缶電池
「また缶……?」電気屋でのことだ。新しい家電を求め、店内をうろついていた。周囲を見回しながら歩いていると、ふと視界に入った電池のブースに置かれた小型の缶が目を奪った。また缶か……。脳裏に過る缶に入った気体ののり擬きが記憶に新しかった。一応手に取ってみたが……「缶電池?」そこには『乾』電池ではなく、確かに『缶』電池とあった。説明書きを見てみると、どうやら缶の中に電気がそのまま入っているようだ。何に需要があるというのだろうか。困惑しながら帰宅した僕の手には、缶詰があった。またやってしまった……。早速開いてみよう、と意気込んで封を切った途端、指先にパチという音を伴う痛みが走った。それもかなり大きな痛み。暫し唖然といった感じで、まだ痛みの残る右手と開かれた缶を交互に確認した。成程、こういうことか……。もう一つ買ってきて、塗装して誰かに開けさせて驚かしてやろう。そうなると、一応蓋は閉じるものの既に開封してしまったこれは要らないか。因って例に倣い物置行きになった。時は経り、件の缶と共に掘り出してきた。腕を捲っていざ開けると、初開封の際のあの痛みが指先に再臨した。流石は缶『電池』、経緯は知る由も無いが、流れる時間の中で誘導電流やら静電気が徐々に溜まっていたのだろう。缶詰はまるでタイムカプセルのようだ、と思いつつ、僕はまた封をして物置に押し込んだ。それはまるで未来へ手紙を送るように。
学習していないのではなく、学習するために。
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