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額にある瞳
──「あたしは破壊神さ」倒れている僕に語り掛ける女。じりじりと僕と彼女の距離は狭まっていった。「お前は見た──見ちまったよなァ」特徴的な癖のついた前髪が、銀の指輪が光る細く骨張った指で持ち上げられると、雪のように白く滑らかである筈の額が覗いた。そこにあったのはぎょろりと生々しく蠢く目玉。その『額にある瞳』は、僕のことを睨んでいた。「……僕を、どうするつもり」じっと彼女の眼を見つつ、僕は尋ねた。重苦しい沈黙。首も絞められていないのに息苦しい、肺に穴も無い筈なのに酸素が欠乏しているような錯覚に囚われた。「選べ」彼女が放った三文字が響く暗い路地裏は、酷く恐ろしかった。「何、そう身構えるな。簡単な二択さ。『存続』か『崩壊』か、お前はどちらを望むか」……。今このときの話をしたら、きっと怒られてしまうだろうな。
その瞳は証明、その瞳は飾り。いいや。
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