第20話 商会詐欺事件
王都南区。
市場の通りは朝から騒がしかった。
行き交う商人の声、荷車の音、客の値切り交渉。
その雑踏の中に――
断罪アカデミーの学生たちがいた。
リリスは周囲を見回している。
「本当に捜査してるのね…」
レオンはすでに手帳に何かを書き込んでいた。
「まずは証拠です」
フィオナは少し興奮している。
「事件現場って雰囲気ある!」
クラリスは少し緊張している様子だった。
「が、頑張ります…」
そして少し離れた場所で腕を組んでいるのは――
カサンドラ。
監督役として静かに観察している。
「さて」
小さく呟く。
「どう動くのかしら」
帳簿の調査
最初に動いたのはレオンだった。
彼は被害商人から帳簿を借り、机に広げている。
「おかしいですね」
王子アルフレッドが横から覗き込む。
「何が?」
レオンはページを指さした。
「この数字」
「同じ書き方なのに」
「ここだけインクが違います」
王子
「そんなの分かるのか?」
レオン
「帳簿改ざんです」
ページをめくる。
「しかも複数回」
リリスが言う。
「つまり?」
レオン
「計画的詐欺です」
人間関係調査
その頃。
リリスは市場の人々に話を聞いていた。
「その商人ってどんな人?」
魚屋の店主が答える。
「えらい羽振りが良かったよ」
別の商人が言う。
「貴族と繋がりあるって言ってたな」
リリスの目が光る。
「やっぱり」
「貴族の名前を使ってる」
心理分析
クラリスは静かに言った。
「この詐欺師」
レオン
「どう思います?」
クラリスは少し考える。
「人に見せたいタイプです」
王子
「見せたい?」
クラリスは頷く。
「成功を」
「すごいと思われたい」
フィオナが言う。
「つまり目立ちたがり?」
クラリス
「多分…」
行き詰まり
しかし。
夕方になっても。
決定的な証拠は見つからない。
リリスが机に突っ伏した。
「だめ…」
レオンも難しい顔をしている。
「帳簿改ざんだけでは弱い」
王子
「犯人も否定するだろうな」
フィオナ
「舞台ならここで証拠出るのに」
学生たちは完全に行き詰まっていた。
そのとき。
カサンドラが静かに口を開いた。
「詐欺師は」
全員が振り向く。
カサンドラは言った。
「嘘をつく場所がある」
レオン
「どこです?」
カサンドラは微笑む。
「自慢よ」
学生たちが首をかしげる。
リリス
「自慢?」
カサンドラ
「詐欺師はね」
「騙したことを誇るの」
王子
「そんな馬鹿な」
カサンドラ
「人は」
少し笑う。
「成功すると喋るのよ」
レオンが言う。
「場所は?」
カサンドラ
「酒場」
酒場
夜。
王都南区の酒場。
学生たちは席に座っていた。
フィオナが小声で言う。
「本当に来るの?」
そのとき。
奥の席から声が聞こえた。
「いやぁ最近儲かってさ!」
男の笑い声。
「貴族の名前出すと簡単なんだよ!」
学生たちは固まった。
レオンがメモを取る。
男は続ける。
「投資?あんなの嘘に決まってるだろ!」
周囲の客が笑う。
リリスが小さく言う。
「証言…」
クラリス
「本人の自白です…」
事件解決
翌日。
断罪アカデミー講堂。
学生たちは報告書を提出した。
レオン
「帳簿改ざん」
リリス
「虚偽の貴族関係」
クラリス
「心理分析」
フィオナ
「状況再現」
レティシアは静かに聞いていた。
そして言う。
「結論」
レオン
「詐欺罪」
レティシアは頷いた。
「正しい判断です」
学生たちの顔が明るくなる。
リリス
「やった!」
フィオナ
「初事件解決!」
王子も笑う。
「意外とできるじゃないか」
しかし。
レティシアは続けた。
「評価」
学生たちは姿勢を正す。
レティシアは言う。
「合格です」
安堵の声。
だが。
次の言葉で空気が変わる。
「ただし」
静かな声。
「これは」
少し間。
「簡単な事件です」
学生たちは固まる。
レオン
「簡単…」
レティシア
「詐欺は」
「証拠が残りやすい」
黒板に書く。
次の事件
学生たちが息を呑む。
レティシアは静かに言った。
「断罪は」
「ここからが難しいのです」




