、結構伸びてるアカウントじゃないか。
参考にしてとでも言う気…!?
「お、おま、これ!」
アカウント名、『とある小店を高校生が復興してみた!』。
ちなみにこのバカみたいなアカウント名は、篤たちが考えたもの。やけに鼻につくから、頭にこびりついていた。
それがまさか…1万フォロワーを達成しているではないか。
一番最近の動画は、なんと60万再生を回している。
「単価は低いものの、これなら客足は増えそうだな。」
「どんぐらいだ?」
なら即興で出すか。
「実際に店に来るのは甘く見て0.05%ぐらいか?
まあ300人ってとこか。
値上げして、だいぶ利益は出るようにしたし。
300かけることの…んー、300円くらいか?客単価は。
てなると9万…か。実際に仕入れてたのは9万くらいってこの前言ってたし、少なくとまぁ赤字ではないな。」
大成長じゃないか。
まぁもちろんこんなの及第点どころじゃない。
目標は60万の返済。
足りない足りない。
「てか、60万再生も回れば余裕で返せるんじゃね!?」
いやばかか。
「なわけねぇだろ、行って1万円だぞ。単価低いからな。」
「うぇ、まじ!?」
そんなことより重要なのは次の動画から伸びるか、だ。
「次の動画はどんなのだったか?」
「えーっと、確か1000円でどれだけカゴをいっぱいにできるか、って感じだったかな?メイド服着た俺が、とにかく商品を入れまくるやつ。」
なら悪くはなさそうだな。
「いいぞ、視覚的にわかりやすい。」
「お、あざすっ!」
篤と笑っていると、声がする。
「ねーなんの話ー。」
割り込んできたのは他の3人。
「お、お前らも見ろこれを!」
「う、うぇぇぇぇ!」
「これま?」
「えっぐ!」
ちなみに触れてないが、僕のサイトの方も順調。
感想コーナーで、好意的なのばっかり来るし。
評価コーナーの星は4.8、絶対これは高い。
自信持てる。
「俺らまじすごくね?」
でも、今は僕のサイトの話を出す感じじゃないな。
水を差すみたいで…なんか悪いし。
「60万完済いけるだろこれは!」
「いや行くんだよ〜!」
ああ、これでいい。
軌道に乗れば、だんだん値上げもしてけるはず。
「おい、そんなことよりお前ら忘れてないだろうな、31のこと!」
黒字はほぼ確みたいなもんだ。
そう、なぜならこれがある。
「忘れてるわけないでしょ!」
「よゆ!」
「楽しみだぜ!」
企画名はズバリ。
「なら頑張るか、『ハヅウィン』!」
この名前も、篤たちが考えた。
葉月家とハロウィンで掛けてるらしい。
うーん、もっとあっただろ!
って言いたくなるけど、まあいいわ。
「宣伝は睦月にお願いしとくわ。」
「お、なんや。」
「見返りなら渡すから!」
「わかっとるやん?」
その辺にいた睦月隼を捕まえて、篤が笑ってる。
刹那、ガタンと音がして扉が開く。
どうやら二限が始まるらしい。
「ごめんな隼!ちょいまち!」
そう睦月隼を押し除けた篤は、僕たちに向かって言う。
「…仮装…するしかないよな?」
「おっす当たり前よ!」
「あっつんわってるぅ!」
「私も何か着る〜!」
呆れたな、よく本気になれるもんだ。
確実な生産性も保証されないものに、そんなに体力を割けるとはね。僕にはできない芸当だよまったく。




