黒汁
「うげ……。」最悪だ。皆の視線が集まるのは僕。そう、片手にコップを持った僕。ガラスのコップは透明で、中に注がれた真っ黒な何らかの汁の様子が窺えた。宴会にて一人が墨汁を思わせる謎の黒い液体を持ってきたことを告げると、ゲームをして一番負けの人が罰ゲームで試し飲むことになってしまったのだった。ゲームは王道のじゃんけんを行ったのだが、こういうときの悪運の悪さには存外自信があるもので、案の定僕が一番負け、罰ゲームを受けることになってしまった……!「一体この液体は何なんだ……?」先ず人間が摂取して良い物なのかが分からない。持ってきた本人も「落ちていた」の一点張りで、僕にはどこから拾ってきたのかすら知る権利は無いようだ。用心して手で仰ぎニオイを嗅いだところ、特に刺激臭も無く、少なくともそういう薬品ではないことが分かった。周囲の期待は高まるばかりだ、酒がこの雰囲気を更に促進している……。ええい、仕方ない! という勢いで飲んでしまったが、苦過ぎる……。この得体の知れない液体を、腹を括って結局飲んでしまった僕も酒の影響を受けた一人なのだろうな。因みに、酔いの冷めたあと液体の正体を訊いてみたところ、彼の祖母が作った御手製健康ドリンクだったそうだ。良薬口に苦し。御陰で二日酔いにならずに済んだのかもしれない。
ノリで飲むのは危険なのでやめましょう。
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