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悪役令嬢レティシアは怒っていた  作者: 南蛇井


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第23話 紅薔薇事件

王都。


朝の新聞売りの声が街に響いていた。


「号外!」


「号外!」


「ローディア侯爵家スキャンダル!」


人々が足を止める。


新聞の見出しには大きく書かれていた。


紅薔薇侯爵家崩壊か


王都は一瞬で騒然となった。


市場でも。


酒場でも。


広場でも。


同じ話題が飛び交う。


「ローディア侯爵家だぞ?」


「王国屈指の大貴族じゃないか」


「密輸だって?」


「いや、横領も」


「殺人疑惑まであるらしい」


人々の視線は新聞の紋章に向けられる。


そこに描かれているのは――


紅薔薇


ローディア侯爵家の象徴だった。


それ以来。


この事件は一つの名前で呼ばれるようになる。


紅薔薇事件


王宮


王宮の会議室。


重い空気が流れていた。


宰相が机に新聞を置く。


「これは」


静かな声。


「非常に危険な事件です」


王子アルフレッドが眉をひそめた。


「危険?」


宰相は言う。


「ローディア侯爵家は」


「王国の最有力貴族の一つです」


壁には王国の地図が掛かっている。


その一角。


広大な領地を持つ家。


ローディア侯爵家。


宰相は続けた。


「もしこれが事実なら」


「王国の政治は大きく揺れます」


王子は腕を組んだ。


「だが」


「内部告発が出てるんだろ」


宰相


「はい」


机の上の書類をめくる。


「告発内容は三つ」


指を折る。


「密輸」


「横領」


「そして」


少し間。


「殺人疑惑」


王子は顔をしかめた。


「…重すぎる」


宰相


「だからこそ危険なのです」


沈黙。


もしこの事件が公になるなら。


貴族社会は激震する。


王子が言った。


「どうする」


宰相はしばらく考えていた。


そして言った。


「通常の裁判では無理です」


王子


「なぜ」


宰相


「相手は侯爵です」


「証人は消え」


「証拠は消え」


「裁判官も圧力を受ける」


王子はゆっくり言った。


「つまり」


「普通の方法じゃ裁けない」


宰相は頷く。


「はい」


そして。


一枚の書類を取り出した。


「そこで」


「新しい方法を使います」


王子がそれを見る。


そこに書かれていた名前は――


断罪アカデミー


王子は思わず言った。


「まさか」


宰相


「ええ」


「王国初の」


ゆっくり言う。


国家断罪


会議室が静まり返る。


王子が小さく呟いた。


「国家断罪…」


宰相


「担当は」


書類を机に置く。


そこに書かれている名前。


レティシア・グランベル


断罪アカデミー


講堂。


学生たちはいつもの授業だと思っていた。


リリスが言う。


「次の事件は何かしら」


レオン


「資料はまだです」


フィオナ


「舞台作る準備できてる!」


王子は疲れた顔で座っている。


そのとき。


講堂の扉が開いた。


レティシアが入ってくる。


その表情はいつもと少し違っていた。


講堂が静まる。


レティシアは教壇に立つ。


そして言った。


「新しい事件です」


黒板にゆっくり書く。


紅薔薇事件


学生たちがざわめく。


リリス


「新聞の?」


レオン


「ローディア侯爵家…」


レティシアは続ける。


「内部告発により」


「重大犯罪の疑い」


黒板に書かれる。


密輸

横領

殺人疑惑


教室が凍りつく。


王子が言う。


「待て」


「それ大事件だぞ」


レティシアは頷く。


「はい」


そして。


次の言葉を言った。


「王宮は」


「この事件を」


「断罪アカデミーに委任しました」


沈黙。


学生たちは理解できない。


レオンが言う。


「つまり」


「我々が?」


レティシア


「はい」


そして最後に言った。


「王国初の」


少し間。


「国家断罪です」


教室が爆発した。


リリス


「国家断罪!?」


フィオナ


「そんなの聞いたことない!」


レオン


「歴史的事件です…」


王子は頭を抱えた。


「なんで俺の学校こんなことになるんだ」


その騒ぎの中で。


一人だけ静かな人物がいた。


カサンドラ。


彼女は腕を組みながら微笑んでいる。


小さく呟いた。


「やっと」


そして。


楽しそうに言う。


「本番ね」

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