第21話 貴族汚職
断罪アカデミー講堂。
学生たちは前回の事件報告を終えたばかりだった。
リリスは満足そうに言う。
「初事件、完全勝利ね」
レオンは冷静に答える。
「まだ簡単な事件です」
フィオナは腕を広げた。
「でも実習っぽかった!」
王子アルフレッドは椅子にもたれている。
「俺、まだ学生が事件解決してる状況に慣れない」
そのとき。
レティシアが教壇に立った。
「次の事件です」
講堂が静まる。
黒板に書かれる。
王都役人汚職事件
学生たちが顔を見合わせた。
レティシアが説明する。
「王都行政局の役人が」
「許可証発行の見返りに」
「賄賂を受け取っています」
レオンが頷く。
「典型的な汚職ですね」
しかし。
レティシアは続けた。
「問題があります」
黒板にもう一つ書く。
関与貴族あり
講堂の空気が変わる。
リリス
「え?」
フィオナ
「貴族?」
王子は眉をひそめた。
「それまずくないか」
レティシアは静かに言う。
「役人は」
「ある貴族の名を出しています」
沈黙。
学生たちは互いを見る。
レオンがゆっくり言った。
「つまり」
「上からの圧力ですか」
レティシア
「可能性があります」
王子が頭を抱える。
「学生が貴族調べるのか…」
カサンドラが微笑んだ。
「面白くなってきたわね」
調査開始
王都行政区。
石造りの役所の建物。
学生たちはそれぞれの役割で動き始めた。
レオン
書類室。
山のような書類を前にしている。
「許可証の発行履歴…」
ページをめくる。
「この日付」
「同じ業者が集中している」
王子
「それが?」
レオン
「賄賂の日です」
フィオナ
彼女は机の上に紙を並べていた。
「取引の流れを再現する!」
紙に矢印を書く。
役人
↓
業者
↓
貴族
フィオナは頷いた。
「お金の動きがある」
リリス
社交界のサロン。
華やかな部屋で貴族たちが談笑している。
リリスはドレス姿で情報を集めていた。
「最近羽振りいい人いない?」
貴族女性が笑う。
「いるわよ」
「ルヴェル子爵」
リリスの目が光る。
クラリス
静かな路地。
彼女は震える商人と話していた。
「本当に証言してくれますか」
商人は小さく頷く。
「でも」
「貴族が相手なんだ」
クラリスは優しく言う。
「私たちが守ります」
圧力
その夜。
役所の廊下。
学生たちは証拠をまとめていた。
そのとき。
役人が近づいてくる。
彼の顔は険しい。
「君たち」
低い声。
「この事件は扱うな」
レオンが言う。
「なぜですか」
役人
「上からの命令だ」
王子が呟く。
「やっぱり来たか」
役人は続ける。
「貴族に関わる事件だ」
「学生が触れていいものじゃない」
沈黙。
リリスが怒った。
「でも犯罪でしょ!」
役人
「現実を知れ」
「貴族は裁けない」
学生たちの空気が変わる。
フィオナ
「それって」
「不公平じゃない?」
役人は何も言わず去っていった。
アカデミー
夜。
講堂。
学生たちはレティシアに報告していた。
レオン
「役所から圧力です」
リリス
「事件を扱うなって」
王子
「相手は貴族だ」
講堂が静まる。
レティシアは少しも動じない。
そして言った。
「それでも」
学生たちを見る。
「証拠を集めなさい」
その声は静かだった。
だが揺るがない。
レオン
「しかし」
レティシア
「断罪は」
黒板を指す。
「証拠で成立します」
「地位ではありません」
沈黙。
学生たちは互いを見る。
リリスが言う。
「やるしかないわね」
レオン
「証拠を探します」
ラスト
翌日。
レオンが走って講堂に入ってきた。
「見つけました!」
机に書類を置く。
「賄賂記録です」
フィオナ
「取引証拠!」
リリス
「これで有罪!」
学生たちが喜ぶ。
しかし。
そのとき。
王宮からの使者が現れた。
「断罪アカデミーへ通達」
講堂が静まる。
使者が言う。
「この事件の調査は」
一枚の書類を出す。
「王宮命令により」
少し間。
「停止とする」
学生たちは凍りついた。
王子が呟く。
「王宮が」
レティシアは静かにその書類を見ていた。
断罪アカデミー。
初めての――
政治との衝突だった。




