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三眼鏡

「バードウォッチング?」炭酸飲料を飲み下していた彼女は、グラスの縁から唇を離しつつ、ぷはあっという声を伴ってそう聞き返した。「お前ってヤツは本当に唐突だな。何で急に?」困惑して呆れている様子の彼女と対照的に、僕は穏やかな心持でコーヒーを口の含んだ。「……まあ、何となく? 特にこれといった理由も無いけど、少し気になって。君も一緒にやる?」微笑みながら尋ねると、彼女は渋い顔をして背凭れに身を投げた。「行けたら行ってやるが、期待はすんなよ」彼女の返答に、僕はうきうきした気分で頷いた。予定の日、彼女はきっかり集合時間より早く到着していた。「結局来てるじゃん」そう言いつつも、内心は大変嬉しかった。まあ、そんな僕も抜かり無く彼女に渡したいことを用意しているわけで、自分も彼女と同じ人種と言おうか、似通った性格を持っていることが分かった。「はい、これ」彼女に差し出したのは、やけに凹凸の激しい重いゴーグル。その三本の円柱が立っている望遠鏡はどうやらお気に召してくれなかったようで、彼女は当惑し切った顔をしていた。「そんな笑顔で渡されても、これ何だよ……?」僕は引き続き微笑して、質問に回答を述べ始めた。「バードウォッチングには双眼鏡が必要だろう? だから、君には双眼鏡ならぬ、三眼鏡をつくっていただいてきたのさ!」彼女はそれに呆れて笑うと、言った。「残念。あたしの額の瞳には視力は無えよ」僕は黙って、予備の双眼鏡を渡した。

ならばそれは何の為?


お読みいただきありがとうございます。

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